げに深きはフェチの世界 鼻フック&昆布ふんどし 編

2016年02月16日 | 音楽

 世の中には、フェティシズムというものがある。

 女性のうなじがいいという「うなじフェチ」。

 靴にリビドーを感じる「フェチ」。

 マッチョな男性の胸板にときめく「筋肉フェチ」。

 こういうものは極めて個人的な嗜好であり、他人に理解されることは少なかったりするが、理解されがたいからこそ、こういう話というのは、おもしろいもので聞いてて、

 「そんなん、思いつかへんなあ」

 感心することが多いからだ。

 たとえばミュージシャンで作家の大槻ケンヂさんは、中島らもさんとの対談でこんなことをおっしゃっていた。

 


 「ボクね、顔面崩壊フェチなんですよ」




顔面崩壊フェチ。

 それは一体なんだ、マイケルジャクソンのことなのかと問うならば、そうではなく、

 


 「鼻フックとか好きなんですよ」




鼻フック

 よくバラエティー番組の罰ゲームなどで出る、鼻の穴にかぎ爪を突っこんで、後ろから引っぱるというもの。

 鼻フックといえば、ダウンタウン松っちゃんも若いころ、

 

 「鼻フックされてる女の子って、いいよね」

 

 私にはよくわからないが、才能のある人にとって鼻フックというのは、なにかしらの魅力があるプレイなのかもしれない。まこと、フェティシズムの世界は奥が深い。

 そういえば、オーケンは「姉さんはフェティシストだった」って歌ってたなあ。

 そんなオーケンは、さらなるマニアックな性癖としてあげたのが、

 「昆布ふんどしマニア」



昆布ふんどし。

 まったくの意味不明だが、文字通りで昆布ふんどしのようにはいて、それでよろこぶというマニア。

 すごい嗜好である。

 「ふんどしが好き」というのなら、まだなんとなく、わからなくもない気もするが、



「ふんどしが好き! ただし昆布限定



 とは、どんな縛りなのか。

 深すぎるぞ、昆布ふんどし。

 ヨーロッパなどのアブノーマルな性癖を様々紹介していた、かの澁澤龍彦氏も、ここには目をつけなかったに違いない。

 なにやら業が深い話だが、ここでオーケンの濃い話に対抗心を燃やしたのか、らもさんも、

 


 「ボクは、ふんどしパブに行ったことあるで」




ふんどしパブ

 らもさんによると、店にはいると「ドドーン!」と和太鼓の音が鳴って、そこに現れたふんどし姿の女の子が、接待してくれる店らしい。

 どんな店やという話だが、らもさんいわく「ええ店やで」とのこと。

 ふんどし女子。

 そんなにひねらなくても、私は普通に水着とか制服とか、そういうのがかわいいと思うが、マニアの心は複雑怪奇である。

 そういえば、これまた松っちゃん情報だが、かつて大阪ではトップレス姿の女性が牛丼を運んでくれる「ちち之屋」という店があって、大阪時代の彼もよく通っていたという。

 同じコンセプトのラーメン屋「めん道楽」というのもあったとか。

 こういった店に関しては、ライムスター宇多丸さんをはじめ、

 

 「食欲と性欲は共存できるのか?」

 

 みたいな議論になりがちだが、「女体盛」とか、あと「ノーパンしゃぶしゃぶ」とかもそうだけど、こういうのって食がどうとか、性がどうとかよりも、

 

 「こんなくだらないこと、やってるオレってバカやなあ!」

 

 という、そういう遊びではないだろうか。

 ある意味「」みたいな。まあ、行ったことないけどね。

 ふんどしといえば昔、友人コノハナ君に「おもろい店、見つけたんや」と、なぜかわからないが、

 

 「男色専用のレンタルビデオ屋」

 

 に連れていかれたことがあった。

 そこでは「ふんどし」と、「だんじり」が大人気であり、

 

 「男が好きな人は、ふんどしが好きなんか、知らんかったなあ」

 

 というとコノハナ君は、



 「なんやキミ、そんなことも知らんかったんか。常識やで」



 あきれたように、言ったものである。

 不肖この私も、仕事で失敗したときなど

 

 「常識がないぞ!」

 

 なんて怒られたりするが、まさかこういう店で常識の無さを注意されるとは思わなかった。

 そうか、男色界では「ふんどし」は常識であったか。

 まだまだ、私の知らない世界はたくさんあり、まったくもって人生は勉強の連続だ、としかいいようがないのであった。


 (続く→こちら



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