藤子・F・不二雄『パーマン』 バードマンが星野スミレをパーマン3号に選んだ理由

2017年09月13日 | うだ話
 「バードマンって、ちょっとねらいすぎやろ」
 
 先日、友人フカエ君と一杯やっているときのこと、彼が唐突にそんなことをいい出した。
 
 バードマンってだれのことやねん、と問うならば、はたしてそれは藤子・F・不二雄先生の漫画である『パーマン』の話なのであった。
 
 その中に出てくる、バード星からの使者。またの名を「スーパーマン」。
 
 パワーを増強するヘルメットや、時速119キロで空を飛ぶマントなど、「パーマンセット」を人類にあたえて、「パーマン」として地球の平和のために働くよう指示するのが仕事である。
 
 そんな、バードマンであるが、なにをしてフカエ君に「ねらいすぎ」と言わしめるのかと問うならば、
 
 「あいつのパーマン選出の基準がイカれてる」。
 
 はて、なにかおかしなところがあるのか検討してみると、
 
 「1号から順に考えてみい」。
 
 パーマン1号といえば、言わずと知れた、ミツ夫君という男の子だった。須羽ミツ夫。
 
 まあ、どこにでもいそうな、ごく普通の少年である。
 
 これに、フカエ君は疑問を抱く。
 
 「変やろ」
 
 なるほど、少年といえば聞こえは良いが、和文和訳すれば「ただのガキ」。
 
 あらためて検討するまでもなく、パーマンセットというスーパーアイテムをあたえるには、若干信用がおけない相手である。
 
 地球をたくすのだ、もっと責任感があり、能力的にもすぐれた大人にするべきではないのか。
 
 それこそ、優秀な警官とか、自衛隊のレンジャー部隊とか。
 
 もし子供が、そんな大きな力を手に入れたら、とんでもないことをするのではないか。
 
 ムカつく先生をなぐりつけたり、イジメ万引きに使用したり、放課後に好きな女子のを、こっそり吹いたりするのではないか。
 
 もちろん私は、子供のころから正義とモラルを重んじる紳士であったため、そんなことはしないが、フカエ君ならやるだろう。
 
 そういわれると、たしかに判断基準が不明だ。そこで納得すると、フカエ君は「さもあろう」と大きくうなずき、
 
 「2号が、またおかしい」。
 
 2号といえば、サルである。
 
 なぜエテ公にパーマンセット。我々は『2001年宇宙の旅』のオープニングのごとく、がんばって進化して、地球を何度も木っ端みじんにできる人類になったというのに、あえて逆走してブービーとは。
 
 進化の価値はいずこ。
 
 サルで有名な大阪府箕面市では、ただでさえ野ザルが大暴れして問題になっているというのに、そこにパーマンセットをあたえてどうするのか。
 
 そんな超モンキーがいたら、街一個くらいなら壊滅させられてしまうのではないか。
 
 リアル『猿の惑星』である。このチョイスには、ダーウィン先生も砂を噛む思いであろう。
 
 うーむ、いわれてみれば。なんであえてガキとサルなんだ。わざとやってるとしか思えない。
 
 彼はこの選択から、我々になにを伝えたいというのか。
 
 そのことを解明すべく、フカエ君との深夜に及ぶ、侃々諤々の討論の末に出た結論。
 
 すなわちバード星の使者が、地球に残したかったメッセージとは、正義と地球の平和と、
 
 「見てくれオレのギャグセンス
 
 という、中2病的自己顕示欲なのであった。
 
 
 
 (パーマン3号編に続く→こちら
 
 
 

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