「歌謡新詩壇」紹介ブログ

歌謡詩の全国同人誌「歌謡新詩壇」の紹介

「歌謡新詩壇」第66号

2011年01月23日 | 歌謡詩
 「歌謡新詩壇」は歌謡詩の全国同人誌です。主宰は数々の作品を世に送り出している広島在住の作詞家三宅立美先生です。昨年、お亡くなりになった星野哲郎先生とは「立ちゃん」「哲ちゃん」と呼び合ったお仲間です。いまも、焼酎大好きで、作詞をされる傍ら「歌謡新詩壇」の編集、発行を一身に引き受けられてご活躍中です。そのエネルギーにはただただ恐れ入ります。
 「歌謡新詩壇」66号は、平成6年11月に発行されました。66号からは、前身の「新歌謡界」からの大先輩、四賀郷子さんの作品を紹介します。

          あの娘はちゃんと恋をして

                               作詞 四賀 郷子(特別同人)

        花だったんだよ
         遠くでじっと 咲いていた
         おいらの好きな 花だった
         そっと眺めて いるうちに
        ああ あの娘はちゃんと 恋をして
            お嫁にいちゃた……

         いつ頃なんだろ
          どこで出会った 人だろか
          愛することを 知ったとき
          花はふるえて 泣いたろな         
         ああ あの娘はちゃんと 恋をして
             いい人決めちゃった……

           仕方がないよね
            散らない花など ありゃしない
            今頃どうして いるんだろ
            しあわせならば それでいい
           ああ あの娘はちゃんと 恋をして
               だまって嫁(い)っちゃた……

 四賀さんは「新歌謡界」時代からの大先輩です。この作品の発表前に「特別同人」に昇格されました。私の好きな抒情詩が大変お得意な人です。この作品も、少し前の時代にはよくあった風景ではないでしょうか。最近、作品が見られなくなりました。今もご健在でしょうか? 

続いては最新号からの作品を紹介します。
                 

               

 最新号は新春号として届けられました。その新春号からは、広島の同人「門 ときたか」さんの作品を紹介します。

           雪 割 草

                         作詞 門(かど) ときたか(特別同人)

        春を呼んでる 雪割草は
        風の口笛 きいて咲く
         あつい貴方(あなた)の 視線の中に
         愛を深める 口づけに
         おんな おんな
         おんな心を もやすのよ

        めぐり逢うのも 偶然ですか
        情け知るのも 縁ですか
         過去はいらない 二人の恋に
         胸をはずませ 生きていく
         おんな おんな
         おんな心が ときめくの

        日差しあびてる 雪割草は
        咲いて希望(ゆめ)よぶ 白い花
         貴方信じて 寄り添いながら
         命捧げる 幸せに
         おんな おんな
         おんな心を 尽くすのよ
(歌謡新詩壇第160号発表)

 門さんは広島の同人で、三宅先生の作詞教室にも参加されているようです。三宅先生の作詞教室は毎年オリジナル作品の発表会を開催し、門さんも作品を発表しています。この詩は、雪割草におんな心を託しているとでも言うのでしょうか?女性の恋心がよく描かれています。門さんには三宅先生の祝賀会でお会いしご挨拶をさせていただきました。またいつか、お会いできる日があることを期待しています。


「歌謡新詩壇」第62号

2011年01月01日 | 歌謡詩
 新年おめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
 歌謡詩の全国同人誌「歌謡新詩壇」を紹介して、3年目になります。今年も根気よく続けていきたいと思います。
 「歌謡新詩壇」は故石本美由起先生の主宰されていた「新歌謡界」を受け継いで、三宅立美先生が主宰されている歌謡詩の全国同人誌です。第62号は、平成6年3月に発行されました。62号からは、不肖私の作品を紹介します。自分の作品を紹介するのは、忸怩たるものがあるのですが、お笑いください。

     君 の 卒 業

                           作詞 草間の半次郎(同人)

         「ふるさとで先生に」 夢を叶えて旅立つ
         君からのさよなら 桜吹雪のその下で
         
         さよならのその日が 桜前線つれてきて
         君は今 僕との 恋の単位を取りきった
          卒業証書は 僕が涙で書いたから
          悲しみが にじんでいるけれど
          明日からの君に 必要はないよね
          花びらの中を 無言のままで
          僕から卒業して 行く君に
          贈る言葉は…無い

         花びらが舞い散る 花に嵐と言うけれど
         君はなお きれいで 春の嵐に送られる
          卒業論文 君の想いが揺れていて
          合格を 見送りたいけれど
          誰よりも僕を 理解していたから
          その愛をたたえ こころを込めて
          僕から 卒業して行く君に
          贈る涙は…熱い

         さよならの告辞を 僕はとうとう言えずに
         君からの答辞が 桜吹雪に泣いている

 62号の選評は山北由希夫先生でした。「詩の長さは長いと感じないが、ところどころ曲のつけにくいフレーズが気になるので要注意。タイトルを(卒業桜前線)に改作してもう一度一考を。そうすれば深みのある、切実感のあるものになるはず、今後に期待。」とのお言葉をいただき、恐れ多くも「同人」欄トップに掲載していただきました。山北先生には、いつも励ましていただいたのですが、期待にお応えできず申し訳ない限りです。

 続いて最新号からの作品を紹介します。
            
       
       山 鹿 恋 灯 籠

作詞 貴船 翠風(特別同人)

          盆が済んだら あなたのもとへ
          走る覚悟が 出来ました
          帝(みかど)迎えの 仄明り
          今年で終わりに するのです
          山鹿千人 灯籠踊り
          金灯籠(きなとうろう)の 灯りを揺らす

          おんなごころに 炎(ひ)を点けたまま
          消えて音沙汰 梨つぶて
          来ない人なら 私から
          奪いに行くしか ありません
          山鹿千人 灯籠踊り
          涯なく続く よへほ節

          菊池川から 吹く川風が
          火照るこの乳房(むね) 宥めても
          肥後は火の国 火の女
          あなたに埋めなきゃ 鎮まらぬ
          山鹿千人 灯籠踊り
          寝そびれ蝉の 夜さり鳴き
                 (歌謡新詩壇第159号発表)

 貴船さんは、歌謡新詩壇の同人の中でも、ひときわ異彩を放っています。歌手としてもCDを発表し、詩吟もなかなかのものです。もちろん作詞でもCDを出されています。この詩は、肥後の激しい女性の恋心を詠っていますが、貴船さんでなければ使えないような難しいフレーズもあり、大変勉強になる詩です。