医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

心臓の2本の血管に狭窄がある糖尿病患者にはステント治療よりバイパス手術の方が有効

2012年11月07日 | 循環器
学会で発表するためにロサンゼルスに来ています。

昨年のレイト・ブレイキングでは、以下のような内容をご紹介しましたが、
http://blog.goo.ne.jp/secondopinion/e/85c1e5a6a67e3fdd936c9ae122c0743a

今年は、昨日世界に先駆けて発表されたFREEDOM Trialという医学研究の結果をお伝えします。私も会場にいて実際に聴いていました。

詳細は昨日発表されたばかりのNew England Journal of Medicineに載っています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23121323

Strategies for Multivessel Revascularization in Patients with Diabetes.
New Engl J Med 2012 Nov 4
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

2005年から2010年までの間に、3本の心臓の血管のうち2本の血管に70%以上の狭窄がある糖尿病患者1900人が、ステント治療する群とバイパス手術をする群に割り当てられて、平均約4年間(2年~7年)死亡・心筋梗塞・脳卒中の発症が調べられました。

上の図で赤線はステント治療群で、黄線はバイパス手術群です。バイパス手術群で死亡・心筋梗塞・脳卒中の発症が5年間で約18.7%であるのに対して、ステント治療群は約26.6%の死亡・心筋梗塞・脳卒中の発症があり、有意に高いことが分かりました。

心臓の3本の血管のうち2本の血管に狭窄がある糖尿病患者の皆さんは、盲目的にステント治療をするステント治療医からステント治療を勧められても、このデータをその医者に見せて、もう一度よく考えてもらう必要があります。

確かに、3本の心臓の血管のうち2本の血管に70%以上の狭窄がある糖尿病患者でもステント治療が向いている患者もいますが、それはどういう特徴がある患者なのか、ステント治療医は印象だけで述べていないで、科学的に明らかにする必要があります。

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