国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

『非市場性国債』の発行で財政破綻回避、利上げで増税・支出削減による政府財政健全化?

2006年06月24日 | 日本国内
◆全銀“預金超過”で利上げする意味

 私は、都銀も含めて全銀ベースで“貯金超過”に転じた状態で利上げする意味を掴みかねている。一般的に、景気が強いときのマネーフローは、企業・家計の資金需要が増大→銀行貸出が増加→銀行の市場性資金調達が増大、という流れとなる。景気の強さがインフレをもたらすとき、このマネーフローにブレーキをかけるため日銀は利上げするわけだ。そうなると、銀行は資金調達コストが増大→貸出金利が上昇→資金需要が抑制される、という構図となり、景気拡大にブレーキがかかり、インフレは抑制される。
 現状、銀行界は預金超過だ。金融システムルートを通じて資金需要はおう盛ではない。この状況で利上げすると、どうなるのか。まず、銀行の預金金利は上がるが、利上げ幅に比べると微微たるもの。全体として銀行の負債コストは多少上がる程度だ。一方、貸出(資産)側はどうか。貸出金利が利上げ分上がると、預貸スプレッドは拡大していく。企業・家計は銀行に余分の利息を払い、その分業純は増加する。こうなると銀行収益の増加を狙った利上げとなる。
 または、オーバーバンキングで貸出金利があまり上がらないと、預貸スプレッドの拡大は非常に限られ、業純はほぼ変わらず。もしかすると微減かもしれない。金融システムルートで見ると、何の意味もない利上げとなる。
 中央銀行は金融システムルートを通じて金融政策の影響力を行使していくものだが、このルートを通じて影響力が及びにくい現状のような場合では、市場金利を上げることで、金融システムの外側に影響力を与えようとしているのだろうと考えられる。うーん、合理的だろうか。社債等の発行コストを上げる?コストが高くなると借り入れに切り替わる。貸出は増えるが、資本市場のあり方として本来は、間接金融(貸出)の金利は直接金融よりも高いもの。
 わが国経済において、資金需要が滅茶苦茶おう盛な主体が一つある。政府である。資金需要がおう盛だから、市場金利を上げる、そのための利上げである、と考えるなら、マネーフローの面では話が通じる。ただ、そうなると、政府を締め上げる、財政健全化に向けて鞭打つ利上げとなる。利上げの鞭に打たれて一層の財政健全化を行うと、支出抑制・増税は不可避で、それに向けて日銀は追い込みを図っているのだろうか。もちろん、健全化努力が鈍いと、国債発行コストが増大した分、プライマリーバランスは悪化する。まさかそれを狙った利上げでもないし。
 私はマネタリストではないのだが、金融システムルートのマネーフローの観点では利上げの意味はやっぱり分からない。貸出がこれからどんどん増えていくなら話は分かるのだが。そうなると合点がいく。
by bank.of.japan | 2006-06-01 22:25 | 経済 | Trackback(4) | Comments(4)
http://hongokucho.exblog.jp/4885020/

◆20年利付国債(第88回)の第Ⅱ非価格競争入札結果について
平成18. 6.20 財   務   省
 本日の20年利付国債(第88回)の第Ⅱ非価格競争入札に対する応募はなかった。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/nyusatu/2006/resul023a.htm

◆満期保有前提の国債、財務省検討  6/22
 財務省は満期までの保有を前提とする「非市場性国債」の発行に向けた検討に入った。市場での売買を通じ価格が変動する通常の国債と異なり、購入後に金利が上昇した場合に生じる会計上の損失を回避できるのが特徴。需要動向を踏まえたうえで、銀行などの機関投資家向けに2―3年後にも発行できるよう詰める。

 財務省が21日に開いた国の債務管理の在り方に関する懇談会で、今後の検討課題として示した。投資家からは新型国債について償還までの期間が5年程度の商品を要望する声が上がっている。満期保有を条件に時価会計を適用しないルールとするため、何らかの譲渡制限を設けて売買を規制する仕組みなどを検討する。 (07:01)
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT3S2101G%2021062006&g=E3&d=20060622

◆財務省が 国債管理政策の一環として 国内金融機関向けの『非市場性国債』の発行について検討を始めたようです。


日本の国家破綻は とりあえず回避できるでしょう

『非市場性国債』は 大変マニアックでテクニカルな話題です。 愛読者の方々には 大変申し訳なく思います。が、 結論から申し上げます。『非市場性国債』の立法化は 日本経済の国家破綻を防ぐためには 最優先課題であったのです。『非市場性国債』は  現実的に実行可能で即効力のある『日本の国家破綻』処方箋としては 民主主義社会では遅々としてしか進められない『行財政改革』よりも はるかに絶大かつ即効力のある『法的措置』だったのです。

私は 去年から このブログで 財務省の国債管理政策の徹底として『非市場性国債』の立法化については たびたび力説してきました。すなわち、『発行時時点で 市場(マーケット)へは決して流通させてはならない国債で さらに 満期までの保有を義務付ける国債の立法化を 幾度も力説してきました。
この『非市場性国債』を立法化しないということは 財務省が国民の生活を見捨てたことである とも 嘆きながら 力説してきました。
ですから 財務省が国内機関投資家向けに『非市場性国債』を2ー3年後には発行するというのは 大変な大変な大変な大変な吉報なのです♪♪
日本経済が国家破綻に向かっているとするなら 残されたタイムリミットは 私は最低5年と判断していたので これ以上の吉報はありません。

