この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

記憶の棘。

2007-11-08 23:06:53 | 旧作映画
 ニコール・キッドマン主演、『記憶の棘』、DVDにて鑑賞。

 よくわからない映画でした。
 よくわからないといってもストーリーはごくシンプル。
 十年前に最愛の夫ショーンを亡くしたアナ。新しい恋人との婚約パーティの夜、彼女の前に一人の少年が現われる。少年の名前はショーン。彼は自分がアナの亡くなった夫の生まれ変わりだという・・・。
 基本的にネタバレなしでレビューは書く主義なのですが、この作品に関してはそれは無理っぽいので思いっ切りネタバレアリで書きます。
 今後この作品を見てみようと思っている方はこの先の文章は読んじゃいけません。
 個人的に一番気になったのは少年ショーンが本当に生まれ変わりなのかどうかということだったのですが、結局のところショーンはアナを謀っていただけでした。
 まずわからないのは(わからないというか疑問なのは)、十歳の少年の嘘を大の大人が何人もいて誰も見抜けないってことがあるだろうか、ってことです。
 アナの夫(の生まれ変わり)であると主張する少年に、本当にそうなのか大人たちが問い詰めるシーンがあるんですけど、その質問がどれも表層的なんです。
 アナの夫は物理学者なのだから、単純に「相対性理論についてわかりやすく説明してくれるか?」とでも聴けば一発で化けの皮が剥がれるのに、誰も突っ込んだ質問をしようとしない。
 まぁこれに関してはショーンが上手く立ち回ったから、という理由で不問にしてもいいでしょう。
 少年ショーンがアナのことを知るに到ったのは夫ショーンが愛人に当てた手紙からです。つまり夫はアナに対して不実だったってことですよね?
 若くて美しく自分に尽くしてくれる妻がいるのに愛人に走る夫というのが自分にはわからない。
 その愛人っていうのが本当に嫌な女なんですよ。
 何しろかつて愛した男の妻が男の死後十年を経てようやく幸せになろうとするその日に、男からの送られた手紙をお披露目しようなんていうんですから。性格が破綻しているにも程がある。そんな女を愛人にするものだろうか???
 まぁそれも、普段家庭料理を食べていてもたまに毒々しいジャンクフードを食べたいってこともありますから(それにしても限度があると思うけど)、そういうものだと無理に納得しましょう。
 わからないことはまだあります。
 夫が愛人に当てた手紙の内容はおおよその見当がつきます。その手紙は愛人が読んで喜ぶように書かれていたはずですから、当然妻であるアナを愚弄する内容だったはずです。
 「昨日の夜、居間のソファでアナとやったんだけどさぁ、アイツ馬鹿みたいによがっちゃって、、、」そんな感じではないでしょうか。
 そういう手紙を十歳の少年が読んで、そこに書かれている裏切られた妻に恋愛感情を抱くでしょうか。自分にはちょっと想像がつかないです。万が一同情することはあってもいきなり恋愛感情を持つのはやはり不自然です。
 まぁそれは感情論として片付けてよいですが、少年ショーンは手紙でしかアナと夫のことを知り得ないというのに、そもそもアナの夫の死をどうやって知ったというのでしょうか。彼が死んだのはショーンが生まれたばかりの頃(か前)のはずなのに。
 本作に関してはいろいろわからないことばかりでしたが、けれど一番わからないのは何よりアナの愚かさです。
 愛人と一緒になって自分のことを嘲笑していた夫をそこまで盲愛出来るものなのだろうか、、、自分にはわかりません。わかりたくないと言った方がいいかもしれません。
 とはいえ、愛する人の裏切りにまったく気づかないっていうことは世の中よくあることなのかもしれませんが。
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14 コメント

