しろくまのいえ

しろくまのいえのまわりでおこるさまざまな出来事をつづってゆきます。

犬として育てられた少年 子供の脳とトラウマ

2015-06-03 09:32:58 | 
2010年に書かれた本です。→ 
日本で、未成年が人を殺す事件が珍しいことではなくなっている時代。
アメリカでは、ずいぶん前からそんなことがあたりまえのように
おこっている。その理由は…症例をあげて、その理由を探ってゆく本です。

たくさんの子供が、異常な環境で育っている現実を認めないと知らないと何も解決しません。
でも、異常な環境を作っているのは、「親」「大人」ですから、子供は悪くないんです。

先日も、母親が知らない男に刺されたというニュースがありました。
子供は、刺された母親のそばにいたそうです。子供は無傷です。
体に傷はなくても、指された現場に居合わせた子供の心には大きな傷が残ります。

タイトルにある「犬として育てられた少年」は、生まれて1ヶ月で両親から離され、
親戚の家に預けられ「犬小屋に」入れられて育ちました。その親戚にはたくさんの
犬がいて、その犬たちと同じように育てられたそうです。
しかし、その後、問題行動を起こすようになり、治療?として、医師がかかわる
ことになるのですが、この子は、比較的早く、普通の子供の生活に戻れたそうです。
その理由は…生まれて1ヶ月の間、親がとても愛情を持って育ててくれたという
過去があったからなのだそうです。そのたった1ヶ月の記憶が、子供の回復力の源に
なったそうです。

問題を抱えた子供の多くは、親や大人から愛情を注がれることなく育っているので、
回復するのに、とても時間がかかるのだそう。
愛情不足だけではなく、虐待も子供の心に大きな傷を残します。
その中でも、深刻なのは性的意的虐待なのだそうです。

____ 以下本文より

・子供たちをを危険から守るためには、健全な人間関係を築き、
他人とのつながりを持つことが必要なのだ。子供は抱きしめられなければならない。

・核家族の崩壊がよく取りざたされるわりに、大家族の崩壊はあまり
論議ざれていないが、少なくとも同じくらい重要である場合が多いはずだ。

・虐待やトラウマを抱えた子供たちにもっとも必要なのは、幼少期の
トラウマに起因する痛みのつらさや喪失感を柔らげてくれる健全な
コミュニティーである。彼らを癒すのに何より効果的なのは、
人間関係の質と量を増やすことだ。

・たとえ世界一の薬と治療があろうと、思いやりに満ち安定した
人間的なつながりがなければ、治癒し回復することは不可能だ。

・あらゆる不幸な出来事において最大のトラウマにつながる部分は、
人間関係の崩壊である。

・トラウマを抱えた子供の治療は、安心できる環境を作って
やることから始めなければならない。

・赤ん坊の頃、昼間ないても、抱き上げてなだめ、ストレス反応システムと
ホルモンを正常な範囲に戻してくれる人は誰もいなかった。夜と週末は
普通に世話されていたが、生後18ヶ月までも平日の昼間の孤独な8時間は、
彼の生涯に消えない傷を残した。(犬として育てられた少年より)

・ジャスティんが我々の治療に急速に反応したのは、1歳で祖母を
なくすまでは慈しまれる経験をしていたからだということにすぐに気づいた。
つまり脳の株にある中心的な領域には無事に成長をはじめていたのだ。
もし生まれてすぐに檻にいれられて育っていたら、将来の希望は
ずっと少なかっただろう。(犬として育てられた少年より)

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