イスラム教徒は酒を飲まない。
ふつうに街でビールやワインが買えるトルコなど例外もあるが、ムスリムは原則アルコール禁止である。
サウジアラビアやイランのような厳格なイスラム国家だと飲酒は犯罪であり、罰として逮捕されるとか、ムチ打ち100回とか、グラウンド10周とか今週いっぱいゴミ当番とか、オレが寝てる間にドラクエのレベル上げとけとか、そんな目に合うらしい。
またイスラム教徒はブタを食べない。
ユダヤ教もそうだが、ムスリムも豚肉を決して食べない。こちらは飲酒よりもずっと厳格である。
つまりイスラムの人は、トンカツ定食もカツ丼も知ることなくその生涯を終えるのである。生姜焼き定食もダメ。どれも好きな私にはつらいことよ。
またイスラム教では婚前交渉も禁止されており、こちらも大好きな私であるが、基本的にその機会に乏しいため、それほどきびしさを感じない……っておいおい何を言わすのか。
ブタの話に戻ると、トルコ在住で結婚相手もトルコ人というマンガ家高橋由佳利さんの『トルコで私も考えた』によると、ムスリムがブタを食べないのは宗教的戒律ももちろんあるが、今ではそれよりも気分の問題だという。
ブタ食文化がないために一種の「ゲテモノ扱い」に近いのだそうな。
日本人が犬鍋や虫食い文化を「えー、あんなん食べるの?」と気持ち悪がる感覚であろうか。
あともうひとつは、ブタの脂に胃腸をやられるというのもある。食べなれないものなので、お腹をこわしてしまうのだそうだ。
高橋さんはトルコでまったくブタを食べない生活を続けていたら、ブタの脂を受けつけなくなってしまったとか。
ブタのハムなどのみならず、フライパンにしく油やつなぎ、他にもスープの素になどにちょっと豚肉の成分が入っていただけで腹下しというのだから、なれというのはおそろしい。
以前インドネシアで日本企業が売った調味料に、ほんのすこーしだけ豚肉の成分が入っていたのを現地の人が怒って、デモなど不買運動をしたというニュースがあって、これには
「日本男児が細かいことでゴチャゴチャいってはいかんな!」
と一括しそうになったが、食べられないのでは仕方がないし、考えてみれば彼らは日本男児ではなくインドネシア人であった。
そこまでかたくなにブタを食べないムスリムだが、それだと外国へ行ったとき食事で困るのではないか。
肉料理だけでなくラーメンのスープとか551の蓬莱とか日本などブタだらけである。
実際、高橋先生のダンナさんは日本のブタ攻撃をかわすために、ひたすら「うどん」を食べ続け、ついには飽きてしまったそうな。
げにおそるべきは食習慣の違いである。
日本でこれなら、中華料理などそれこそブタだらけで食べられないのではないのかと思うのだが、なんと世界には豚肉を一切使わないイスラム教徒のための特製メニューを出す店があるのだという。
高橋さんの本によるとそこのコックさんは誇らしげに、
「ブタ抜き料理できますよ。ブタの入っていない酢豚とかありますから」。
ブタの入っていない酢豚。なんだそれは。日本語として矛盾していないか。
おそらくは鶏肉あたりで代用しているのだろうが、なかなかに不思議なメニューである。
まあ、日本人も江戸っ子など、天ぷらそばからそばを抜いて食べる「天ぬき」なるものを好むらしい。
そういえば我が街大阪でも肉うどんからうどんを抜く「肉すい」なるものもあることだし、そう考えると「ブタ抜き酢豚」も言葉ほど変ではないかもなどと思い直したりもした……って、そういう問題でもないかな。
ふつうに街でビールやワインが買えるトルコなど例外もあるが、ムスリムは原則アルコール禁止である。
サウジアラビアやイランのような厳格なイスラム国家だと飲酒は犯罪であり、罰として逮捕されるとか、ムチ打ち100回とか、グラウンド10周とか今週いっぱいゴミ当番とか、オレが寝てる間にドラクエのレベル上げとけとか、そんな目に合うらしい。
またイスラム教徒はブタを食べない。
ユダヤ教もそうだが、ムスリムも豚肉を決して食べない。こちらは飲酒よりもずっと厳格である。
つまりイスラムの人は、トンカツ定食もカツ丼も知ることなくその生涯を終えるのである。生姜焼き定食もダメ。どれも好きな私にはつらいことよ。
またイスラム教では婚前交渉も禁止されており、こちらも大好きな私であるが、基本的にその機会に乏しいため、それほどきびしさを感じない……っておいおい何を言わすのか。
ブタの話に戻ると、トルコ在住で結婚相手もトルコ人というマンガ家高橋由佳利さんの『トルコで私も考えた』によると、ムスリムがブタを食べないのは宗教的戒律ももちろんあるが、今ではそれよりも気分の問題だという。
ブタ食文化がないために一種の「ゲテモノ扱い」に近いのだそうな。
日本人が犬鍋や虫食い文化を「えー、あんなん食べるの?」と気持ち悪がる感覚であろうか。
あともうひとつは、ブタの脂に胃腸をやられるというのもある。食べなれないものなので、お腹をこわしてしまうのだそうだ。
高橋さんはトルコでまったくブタを食べない生活を続けていたら、ブタの脂を受けつけなくなってしまったとか。
ブタのハムなどのみならず、フライパンにしく油やつなぎ、他にもスープの素になどにちょっと豚肉の成分が入っていただけで腹下しというのだから、なれというのはおそろしい。
以前インドネシアで日本企業が売った調味料に、ほんのすこーしだけ豚肉の成分が入っていたのを現地の人が怒って、デモなど不買運動をしたというニュースがあって、これには
「日本男児が細かいことでゴチャゴチャいってはいかんな!」
と一括しそうになったが、食べられないのでは仕方がないし、考えてみれば彼らは日本男児ではなくインドネシア人であった。
そこまでかたくなにブタを食べないムスリムだが、それだと外国へ行ったとき食事で困るのではないか。
肉料理だけでなくラーメンのスープとか551の蓬莱とか日本などブタだらけである。
実際、高橋先生のダンナさんは日本のブタ攻撃をかわすために、ひたすら「うどん」を食べ続け、ついには飽きてしまったそうな。
げにおそるべきは食習慣の違いである。
日本でこれなら、中華料理などそれこそブタだらけで食べられないのではないのかと思うのだが、なんと世界には豚肉を一切使わないイスラム教徒のための特製メニューを出す店があるのだという。
高橋さんの本によるとそこのコックさんは誇らしげに、
「ブタ抜き料理できますよ。ブタの入っていない酢豚とかありますから」。
ブタの入っていない酢豚。なんだそれは。日本語として矛盾していないか。
おそらくは鶏肉あたりで代用しているのだろうが、なかなかに不思議なメニューである。
まあ、日本人も江戸っ子など、天ぷらそばからそばを抜いて食べる「天ぬき」なるものを好むらしい。
そういえば我が街大阪でも肉うどんからうどんを抜く「肉すい」なるものもあることだし、そう考えると「ブタ抜き酢豚」も言葉ほど変ではないかもなどと思い直したりもした……って、そういう問題でもないかな。