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Unknown (Unknown)
2007-11-08 23:17:59
愛人と一緒になって自分のことを嘲笑していた夫をそこまで盲愛出来るのが「愛」です。
それでも好きなんです。きっと。
そうなんですよねぇ。 (せぷ)
2007-11-08 23:43:04
そうなんですよねぇ、実際のところ人を心底愛することは愚かでないと出来ないのかもしれません。
恋愛経験が豊富とはいえない自分にはそこのところもよくわからないんですけれど。
TB感謝で~す。 (小夏)
2007-11-09 00:00:18
えーっと、アナは夫が自分を裏切っているなんてミジンコほども思ってなかったと思いますよ。(←あれ?初っ端から寒かった?>ミジンコ)
けど、少なくとも母親は本能的に夫ショーンの裏切りを知っていて、だからキライだったのでしょうね、夫ショーンが。
それでも、母親はアナが盲目的な愛を夫ショーンにそそいでいることを知っていたし、「生まれ変わり」と信じて疑わない娘があまりに不憫でアナの妄想(+少年ショーンの嘘)に付き合ってあげた部分も無きにしも非ずだったのではないかしら。
婚約者はマトモに信じていたみたいだけど。

>夫が愛人に当てた手紙の内容はおおよその見当がつきます
せぷさ~ん!ちゃうちゃう!それ決定的に違うッスよ~~!!
夫が愛人に宛てた手紙じゃなくて、アナから夫ショーンへの手紙ッスよ。
それを夫ショーンは封も切らずに愛人へ渡していた。愛人への愛の証としてね。
だから、少年ショーンが読んだのはアナの愛がめいっぱい詰まったラブレターなのですわ。
ここ、勘違いするとだいぶ印象が変わりますね。

って、コメントでここまでネタバレしちゃっていいものですかね?
まっ、いっかー。わっはっはー。(^^;
そうも、アナ(の生まれ変わりかも)です (マリーコ)
2007-11-09 08:42:30
小夏さんのコメントを含めて、おもしろそうな映画ですね~^^

せぷさん、変人をあなどっちゃーいけませんぜ!
夫が100%こっちを向いてくれてないからこそ!
ずっと夫を愛していられるんですよ~もう!(もうて!)

私なら旦那の生まれ変わりだーって現れた少年を疑いつつもコロッと信じてしまうと思います。
だって死んだのにまた会えるようでうれしいじゃないですか!

まぁそれが生理的に受け付けない人なら信じないかも知れないけど。。。
あ、間違えた (マリーコ)
2007-11-09 08:43:52
そうも~じゃなくて、どうも~でした(^^ゞ
Unknown (s)
2007-11-09 19:34:48
なるほど。
ニコキーがアホなんですよ。
きっと。

「シックス・センス」でブルリおやじが自分が○○でいるって分からなかったのと同じぐらいアホなんです。

だけど、僕はフツーにビックリしましたけどね。
「シックス・センス」のラストで。

「アザーズ」でもビックリ。
ニコキー、サイコーだったですよね。
あの映画。
Unknown (shit_head)
2007-11-09 19:35:34
↑また失敗しました

ミスターSは、shitちゃんに違いないのです。(笑)
コメント、感謝です。 (せぷ)
2007-11-09 21:29:53
小夏さん、マリーコさん、shit_headさん、コメント、感謝です。

>小夏さん
まずは無事TBが出来てよかったです。
今でも時々小夏さんのブログが見れないことがあるんですよね。なんでだろ?
もし小夏さんがブログで自分へ愛の告白をして、それに即座に反応できなかったらどーしよ、って思ってます(んなことありえない?)。

>夫が愛人に宛てた手紙じゃなくて、アナから夫ショーンへの手紙ッスよ。
あー、完全に読み違えていました。汗。
つまり、ショーン(夫)は自分が最初に考えていた以上に人でなしな仕打ちをアナに対してしていたっていうことですね。
まったくどうしてそんな人でなしを盲目的に愛することが出来るのでしょう(アナが夫の裏切りにまったく気づいていない、ということはボケボケの自分もさすがにわかります。笑。)、アナは夫のどこに惹かれたというのでしょうね?
まったくもって自分にはわかりません。
まぁそれはさておき、手紙の送り主がアナだったとしてもショーン(少年)がその手紙を読んでもショーン(夫)が故人であるということはわからないはず、と思うのですが・・・、ショーン(少年)はどのようにしてそのことを知ったのでしょうか。
重箱の隅を突付くのはどうかと思いますが、このことは瑣末ではないと思うんですよね。

