国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

21世紀の中東・東アジア新体制を巡る欧米とイラン・ロシアの秘密同盟

2011年09月06日 | 中近東地域
●バルチスタン、クルド、シーア派の聖地ナジャフ:米国の描く新中東地図とイラン
http://blog.goo.ne.jp/princeofwales1941/e/b7bdffa6e87d9de2508be8741c3b3c1a

上図はアメリカ軍部が発表した新中東地図





●世界最大の油田地帯が米英の管理下に!? 「アラブの春」はサウジアラビアにも及ぶか ――笹川平和財団アドバイザー・佐々木良昭

 国内政治で大騒ぎしている日本では、ほとんど関心を払われなくなった「アラブの春」現象は、いま危険水域に入り始めている。

 読売新聞の特派記者がリビアのトリポリとベンガジに入ったようだが、ニュースが第二面にしか出ていないということは、アラブで起きている激変に日本が全く注目していないということであろう。危険を顧みず身体を張ってリビアに乗り込んだ記者諸兄には、現地からの記事で第一面を飾れなかったということに同情を感じる。日本では総理の交代がニュースの最重要テーマになってしまい、外国での出来事を全く知らされない状態になっている。

 リビアの場合は、あるいは日本にとって大きな影響が及ばないということから大きな問題とはなるまい。しかし、湾岸諸国、なかでもサウジアラビアで異変が起こった場合は、どうであろうか。

 述べるまでも無い、日本は湾岸、なかでもサウジアラビアの石油にエネルギーの相当部分を依存している。まして最近では原発の危険性が大きく取り上げられ、化石燃料への依存が増加する傾向にあり、湾岸の情勢に対する関心を高めておく必要がある。

健康問題が懸念される王位継承権者たち

 現在、サウジアラビアの王家は瀬戸際に立たされている。

 第1に、チュニジアやエジプト、リビア、イエメンという共和国で始まった「アラブの春革命」が、バハレーンやヨルダンなど王制の国家を不安定な状態に追い込んでいる。そのことはいずれ、サウジアラビアを始めとする湾岸の産油諸国にも、多かれ少なかれ波及する。現時点では湾岸産油諸国は国民に対して、石油・天然ガス収入を大盤振る舞いすることによって、何とか国民の不満を抑え込んでいる、という状態である。

 もう1点。サウジアラビアのスルタン皇太子の健康問題だ。皇太子はいま、アメリカの病院で治療を受けているが意識不明の状態が2ヵ月以上も続いているようだ。つまり、生命維持装置を着けていることで辛うじて生きている状態にある。

 そのスルタン皇太子の妻ムニーラ王女が、最近死亡したというニュースが伝わってきた。そうなるとスルタン皇太子の死亡という展開を考えざるを得ない。彼は現在80歳を超えている。アラブ人は過酷な生活環境のせいか肉体的な老化が早く、実感的な年齢は10歳加えて考えるべきで、そうなるとスルタン皇太子は日本人的な感覚では90歳を超える高齢なのである。

 もし、アメリカの病院の医師とサウジアラビアの王家の人たちが、スルタン皇太子に着けられている生命維持装置を外すことを決断すれば、アブドッラー国王も相当に落胆することであろう。彼は腹違いの兄弟であるスルタン皇太子よりも2~3歳だけ年上なのだ。かねてから不安説が伝えられる、アブドッラー国王の健康状態も極めて不安定なものになるかも知れない。

 もし大胆な予測をするならば、こうした事態が生まれれば、その後にサウジアラビアの国王に就任するのはナーイフ殿下ということになる。彼はサウジアラビアの内務大臣として国内治安の最高責任者の立場にいる。

 しかし、このナーイフ殿下も70歳を超えており、同じく高齢であることに違いは無い。そうなるとサウド王家では、兄弟で継承してきた王権を一世代若返らせて新国王を擁立すべきだ、という以前からくすぶってきた議論が再燃する。つまり王位継承をめぐる混乱が起きることになる。

 これまでアブドッラー国王の個人的な人気によってサウジアラビアの王政は安定している、と語られているが、もし国王が死亡した場合、サウジアラビア国内の安定に懸念が生じる。現実にサウジアラビアでは、シーア派国民だけではなく民主化を求める文化人による政府批判のデモが起こっており、女性からは車の運転を認めるよう要求する声も上がっている。

油田地帯がアメリカ・イギリスの管理下に

 こうしたサウジアラビアの国内不安定化は、日本や中国、韓国、台湾などアジアの国々ばかりではなく、欧米諸国にも大きな影響が及ぶ。それに直面したところで日本は何もする気も能力も無いので、座して成り行きを傍観するだけになる。

