医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

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悪玉コレステロールは80 mg/dlまで下げると危ない

2011年10月06日 | 循環器
製薬会社は悪玉コレステロール低下薬の販売を促進させようと、悪玉コレステロールは低ければ低いほど良いと宣伝し、それに乗っかって売名行為をする教授・医者が大勢いることを何度もお伝えしてきました。

皆さんの目にとまりやすいように「悪玉コレステロールは80 mg/dlまで下げると危ない」という題名にしましたが、先月論文で発表されたばかりの「悪玉コレステロールは80まで下げる必要はない」という結果をご紹介します。

すでに心臓の血管に病気がある患者の場合です。(二次予防といいます)

Intensively lowering both low-density lipoprotein cholesterol and blood pressure does not reduce cardiovascular risk in Japanese coronary artery disease patients
Circ J 2011;75:2062.
(インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★☆☆)
↓原文はこちらです
http://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/75/9/2062/_pdf

心臓の血管に動脈硬化疾患のある高血圧症と高悪玉コレステロール血症の患者約500人が、血圧140/90以下かつ悪玉コレステロール100mg/dl以下をめざす通常治療群と、血圧120/80以下かつ悪玉コレステロール80mg/dl以下をめざす強化治療群にランダムに分けられ、平均3.2年間、狭心症や心筋梗塞の発症が調査されました。

血圧は通常治療群で126/70 mmHg、強化治療群で121/68 mmHg、悪玉コレステロールは通常治療群で92 mg/dl、強化治療群で80mg/dlでした。

平均3.2年間調査した結果は上の図にあるように、強化治療群(赤実線)が通常治療群(青点線)に比較して狭心症や心筋梗塞の発症が1.5倍増える傾向がありました。統計学的には両群の発症は同じと判定されました。

要するに強化治療で悪玉コレステロールを80mg/dlまで低下させても、効果は通常治療で90mg/dlまで下げた群と同じで、80mg/dlまで下げる必要はないという結果でした。


以前、ゼチーアの有用性について間違った解釈についていろいろお伝えしましたが、そもそもゼチーアが有用というデータはないのに、ゼチーアでも悪玉コレステロールを80mg/dl以下に低下させても、費用だけかかるだけで、まったく効果がないということです。
http://blog.goo.ne.jp/secondopinion/m/201105

↓以前、こういうこともお伝えしてきました
まだ心臓の血管に病気がない方(一次予防といいます)はLDLコレステロール値は160mg/dlでも大丈夫

製薬会社の主催の講演会で、悪玉コレステロール低下薬の販売を促進させようとする製薬会社の都合のよいことばかりを言って売名行為をする教授・医者は厳しく弾劾されなければなりません。

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1 コメント

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曲学阿剤 (小人)
2011-10-06 17:40:10
真理を曲げ 製薬会社に阿る 悪玉多過ぎますね

礼教では「百工巫医」巫女さんより下
医は 最下層の職だったようですから

モラルはいまでも まあ最下層のままですかね
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