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脚気と軍隊  荒木 肇   波木書房

2017年12月13日 09時00分00秒 | 雷日記
こんにちは。 落雷抑制の松本です。

今でこそ小学生でも知っているビタミン。 明治から大正になる頃で、日本のみならず、世界中でビタミンの有用性には気が付いていませんでした。 大航海時代の船の乗組員はビタミンC不足の壊血病になりました。 日本の兵隊は白米の食べ過ぎでビタミンB不足の脚気(かっけ)に悩まされていましたが、その原因がビタミン不足であることには人々はL気が付かなかったのです。 大正時代の日本は貧しく、当時は白米を十分に食べることができなかったので、軍隊に入隊すれば白米を腹いっぱい食べることができるというのが軍隊に入隊する魅力であったそうです。 陸軍では一人一日6合もの白米を食したそうで、ご飯だけでこれだけ食べれば副食(オカズ)など食べる余地もなく、味噌や塩などを副食に、白米ばかりを食べたというのは、現在であればそれは偏食であると思いますが、当時は、これが最大の御馳走であったというのです。 白米ばかりを食すれば、当然、栄養が偏り、その結果として脚気と言う病気が多発し、陸軍の約3割がこの病気にかかり、当時大問題であったそうです。 私が小学生の頃は、健康診断で椅子に座り膝頭をゴムのハンマーで軽くたたく脚気の検査がありましたが、もうやっていないでしょうね。。。

この問題に取り組んだ陸軍における医学の面での最高責任者、陸軍軍医総監であったのが、作家としても名を残す「森鴎外(本名:森林太郎)」。 脚気になったのは陸軍ばかりでなく、海軍も同様で、明治15年に遠洋航海に出た軍艦では乗組員357名位のうち、159名が重度の脚気になりそのうち23名が死亡したというのですから、偏食も怖いものです。  偏食で死亡するなど、考えたこともありませんが、怖いものです。 森鴎外は、この原因を病原菌によるものと考え、一方、海軍の軍医総監であった高木兼寛(カネヒロ)は、食物に原因ありとみたそうで、この二人の反目は、伝統的に日本海軍と日本陸軍は中が悪かったという説を裏付けています。

現在の知識水準で昔の物事を判断してはなりません。 顕微鏡が発明される前には、目に見えない微生物の存在など分からなかったように、分からなかったことが沢山あった時代ですから仕方ないのです。 結果として間違っていた話ではあっても、本人は真面目に真剣に取り組んだのです。当時の医学会の権威でさえ見誤ったのですから、ある時代の権威と言うのは必ずしも正しくはなく、それは現在でも同じことです。

今や、脚気などと言う病気があったことすら忘れ去られていますが、遠洋航海に出るのさえ、命がけの時代であったのです。 本書、300ページを超す大作に脚気がいかに克服されたかを詳細に解説しています。 病気の事ばかりでなく、当時の時代背景まで詳細に解説し、日本の近代史を知るのに絶好の書です。 荒木さん、軍隊関連の著作が多く「日本人はどのようにして軍隊を作ったのか」「自衛隊という学校」など、読むべき価値のある著作を多く残しています。 この3冊、お勧め本です。 いや、私はこの3冊しか読んでいませんが、荒木さんによるものであれば全て、お勧めかと思います。

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