ATPツアーファイナルズ2014 錦織圭vsダビド・フェレール

2014年11月14日 | テニス
 錦織圭は今まさに伝説になろうとしている。

 などと、この私がいきなり大上段にかまえたりすると、ふだんならば「阿呆が、なんかほたえとるで」と失笑されるところであるが、今日だけは別だ。

 あの試合を観戦した方ならば、こんな大げさな物言いも、ある程度はゆるしていただけるのではなかろうか。

 そう、ATPツアーファイナルズ2014。ロジャー•フェデラーに敗れ(その模様は→こちら)1勝1敗でむかえたラウンドロビン第3戦で、日本の錦織圭がスペインのダビド・フェレールを4-6・6-4・6-1のスコアで破り、ベスト4に残ることが濃厚になったのだ。

 日本時間の夜11時ごろ開始だったこの試合。私は夜戦にそなえて、帰宅後2時間ほど仮眠を取っていたのだが、起きてテレビをつけて、まず吃驚した。

 なんと対戦する予定であったミロシュ・ラオニッチが棄権していたのだから。

 一瞬、あれ? 不戦勝で決まり? と思ったが、さすが年間最後の試合はそう甘くはない。予備の選手としてスタンバっていた世界ランキング10位のダビド・フェレールが代打として登場してきた。

 これに関しては有利不利とか、ラオニッチ対策が無駄になった影響はとか、そういった微妙なところは本人とスタッフにしかわかりようもないが、ここで出てきたのがダビドというのが判断の難しいところ。

 最高ランキングが3位でフレンチ・オープン準優勝の経験もある。デビスカップではナダルとのダブルエースでもって、何度も頂点に立っている選手。

 しかもこの男はおそらく現代テニス界ナンバーワンともいえるファイティングスピリットと、ブレない強靱な精神力を持っている。

 出られるアテのない大会でいきなりコートに放り出されても、それであわてたり、ゲームにフィットするのに時間がかかったりと、そういったことは、まず期待できそうにないだろう。

 間違いなく強敵である。

 だが反面、錦織からすれば対戦経験が豊富で、ロンドンオリンピックなど大舞台で勝った経験もある。

 スピードとねばりは驚異だが、ラオニッチのような一発を持っている選手に、それこそ今年のウィンブルドン4回戦のような「なすすべもなく持って行かれる」展開にはなりにくい。

 ミもフタもなく言えば、この交代劇が吉と出るか凶と出るかはやってみないとわからない。逆に言えば、このアクシデントをどう処理できるか。そういったところも、錦織圭は試されているともいえた。

 試合の方は予想通りの激しい打ち合いとなった。

 ともにグラウンドストロークを中心とし、安定感とフットワークが突出しているところなど、共通点の多い二人。

 フェレールはほぼ消化試合だが、賞金と獲得できるポイントがデタラメに高く設定されている試合でもあり、そもそもが勝ち負けに関係ないからといって流していくような考えなど期待できないのがダビド・フェレールという選手。

 やはり、さすがというモチベーションの高さで、闘志むき出しで襲いかかってくる。コートを広く使ったストロークの応酬に、こちらも自然、気合いが入る。

 多彩なアングルショットに、時折見せる鮮やかなネットプレー、大事なポイントで飛び出す手品みたいなドロップショット。

 錦織のテクニック、フェレールの粘り腰。秘術をつくしたラリー戦。

 おお、なんか、めっちゃええ試合やんけ!

 本人の運命のみならず、日本のテニス界の未来をもかけたといっていいこの一番に、錦織圭は見事なテニスを見せる。

 最初にサービスゲームをブレークしたときには、「こら、マジでひょっとするのか?」と色めきだったが、すぐにブレークバックされて、いったんイスにすわりなおす。

 あはは、さすがはダビドや。そう簡単には勝たせてくれへんわ。

 一回落ち着いたところで、第1セットは錦織に終盤少し乱れが出てフェレールが取る。

 内容的には互角かそれ以上だったが、セットポイントでのスマッシュミスなど、らしくない落とし方が気になった。解説の松岡さんも言っていたが、ちょっと不安な流れであった。

 ところがである。こういった接戦になると強みを発揮するのが、今の錦織圭だ。


 (続く【→こちら】)



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