らいちゃんの家庭菜園日記

家庭菜園、家庭果樹栽培及び雑学日記

庖丁(ほうてい)牛を解く

2017-07-10 | 雑学

最近、料理の番組をよく目にします。
健康志向の高まりからそれに沿うような料理、或いは男性のための「男の料理教室」や一流料理店の料理長が教える「料亭の味」など、家庭でもできる美味しい料理の作り方などを教えてくれています。
料理は女性の仕事とばかり思っている男性の皆さん、男も積極的に料理に関わりる時代となったようですよ。

さて、料理に欠かすことができない道具の一つに包丁があります。
その包丁という名称が人の名前に由来していることをご存知でしょうか?
今日は包丁の名前の由来についてご紹介します。

包丁は、本来は「庖丁」と書いていました。
「庖」は「くりや」即ち調理場の意味で、「丁(てい)」は「男」で、庖丁(ほうてい)とはくりやの男、 つまり板前さんの事です。
でも、調理人なら誰でも庖丁かと言うとそうではなく、「庖丁」は2300年ほど前の中国の古典(戦国時代の思想書)【荘子】に出てくる、当時の王に仕えた伝説的名調理人の固有名詞とされていたようです。

「庖丁(ほうてい)牛を解く」と言う諺があり、その故事は次のように伝えられています。

「故事」
中国戦国時代、庖丁(ほうてい)はある時、魏の文恵王の御前で、牛を一頭料理してみせました。
この時の庖丁の刀捌きは見事の一言で、あっという間に肉は骨からはなれていき、その手捌きはリズムを刻むように心地よいものでした。

文恵王は、「実に見事なものだ。技も極めるとここまでになるものなのか」と驚嘆の声をあげて褒め讃えると、
庖丁は刀を置き、「これは技ではございません。技以上の「道」であります。 」とその極意を語ったのです。
庖丁の言を聞いた文恵王は、「これは良い話を聞いた。無理をしないのが人生を全うする極意と心得た。」
と言って、料理する刀を庖丁と呼ぶようになったと言うことです。

庖丁(ほうてい)が日本に伝わると「ほうちょう」と読まれるようになり、庖が当用漢字外となった際に「包」があてられて「包丁」となりました。

なお、「庖丁(ほうてい)牛を解く」と言う諺は日本の文献にも記されているようです。
『日本山海名物図鑑』宝暦4年(1754年)刊に、
荘子曰く、「庖丁能く牛を解く」、庖丁はもと料理人の名なり。その人使ひたる刃物なればとて、つゐに庖丁を刃物の名となせり。むかし何人かさかしくもろこしの故事を名付けそめけん。今は俗に返してその名ひろまれり。」
と、庖丁の名前の由来が記されているそうです。

庖丁(ほうてい)こと包丁は、元は名調理人の名前でした。包丁は粗末に扱えないですね。