 しかし欧米諸国は違う。確実に、サウジアラビアの石油や天然ガスが彼らの国に届くように次善の策を講じるはずだ。例えば特殊部隊をサウジアラビアの国内か近隣諸国に送り、何時でも対応できる態勢に入るだろう。

 湾岸諸国には、クウエイトにもカタールにもバハレーンにもアラブ首長国連邦にも、アメリカ軍が既に駐留している。アメリカ軍なら1万人程度の派兵でサウジアラビアの緊急事態に対応できる。その場合はイギリスも作戦に加わることになる。

 もちろん目的は石油、天然ガスである。サウジアラビアの場合は、ペルシャ湾岸のアルカティーフ地域に偏在している。アメリカとイギリスは、このアルカティーフ地域を押さえることによって、石油と天然ガスを手中に収めることになる。

 その場合、サウジアラビア政府に対してアルカティーフ地域への立ち入りを制限する可能性がある。完全な内政干渉であるが、その口実はアルカーイダを始めとするイスラム原理主義テロリストの侵入を阻止するというものになるはずだ。

 アルカティーフ地域は元々、サウジアラビアではマイノリティであるシーア派住民が大半を占める地域だ。そのため、これまでも民主化を求めるデモが何十回、何百回と繰り返されてきており、その都度、沢山の住民が逮捕・投獄され、拷問を受けてきた。

 したがって、アメリカ軍やイギリス軍がアルカティーフ地域に入り、結果としてサウジアラビア政府の権限が及ばないような状態になれば、アルカティーフ地域のシーア派住民はアメリカ・イギリス軍の同地域への進駐を大歓迎するであろう。

崩れる中東諸国のパワーバランス

 問題はアメリカとイギリスのアルカティーフ地域への進駐に対し、イラクやイランがどう対応してくるかということだ。イラクは表向きアメリカとの関係が良好であり、サウジアラビアとは敵対関係にあることから、立場を明確にしないだろう。

 イランについて言えば、表面的にはアメリカとイギリスの進出に非難の言葉を向けるだろうが、サウジアラビアが将来、石油・天然ガスによる収入を無くすということになれば、湾岸周辺諸国のなかでの影響力が大幅に低下する。イランにとっては非常に有利な展開になる。アルカティーフ地域の住民は、イランと同じシーア派でもあり、腹の底では大歓迎であろう。

 そして将来、駐留軍の管理下にあるアルカティーフ地域のシーア派住民が大幅な自治権を主張した場合、アメリカやイギリスは住民の意思を尊重する、と言い出すのではないか。最終的にアルカティーフ地域が国家として独立することも十分に有り得る。

 こうした密約を、アメリカとイギリスが、イラクのシーア派国民、イラン政府との間で交わせば、意外に簡単にけりが付くかもしれない。

 問題はサウジアラビア政府にどれだけ阻止する能力があるか、ということであろう。現段階で判断すると、アメリカ・イギリスの軍事力に加え、裏側でイランとイラクが支持するということになれば、サウジアラビア政府の抵抗には限界がある。

 アラブ諸国はいま大混乱のなかにあり、他国の面倒を見ている余裕は無い。サウジアラビア王家内部で起こりつつある変化が、大激変の状況を刻一刻と創り上げているのである。

佐々木良昭(ささき・よしあき)
1947年岩手県生まれ。拓殖大学商学部卒業後、国立リビア大学神学部、埼玉大学大学院経済科学科修了。トルクメニスタンインターナショナル大学 名誉博士号授与。大阪万国博アブダビ政府館副館長、アラブ・データ・センター・ベイルート駐在代表、アルカバス紙(クウェート)東京特派員、在日リビア大使館、拓殖大学海外事情研究所教授などを経て、2002年より東京財団シニアリサーチフェロー、2010年より笹川平和財団アドバイザー(いずれも現職)。近刊に『革命と独裁のアラブ』(弊社刊)がある。
http://diamond.jp/articles/-/13824






●露、中央アジアで失地回復じわり 米軍撤退にらみ各国で駐留延長 - MSN産経ニュース 2011年9月3日

【モスクワ=佐藤貴生】ロシアは2日、中央アジアのタジキスタンに駐留する軍の基地貸借期限を49年間、延長することで同国と合意した。オバマ米政権はアフガニスタンにおいて2014年までに治安権限を移譲すると表明しており、ロシアには米軍のアフガン撤退後をにらんで中央アジアでの失地回復を目指す狙いがある。域内では中国が巨額を投じてエネルギーを囲い込むなど影響力を強めており、米中枢同時テロの発生から10年の節目を迎え、米中露3カ国の駆け引きにも変化が生じている。