やっと財務省が 重い腰を上げてくれ始めたようです。
今日ほど 2年近くブログを書き続けて 嬉しかったことはありません。
(あぁ~~~ほっとして 当分 ブログの更新をさぼるかもしれません。それくらい 今の私は ほっとして 日本経済の未来へ 15年ぶりに光明を見出した気がします。
当分 PCからから離れてしまうかもしれません。)

たまには財務省をほめてあげましょう♪ 『債務管理の在り方に関する懇談会』のメンバーは絶賛に値します♪
懇談会のメンバーには 一人当たり1億円ずつのボーナスを差し上げましょう♪
 財務省の中の官僚で 『非市場性国債』検討チームのメンバーには ボーナスは向こう2-3年かけて3倍以上にして差し上げましょう。
彼らは 日本が国家破綻する危険(Riskではなく この場合は 明らかなDangerでした)から 現在進行形で日本を救っている人々です♪♪♪

しかし マスメディアの報道の扱い方が小さ過ぎる。本当に彼らは経済オンチになっている。濡れ衣で人を叩くことはあっても 賞賛すべきときに賞賛しなかったら この国の隠れスーパーテクノクラートは みな国外脱出してしまうでしょう。
本当の『非国民』は やはりマスメディアなのではないでしょうか????
(誤変換お許しください とりあえず 取り急ぎアップ)  

非市場性国債は とりあえず長期10年もの国債の金利が3%内で推移するかぎりにおいては 個人向け国債の順調な市中消化などを鑑みれば 日銀および郵政公社&年金資金運用基金の三つの機関向けに消化されてゆくのが妥当と思います。しかしながら かんさんもかんさんのブログでご指摘なさっているとおり 成熟国家の金利とインフレの関係は 『金利>>>>>インフレ率』です。ですから おそかれはやかれ 銀行や生保や損保は 国債を投売りするか(国債の暴落の引き金を引いて 自らの首を自分で絞める) 行政指導で国債の第二の不良債権化をするか どちらかも道を歩まねばなりません。第二の金融危機で 再び日本を超大型不況に突入させないためにも 一般の金融機関も 非市場性国債を保有する社会的責務は現存します。あるいは もはや一般の金融機関は 非市場性国際を保有しない限り パブリックアクセプタンスを失ってしまうでしょう。
ですから 非市場性国債の引き受けてとしては 全く新しい機関を新設する必要があります。国債を大量に保有する機関投資家すべてのバランスシートから 国債を切り離すためです。すなわち 私が自分のブログでたびたび記してきたように 私は、『国家清算事業団』とか『国債清算事業団』あるいは『国債管理事業団』(まぁ 名称は何でもよいのです)のような『全く新しい機関』を設立して 日本国債を満期まで運用することをもっぱらとする専門機関の新設が絶対必要だと考える立場です。
タイムリミットは5年から8年。二~三年後を目処に財務省が『非市場性国債』を導入する気になっただけでも 新たなる大一歩と評価したいです。
ヘッジファンドが 日本国債を売りあびせるかどうかの可能性は 私は 地政学的にはまず当面ありえないと思います。
『日本がIMFの管理下におかれる可能性』の次に 低いと思います。

しかしながら 財務省が 懇談会に提言されるまで 気が付かないとは どういうことなのでしょうね。まぁ提言されたら 非市場性国際の必要性は理解できるんですから まぁ 優秀なのでしょうね。実を言うと 菱上司国債の検討に2-3年かけるというのも 民間では考えられないような『のろさ』でありますが.

しかしならが 貴重な第一歩ではあります。
行財政改革や公共事業の削減や消費税20%だけだと この国は破滅でした。一番即効性のある『非市場性国債の導入』という施策を 行財政改革と公共投資削減や増税と 併行して行う以外 一番即効性のある施策は無かったのです。
とにかく 財務省が馬鹿じゃなかったこと判って 私は嬉しいです。
アメリカのヘッジファンドが 国債先物で売りあびせるようなことをすれば 日本国が大量に保有するアメリカ国債も 日本人が放出するという 悪夢のシナリオくらいは アメリカ政府も熟知していると思います。
http://diary.jp.aol.com/uvsmfn2xc/483.html



【私のコメント】
『非市場性国債』の発行で日本は財政破綻を何とか避けられるかもしれないという話だ。この問題について今後の進展を見守りたい。

『非市場性国債』についての話題が今まで国内で取り上げられず、日本の財政破綻の危険が大声で叫ばれ続けていたことは、ドルの世界覇権が揺らいだ状態で円の安全性を相対的に低くしてドルの覇権を支える意図があったのではないかと思われる。そして、この話題を取り上げたということは、もはやドルの覇権を支える必要が無くなったことを意味するように思われる。

金利引き上げについて意味があるのかどうかという問いは非常に重要だと思われる。6/20の20年利付国債(第88回)の第Ⅱ非価格競争入札で入札がなかったことは、政府の資金需要が供給側を上回りつつあることを示していると思われる。そして、このニュースはネット上のニュースサイトでは全て消去されている様だ。政府や日銀にとって都合の悪い情報なのだろう。金利引き上げが仮に行われれば、政府が新たに行う借金の利息が上昇して利払い費が増え、増税圧力・支出削減圧力になることは避けられないという指摘には賛成する。
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