国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

支持者を取り戻しつつある?自民党

2009年08月11日 | 日本国内
●アジア共通通貨創設を=鳩山代表が月刊誌に論文 時事通信 2009/08/06

 民主党の鳩山由紀夫代表が10日発売の月刊誌「Voice」9月号に、「私の政治哲学」と題した論文を寄稿していることが6日、分かった。鳩山氏は持論の「友愛」について「われわれが目指す『自立と共生の時代』を支える精神」と強調。「友愛が導く国家目標」として、「東アジア共同体」の創設を挙げ、アジア共通通貨の実現を訴えている。
 鳩山氏は「米中両国のはざまで、日本はいかにして国益を守るのか。これはアジアの中小規模国家が思い悩んでいるところだ」と提起。「各国の過剰なナショナリズムを克服し、経済協力と安全保障のルールを創り上げていく道を進むべきだ」として、東アジア地域で恒久的な安全保障の枠組みを構築し、共通通貨をつくるべきだと提案した。
 地方分権に関しては、「『地域主権国家』の確立こそ『友愛』の現代的政策表現だ」と強調。地域経済の再生に向け、基礎自治体(市町村)への権限移譲を進めるとした。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009080600951




●民主・鳩山氏「アジア共通通貨の実現を」 2009年8月6日 読売新聞

 民主党の鳩山代表は、10日発売の月刊誌「Voice」に寄稿し、東アジア地域の通貨を統合する「アジア共通通貨」の実現を提唱した。
 鳩山氏は、「私の政治哲学」と題した寄稿で、自らの政治信条である「友愛」に基づく国家目標の一つとして、「東アジア共同体」の創造が必要だとの考えを示した。
 具体的には、国際情勢について「米国一極支配の時代から多極化の時代に向かう。中国が、軍事力を拡大しつつ、経済超大国化していくことも不可避の趨勢(すうせい)だ」との認識を示した。そのうえで「アジア共通通貨の実現を目標とすべきであり、その背景となる東アジア地域での恒久的な安全保障の枠組みを創出する努力を惜しんではならない」と主張した。ただ、アジア共通通貨の実現には「今後10年以上の歳月を要する」とし、政治的統合には「さらなる歳月が必要」とも指摘した。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090806-OYT1T01282.htm






●【09衆院選】民主、「国連警察隊」創設を検討 沖縄に本部誘致も 産経新聞 2009.8.11

 民主党が国連による国際紛争への対処策として、軍民の専門家を個人単位で募る「国際緊急警察隊」(仮称)の創設を検討していることが10日、分かった。政権獲得後、安全保障政策の一環として国連に設置を働きかけていく。

 民主党が掲げる「対等な日米同盟」と「国連重視」を国内外にアピールする構想で、沖縄の在日米軍基地の縮小と並行して、国際緊急警察隊の本部と訓練施設を沖縄に誘致することも検討する。

 党幹部によると、この構想は、衆院選マニフェスト(政権公約)とは別に鳩山由紀夫代表が幹事長時代の今年2月、安保政策担当者に作成を指示し、7月下旬にまとめた政策原案に盛り込まれた。作成には、山口壮「次の内閣」防衛副担当のほか、党内リベラル派の平岡秀夫、現実路線の長島昭久の両前衆院議員が携わった。「幅広い党内の意見を集約した内容」(政調幹部)とされ、民主党政権の安保政策の指針になるとみられる。

 政策原案は、基本理念として「平和をつくる戦略的発想」と「過度の対米依存からの脱却」を掲げた。国際緊急警察隊は、個人の意思で集まった各国の文民、警察、軍人、司法、緊急支援などの専門家で構成し、国連の下で国際紛争の初期段階に投入する。国連緊急平和部隊(UNEPS)案として、緒方貞子国際協力機構(JICA)理事長らが同様の構想を提唱した経緯がある。

 国際緊急警察隊は、国連決議によって派遣されるため、「日本の主権の行使にあたらない」として、他国部隊と同様の武器使用権限を認める。また、国連平和維持活動(PKO)に参加するための国内組織「国連待機即応部隊」を新設し、それまでの間は暫定的に自衛隊派遣も認めるとした。

 これとは別に、政策原案はアフガニスタン復興支援について、「インド洋の給油ではない形の貢献を目指す」と明記。給油に代わる代替策として警察改革や農業での文民支援を挙げた。