 ロイター通信などによると、メドベージェフ露大統領は同日、タジキスタンの首都ドゥシャンベで同国のラフモン大統領と会談、13年に迫った基地貸借期限を49年間、延長することで合意した。来春にも調印する見通しだ。

 ロシア軍はタジキスタン国内の3カ所に約6千人が駐留、海外では最大の軍事拠点だ。両国は、ドゥシャンベ近郊のアイニ飛行場を共同使用する合意文書に来年、署名することでも合意した。3日付の露コメルサント紙によると、この施設には米国や北大西洋条約機構(NATO)も関心を寄せていたとされ、露外務省筋は「まだ、誰のものでもないところ(同飛行場)に私たちの目印を設ける」と対抗心をあらわにした。

一方、米軍のアフガン撤退計画に関連し、タジキスタンの隣国キルギスのアタムバエフ首相は8月30日、アフガン駐留米軍が後方支援拠点として使用しているマナス空軍基地について、「貸与期限は14年までで、その後は民間の空港にする」と明言した。ロシアはキルギスとの間でも、カント空軍基地における軍の駐留期限を大幅延長する協議をしていたとされる。

 タジキスタンとキルギスは中央アジアでも最も貧しく、ロシアの手を借りて兵士の能力向上や軍備増強を図る狙いがある。中央アジア経由のアフガン産麻薬の流入阻止に頭を痛めるロシアにとっても、両国の治安安定は歓迎すべきことだ。

 同時テロ発生以来、中央アジアの安全保障に影響力を発揮してきた米国やNATOが、この地域にどう対応するかはまだ不透明だ。ただ、6月にはNATO幹部がタジキスタンを訪問し、アフガン撤退後を含めた今後の協力について協議したとみられる。“裏庭”の奪還に動くロシアや、経済を中心に侵食を続ける中国を前に、欧米の出方が注目される。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110903/erp11090320220009-n1.htm






●【イスラエル大使に退去要求 トルコ - MSN産経ニュース 2011.9.2 20:05

 トルコのダウトオール外相は2日記者会見し、昨年5月のガザ支援船急襲事件で正式な謝罪を拒否したイスラエルの駐トルコ大使に国外退去を要求した上で、外交関係を見直し、軍事面の協力関係を凍結すると発表した。

 事件で冷却化した両国関係は急速に悪化、中東全体の安定をも損ないかねない情勢だ。イスラエルのネタニヤフ首相は主要閣僚による緊急閣議を招集した。

 支援船事件をめぐり、国連の潘基文事務総長が任命した調査委員会は1日までに、イスラエル軍の武力行使は「過剰だった」としながらも、支援船側から「組織的、暴力的な抵抗」があったとし、イスラエルの主張を大幅に取り入れた報告書をまとめた。トルコは報告書提出までに謝罪するようイスラエルに要求していた。(共同)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110902/mds11090220060008-n1.htm





●4102.ロシアの中国けん制

ロシアは中国に付くのか、それともインド、ベトナムとその反中連合の日米に付くのか、この答えは、今までは日本が北方領土返還を固守するために、ロシアも日米同盟とは距離を置いていた。

日本も米国がオフシェア・バランシングを言い始めたことで、対中国での力不足を感じ始めていた。この日米越印に露が徐々に同盟を結び始めていきた。日本もそれを歓迎する雰囲気になっている。

ロシア太平洋艦隊が9月上旬から日本、米国と連続して合同演習する。ミサイル巡洋艦ワリャークを投入し、海上自衛隊と日本海で海難救助演習を実施。京都府舞鶴に寄港した後、米軍との演習の舞台であるグアムに向かう。ロシアは台頭する中国をにらみ、安全保障面で日米との関係強化を狙う。という日経の記事は非常にロシアの方向性を示し始めた。

去年にも韓国との合同演習をしている。また、韓国の済州島に空母とイージス艦が10隻程度停泊できる港を整備している。韓国も中国との対応を困っているようだ。

ロシアも対中国政策で徐々に、方向を決めてきている。中国は天燃ガスの取引で、その価格を引き下げ要求してきて、ロシアは天然ガスの売り込み先を韓国と日本に狙い定めている。

経済互恵での日露、韓露の関係が出来始めていることによる。

どう米国のオフシェア・バランシングに対応する体制を作るかが、日本の戦略家に与えられた使命でしょうね。

さあ、どうなりますか??

