「歌謡新詩壇」紹介ブログ

歌謡詩の全国同人誌「歌謡新詩壇」の紹介

「歌謡新詩壇」第82号

2011年04月23日 | 歌謡詩
 東日本大震災は人間が大自然の前では如何に無力であるかと言うことをまざまざと見せつけました。1ヶ月以上も過ぎたというのに毎日余震があり、ここ伊勢崎でも時々どきりとするような大きな揺れがあり、神経が過敏になってしまいました。被災地の皆さんは言い表せないような苦しみに遭われていることでしょう。一日でも早く安らげる生活が戻りますことを祈念しています。
 「歌謡新詩壇」は広島在住の作詞家三宅立美先生が主宰する歌謡詩の全国同人誌です。前身の「新歌謡界」以来多くの作詞家を輩出しています。
 「歌謡新詩壇」82号からは、2年ほど前、三宅先生の祝賀会でお世話になりました黒田みずきさんの作品を紹介します。

         思いで風鈴

                              作詞 黒田みずき(同人)

         思い出の 風鈴を 取り出して
         窓辺にそっと 吊してみました
         揃いの 浴衣 揃いの 下駄で
         夜店のぞいて はしゃいだあの日
         チリチリ チリリ 風鈴チリリ
         愛しい あなたは もういない

         ささやかな 幸福(しあわせ)に 身をまかせて
         肩よせ合って 暮らしたあの頃
         小さな テーブル 小さな ソファ
         夫婦きどりの ひと夏でした
         チリチリ チリリ 風鈴チリリ
         笑った あの顔 思い出す
 
         あの日から 一年が 過ぎました
         お元気ですか どうしていますか
         あなたの 枕 あなたの パジャマ
         今も大事に しまってあるわ
         チリチリ チリリ 風鈴チリリ
         戻って 欲しいと 泣いてます

 黒田さんは、三宅先生の記念祝賀会で同席させていただいたお一人です。この作品からも伺えますがかなりの実力者です。今は新詩壇には作品を発表していませんが、どこかで活躍されているのでしょう。また、新詩壇で作品にお目にかかりたいと願っています。第82号の同人作品選評は山北由希夫先生でしたが、「下町ぐらしの雰囲気がさわやかに表現され、夜店の金魚釣りした頃を思い出します」と評され同人トップに据えられました。

続いては最新号からの作品を紹介します。


          津軽海峡(つがる)ひとり

                                作詞 くらしま 圀次(特別同人)

         断った絆の 竜飛の崎(みさき)
         忘れ切れない 恋月日
         噂ひろって ここまで来たが
         叩く 三味線(しゃみ)さえ
         三の糸音(いとね)が 咽び泣き
         歌うじょんから 津軽海峡……

         季節(とき)は流れて 夏から冬へ
         ねぶた祭りで はぐれ鳥
         船も通わぬ 海峡線を
         走る 夜汽車が
         蛍舞うよに 灯を点けて
         北へ快速 津軽海峡……

         愛をかさねた 竜飛の崎
         宿の明かりに 揺れる雪
         顔に張りつく 襟巻きはずし
         夢の あと追う
         恋はおんなの 漁り火か
         鴎ひとりの 津軽海峡……
                (歌謡新詩壇第161号発表)

 くらしまさんは同人としては比較的新しく入会された方です。しかし、なかなかの実力者です。どこかで活躍されていたのかも知れません。こだわりがあるのでしょうか?作風が独特です。長野県にお住まいの方ですが、もしかしたら青森のご出身かも知れません。違った作風のものも見てみたい気持ちです。