 日米地位協定については、基地受け入れ自治体と米軍の直接協議の枠組みを設け、「抜本的見直しを行う」とした。米軍再編でも民主党が政権をとれば「沖縄にこれ以上、新たな米軍基地施設を増設しない」との原則を明確化した。

 核軍縮では、オバマ米大統領の提案を「全面的に支持する」とし、中国の戦略核、中距離核戦力については「軍縮交渉のテーブルにのせるよう米露両国に働きかけなければならない」と記した。自衛隊の海外派遣については「国会の事前承認を得るものに限る」との原則を盛り込んだ。
http://sankei.jp.msn.com/politics/election/090811/elc0908110111000-n1.htm






●【09衆院選】10ブロックで民主優勢 無党派層は自民?  産経新聞 2009.8.10

 30日投開票の衆院選を控え、産経新聞社は、FNN(フジニュースネットワーク)と合同で実施した電話による世論調査(8、9両日)などをもとに18日の公示前情勢を分析した。この結果、民主党が優位に戦いを進めていることが分かった。

 比例代表の投票先について、民主党と答えた割合は、前回調査(6月20、21両日実施)に比べ1・3ポイント減の44・6%だったが、自民党の25・4%を大きく上回った。民主党は比例代表で大量得票する可能性が出ているが、無党派層の動向が衆院選の帰趨(きすう)を決める側面は強く、情勢は流動的だ。

 政党支持率では、民主党は前回調査より3ポイント増の31・1%に対し、自民党は1・9ポイント増の22%だった。

 自民党支持者のうち、比例代表で自民党に投票すると答えたのは、前回の86・1%に対し、今回は78・6%に減少した。減少分は民主党に流れたとみられ、民主党に投票すると答えた自民党支持者は、前回7・5%だったのが、今回は11・4%に増加した。

 一方、民主党の支持基盤は固く、民主党支持者のうち民主党に投票すると答えたのは前回より2ポイント減らしたものの、92・3%と依然高い水準を維持し、自民党に投票すると答えたのは前回と同様に1%台にとどまった。

 ただ、自民党内には「上向きになってきた」(閣僚経験者)と選挙戦での手応えを感じ始めてきた候補者も少なくない。このことを裏付けるように、「支持する政党はない」と答えたのは、前回比7・9ポイント減の31・4%だが、このうち、自民党に投票すると答えたのは、30・4%に上った。

 逆に、民主党に投票すると答えたのは前回27・3%だったのが、今回21・7%にダウンし、無党派層の民主党離れが読み取れる。ただ、無党派層の43・5%が比例代表の投票先を決めていない。


 地域ブロック別ごとに投票先を見ると、全11ブロックのうち10ブロックで投票先を民主党と答えた割合が自民党を上回った。

 中国ブロック(定数11)だけが自民、民主両ともに35%で拮抗(きっこう)した。石破茂茂農水相(鳥取1区)、細田博之自民党幹事長(島根1区)らは盤石な地盤を維持しており、比例代表にも好影響をもたらしたようだ。

 民主党に投票すると答えた割合が最も多かったのは四国ブロック(定数6)で56・3%。自民党に投票するとしたのはわずか15・6%だった。前回は民主46・9%、自民34・4%だったことから、民主党に勢いがあることがうかがえる。北関東ブロック(定数20)では、自民党に投票すると答えたのは30%。民主党と答えたのは44・5%だが、前回調査は自民23・6%、民主48・2%で、自民党は支持者を取り戻しつつある。

 比例代表(180)のうち、最も定数が多い近畿ブロック(定数29)は自民党が22・8%と民主党の42%と大きく差をあけれらた。

 一方、麻生内閣の支持率は20・5%と前回比で3ポイント上昇。不支持率は6・1ポイント減少し、66・6%だった。
http://sankei.jp.msn.com/politics/election/090810/elc0908102035017-n1.htm
http://sankei.jp.msn.com/politics/election/090810/elc0908102035017-n2.htm





●「デモクラシー以後」 エマニュエル・トッド著 p287-288

今や有権者は、政治家が仕える存在ではなく、政治家に操作される存在なのだ。視聴覚メディアを統制し、ジャーナリストをたらし込み、倦まず撓まず世論調査を分析する。こういうことが一つの職業的技術となり、それに長けた人間や、その下働きをする人間が輩出するようになったのは、民主制は、時としてそう呼ばれるように、これまでは世論の民主制であったのが、いまや操作の民主制となってしまったからなのである。






【私のコメント】8月10日付けの産経新聞の報道によると、無党派層で自民党が民主党より優勢になっているという。自民党内には「上向きになってきた」(閣僚経験者)と選挙戦での手応えを感じ始めてきた候補者も少なくないとの指摘もある。これは一体何を意味しているのだろうか?