==============================
ロシア、日米と連続演習 中国の軍拡けん制
2011/9/1 2:04nikkei

 ロシア太平洋艦隊が9月上旬から日本、米国と連続して合同演習する。ミサイル巡洋艦ワリャークを投入し、海上自衛隊と日本海で海難救助演習を実施。京都府舞鶴に寄港した後、米軍との演習の舞台であるグアムに向かう。ロシアは台頭する中国をにらみ、安全保障面で日米との関係強化を狙う。

 ロシアが日米と連続して演習するのは異例。米海軍との軍事演習にあわせ、ロシア側が日本に人道的な訓練の実施を働きかけた。日米との一連の演習について、ロシア政府高官は「日米ロ3カ国による安全保障の枠組みを構築する足がかりとしたい」と言明した。

 ロシア艦は9月上旬に極東ウラジオストクを出港、日本との演習を経て、米海軍との洋上演習「パシフィック・イーグル2011」を実施する。カナダのバンクーバーにも寄港する予定で、津軽海峡を通過して12月にウラジオに帰還する計画という。ロシアには太平洋国家としての存在感をアピールする狙いもある。

 ロシアは8月、北朝鮮と9年ぶりの首脳会談を実施するなど、アジアへの関与を強めている。背景には軍事面で台頭する中国への警戒感があり、アジア太平洋地域では日米との関係強化に動いている。日ロ関係はロシア政権幹部の北方領土訪問などで悪化したが、東日本大震災後にロシアはエネルギー協力などを打ち出し、日本への接近を図っている。

 米ロが太平洋上で軍事演習を実施するのは06年のマーシャル諸島沖以来。08年のグルジア紛争などで緊張した米ロ関係はオバマ米政権発足後は改善し、軍事交流も活発になっている。ロシアは海上自衛隊と08年に舞鶴で同様の訓練を実施している。
==============================
神浦 元彰
韓国が黄海の入り口にある済州島に、米空母2隻が接岸でき、イージス艦20隻が同時に係留できる新海軍基地を建設中(2014年完成予定)。これに対し、韓国の野党は「国家権力の横暴」という論理で反対運動を激化させている。黄海の出入りを統制できる地政学上の要衝に中国や北朝鮮の危機感は強い。
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/230901.htm






●4108.ユーラシア大陸の覇権競争

米国のユーラシア大陸からの撤退は、米国内の状況を見るとほとんど間違いなしの状態だと見える。しかし、それなら、ユーラシア大陸の覇権競争はどうなるのであろうか?

競争参加者は、EU、ロシア、中国、イラン、インドなど大国が揃っている。中国はインド包囲網を築いているが、インドは中国対抗のグループを作り始めた。ベトナムである。このインド、ベトナムの裏には、武器供給を通じて、ロシアがいる。ロシアが徐々にアジアシフトをし始めて来ている。

これに比べて、EUはロシアとの友好関係を築いて、アフリカ・中東へ民主主義を広めて、その地域を影響範囲にしていくようだ。米国はマリアナ諸島まで撤退するという。その穴を日本と中国が取り合いになるのか?

ロシア、インド、ベトナム、日本などが中国包囲網を形成して、中国は、EUとロシアを中立にして、インド包囲網を完成させたいようである。イランとは同盟関係にして、中国がユーラシア大陸のほとんどを影響範囲にしたいのであろう。

インド+ロシア対中国+イランという対立関係が出てくる可能性が高い。もちろん、日本はインドチームに属することになる。

さあ、どうなりますか?
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/230941.htm





【私のコメント】
中東専門家の佐々木良昭氏が、 サウジアラビア東部でペルシャ湾岸のアルカティーフ地域の分離独立の可能性に触れている。この地域はサウジアラビアの大油田が集中すると共に少数派のシーア派の住民が多く、住民には不満が存在する。もし分離独立が成功すると、サウジアラビアは油田を失い、中東の最貧国に転落する。アラブ諸国のダメージは大きいだろう。そして、ペルシャ湾岸の油田地帯を影響下に置くことになるイランの影響力は非常に大きくなると思われる。そのような計画は「米国の描く新中東地図」で既に明らかにされている。