基本的に自分は自分自身のブログではネタバレ記事を書かないようにしていますが、個人的にはネタバレ記事を読んでもさほど気になりません。
例えば、「犯人はAだ!」と事前に知って読んだからといって面白さが半減するようなミステリー小説は所詮その程度のものと考えるからです。
まぁ自分と同じ考えの人ばかりだとは思わないので出来るだけネタバレしないように書いているつもりですが。

ネタバレせずに(映画なり小説なり)レビュー記事を書くというのは結構技量を要求されることなんですよね。
その点ではいつも小夏さんのレビュー記事はそれを回避してるので感心すること頻りです。

>マリーコさん
おぉ、マリーコさんはアナの生まれ変わりだったんですか!?
道理でワンダフルにビューティフルだと思った、、、
ってアナはまだ死んでいませんよ!笑。

『記憶の棘』、そうですね、自分はそんなに面白いとは思わなかったですけど、マリーコさんには見て欲しいかも?
そんでもって旦那さんを爆愛している(?)マリーコさんの感想を是非お聞きしたいです。笑。

話は変わりますけど、マリーコさん、昨夜ミクシィでアップした日記、削除しちゃいましたね(すいません、読んじゃいました)。
理由はまぁ最終的にはマリーコさんにしかわからないことですけど、あれぐらいの愚痴は吐き出しても構わないと思いますよ?
ともかく、マリーコさんというニコール・キッドマン似の奥さんがいながら、ぐだぐだと愚痴をいう旦那さんは贅沢者だと思います。

>shit_headさん
まぁ実も蓋もなくいってしまうと『記憶の棘』でニコール・キッドマンが演じていたアナは夫の裏切りには気づかず、十歳の子供には騙されるという究極のおバカさんなんですけどね。笑。

基本的に自分は騙されやすい体質なのでその手のドンデン返し系の映画で騙されなかった、ということがあんまりありません。
『カオス』でもころっと騙されちゃいました。
でもあまりに頻繁に騙されるものでこの頃は騙されてもビックリするってことがなくなりました。笑。
解釈はいろいろ。 (小夏)
2007-11-09 23:05:52
>手紙を読んでもショーン(夫)が故人であるということはわからないはず
子ショーンは、父親の家庭教師の仕事に付き合って年中あのマンションに通い詰めていたようだから、そのへんの情報を得るのはさほど難しくなかったのではないかしら?ドアマンとも仲良かったみたいだし。ってぜんぶ想像レベルの話ですけど。

けど、ここは思い切って「生まれ変わり」説をプッシュするって法もありますよ。
子ショーンは、アナから夫ショーンへのラブレターを読むことで夫ショーンの記憶が甦った。
要するに、「手紙」が夫ショーンの記憶を呼び覚ます媒体になったわけですが、甦ったのは「アナへの想い」だけ。愛人のこともその他もろもろも綺麗さっぱり消えてなくなっちゃった。当然、愛人から真相をつきつけられた子ショーンには「愛人との記憶」がないものだから混乱しちゃっうわけでして、、、、、、ってケースもあるんじゃないかな。
原題だって「BIRTH」なわけだし。
邦題の「記憶の棘」にもいい具合にマッチするし。
せぷさん♪ありがとう~! (マリーコ)
2007-11-10 09:27:38
mixiの記事、足跡で見たらせぷさんと海老づくしさんしか読んでなかったので、傷は浅い!(何でだ)と削除してしまいました(^^ゞ

何で消したのか?は自分が愚痴っぽくなったからーじゃないんですよ

この映画の私の感想にも通ずると思うんですが・・・
せぷさんが聞いたら「何をぉ~!」って呆れ怒るかも知れませんが(^^;

一言にすれば「旦那の魅力をみんなに知られたくなかった」かな。
あの記事を読み返したら「この人はなんてかわいいんだろう!」と。
自分の贅沢さに気付いてないかわいさ?愚かさ?
でも実は心の奥底ではわかってて言ってるんだろうなぁと。
ただ1回は吐き出したいんだろうなと。

ね?人間味あふれるかわいさがあるでしょ?

・・・

変人でごめんなさいm(__)m

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