日本の支配階層は、次期衆院選で自民・民主両党が獲得すべき議席数を決定した上で、選挙結果がその議席数に合う様に世論の動向を微調整し続けていると思われる。世論の操作を行うのはマスコミの報道であり、民主党に有利・不利な報道、自民党に有利・不利な報道を組み合わせて、自動車のアクセルとブレーキを操作するようにして想定した得票、想定した議席数を実現しているのだと思われる。

例えば、8月6日に報道された「東アジア共同体」「アジア共通通貨」は、東南アジアや中国の貧しい工場労働者と同じ水準まで日本人の所得が低下するという懸念を生み、民主党には不利に働くと想像される。8月11日報道の「国連警察隊」・「国連待機即応部隊」創設案も、諸外国がそのような部隊を持たずに常備軍の一部の派遣で対応していることから考えて合理的とは思えず、国民の支持を得られるとは思えない。民主党にとっては、具体的な政策は示さずに、オバマ米大統領のように「政権交代」だけを叫ぶのが有利なのである。民主党が次々に打ち出す政策案は確実に民主党への支持を低下させている。

現在の時点では、民主党は自民党に対して推定得票率で大差をつけていると思われる。このままなら、わずかな得票率の差が巨大な議席数の格差を生み出す小選挙区制では、自民党は壊滅的打撃を受け、民主党が圧倒的勝利を収める筈である。日本の支配階層はその様な選挙結果は好ましくないと考えているのだろう。恐らく、民主党が安定多数ではなく過半数ぎりぎり程度、自民党が健闘して200議席弱を確保するような選挙結果が望ましいと考えているのではないだろうか。

選挙直後の9月~10月は米国政府の破綻(具体的には国債不履行宣言とドルの暴落)が起きる可能性が高い。当然、米国から理不尽な要求が相次ぐことが考えられる。衆院で過半数ぎりぎり、参院で過半数割れ、社民党や国民新党と協力するとしても革新派から保守派まで含み内部の路線対立が起きかねない不安定な民主党政権は、米国の要求を受け流すのに最適である。そして、その時期が過ぎれば、不安定な国際情勢に対応すべく、自民党と民主党の連立による挙国一致政権が準備されているのではないかと想像する。




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3 コメント

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Unknown (うろこ)
2009-08-12 21:53:53
更新いつも楽しみにしています。
最近マスコミが、以前のように政権交代と連呼しなくなったのは、その微調整のせいでしょうか?
それからチラシの裏というのにも、大変興味深いことが出ています。Princeさんのコメントと一致する部分があります。今年の夏は、目が離せませんね。
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Unknown (ヒマ人)
2009-08-13 15:19:10
政界再編はまあ選挙の結果次第ですわ。
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Unknown (面白い発想だが)
2009-08-13 23:41:13
最終的には大連立が望ましいと思いますが、それに必要な条件は参議院の状況を考えると民主党が衆議院で3分の2を超えなければいいことになります。


いろいろな仕込みがされていると思いますが、鳩山代表関連のネタをマスコミは持っていてわざと選挙前には出さなかった。首相になった後に、これで辞職ないし総選挙となればまた数ヶ月混乱となります。米国の状況をみながらこうした期間は調整可能です。少数与党で国会が空転、そこで鳩山代表のネタが出てくる。米国の破綻が確定すればその後に大連立です。この場合には検察次第ですが、竹中のような米国のエージェントたちを法的に始末することが可能です。このときのキーパーソンのひとりは植草氏ですが、かれは今月から数ヶ月収監されて出てくる。タイミング的には考えられたようなタイミングです。

民主党で問題なのが、旧社会党系の議員、組織ですが、これは政権をとった後に思い通りにやらせてその後に、北朝鮮に暴れさせると非常に面白いことになる。おそらく、こちらも米国破綻のタイミングで動いてくるでしょう。北はなんらかの形で日本の民主党政権から軍資金を得ることになると思います。これは一石何鳥にもなります。
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