Saitolab 「なにもせんほうがええ」

婚しては妻に従い ボケては猫に従う

砂の上の植物群

2024年03月20日 | 書籍・映画・音楽

若い頃の趣味嗜好はかわらず

日活映画「砂の上の植物群」(1964)DVDを入手した。この映画の初見は大学生の頃、関西地上波の深夜枠で放送された。白黒映画ながら象徴的なシーンにカラーフィルムを差し込む手法。表現主義、キュビスム、シュルレアリスム画家、パウル・クレーの作品を絡めながらストーリーは展開する。映画は官能的で実験的要素が強い。主人公には34歳で他界した父の影がつきまとう。クレーの絵画作品タイトル(テーマ)が暗示的に紹介される。この映画の冒頭シーン、夕景人気のない山下公園や夜のマリンタワーにひとり佇む紅いルージュをひいた少女、そしてクレーの作品で映画(小説)のタイトルになった「砂の上の植物群」や「まだその場所にいる黒」に強いインスピレーションを受けた。

夕暮れの山下公園

(制作/著作:日活)

夜のマリンタワー展望台

(制作/著作:日活)

 

要所要所に差し込まれるカラーパート

(制作/著作:日活)

映画を観た後、原作となる吉行淳之介の同名小説も読んだ。80年代にはサブカル雑誌「ふゅーじょんぷろだくと」にルージュの少女イラストを投稿し掲載された。90年代後半、開設したウェブサイトのサブコンテンツタイトルを「砂の上の植物群」とした。50歳の頃、小説を再読していて主人公が37歳となり父の歳没を越えたことに気づき戸惑うシーン。自分の年齢がそれをはるかに上回ってしまった事実にショックを覚えた。映画を観ていた学生の頃、37歳という年齢は壮年のオヤジという受け止めだった。久しぶりに映画を観返して姉に復讐する高校生を演じた西尾三枝子の悪戯っぽい表情は筧美和子に似ていると思った。主人公の父と懇意だった山田理髪店店主の信欣三安部公房原作 映画「燃えつきた地図」ではコーヒー店「つばき」の主人を演じていた。

 

(制作/著作:日活)

西尾三枝子

 

映画のロケ地になるバー「鉄の槌」はまだあるのかしら?

 

 

 

 

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