私は、欧米諸国は団結してアルカティーフ地域の分離独立を推進する意図があると考えている。欧州にとって、地中海の南側で広い海上国境で接するアラブ諸国は最大の脅威である。このアラブ諸国の勢力を弱体化させるには、その富の源泉であるペルシャ湾岸の油田を奪い、地域内のライバルであるイランの手にそれを委ねることが望ましい。イランやシーア派は面積も人口もアラブ・スンニ派より少ないので、その勢力を強めてイスラム内部での勢力を均衡させることを狙っているのだと思われる。欧米はもはや軍事力でアジアを押さえ込むのが不可能であることを理解しており、それ故に軍事力なしで外交的に中近東のイスラム地域をコントロールする方針だろう。

トルコが反イスラエルの動きを強めていること、ロシアが旧ソ連領中央アジアへの影響力を回復していることも注目される。トルコ系民族は欧州やロシアのキリスト教徒地域と、中近東北アフリカのアラブ・ペルシャ系民族地域の間に存在する。また、欧州やロシアの影響を受けて西洋化している。恐らく、欧米やロシアはトルコをイスラム地域での代理人として扱うつもりなのだろうと思われる。日米とロシアの海上共同演習も注目される。これは明らかに中国の脅威を封じ込めることが目的である。日本は欧米やロシアにとって、中近東でのトルコと同様に、東アジア地域で中国の脅威を封じ込めるための代理人としての役割を期待されていると思われる。日本としてはこの役割を果たしつつも、中国と組めるところでは組んで国益を追求し、中国の発展に恐れをなした欧米やロシアが日本に頼ってくるところで更に利益を得るという漁夫の利の戦術が望ましいだろう。

故サミュエル=ハンチントンは「文明の衝突」で、西欧の敵として儒教・イスラム連合を取り上げた。冷戦終了後の西欧の戦略はこのシナリオに沿っていると思われる。最大の敵はイスラムの中心であるアラブと儒教の中心である中国であり、それを封じ込めるためにアラブを弱体化させてイラン・シーア派を強大化させること、日本・ロシアと組んで中国を包囲することが二本の柱となる。冷戦後の米国はブッシュ二世の政策で明らかなように北朝鮮・イラン・イラクを悪の枢軸と名指しで批判し、ロシアとも激しい対立を繰り広げたが、これは恐らく西欧の大戦略を隠蔽するための演出だと私は考えている。滅亡させられたイラクを別にすると、イランはアラブ諸国を封じ込める鍵になる国であり、ロシアは中国を封じ込める鍵になる国であるからだ。北朝鮮がそこに付け加えられたのは、将来の韓国滅亡・北朝鮮による半島統一計画を日本が主導しておりそれに西欧が賛成していることを隠蔽する目的と私は考えている。





↓↓↓ 一日一回クリックしていただくと更新の励みになります。
人気ブログランキングへ

コメント (23)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 済州島海軍基地建設と反対運動 | トップ | 欧州債務危機の結末は、英仏... »
最新の画像もっと見る

23 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2011-09-06 09:15:59
オフショア・バランシング、これは馬鹿鳩山の「常駐なき安保」や売国小沢の「第七艦隊だけで十分」に通じるものがある(私はこのような意見には反対だが)。

それと、今回はタイトルから言っても、さすがに無いだろう、と思っていたが、最後の方に「韓国滅亡」と書いてある。

結局、これが言いたかったのね。
Unknown (Unknown)
2011-09-06 10:03:56
>日本としてはこの役割を果たしつつも、中国と組めるところでは組んで国益を追求し、中国の発展に恐れをなした欧米やロシアが日本に頼ってくるところで更に利益を得るという漁夫の利の戦術が望ましいだろう。

これは、ちょっと、虫が良すぎるのでは?

Unknown (Unknown)
2011-09-06 10:13:38
>黄海の出入りを統制できる地政学上の要衝に中国や北朝鮮の危機感は強い。

それほどまでに、済州島が地政学上重要であれば、もう一つの懸念が生じる。

北朝鮮が韓国武力併合への中国の協力と引き替えに、統一後は中国に済州島を割譲または租借させる密約を結ぶ可能性だ。

日本の安全保障にとっても、絶対に中国に済州島を渡してはならない。
Unknown (レパルス)
2011-09-06 12:35:14
やっぱり、往年のウォー・ゲーム雑誌の記事みたいな内容になっちゃいましたね。それはそれで、懐かしいから嫌いじゃないんだけど。

オイルバンカーのJPモルガンチェースもHSBCも、BPもアラムコもペトロチャイナも、イスラムのソブリン・ファンドの話も何もかも一切出てこない…。カネの流れ=支配と対立の構図が全く見えてない。グレート・ゲームの時代から、そこが中東の肝で一番面白いところなのに。一度、駒もマップも片付けて、今プレーしてるゲーム自体、全項目暗記したそのルールブック自体を疑った方がいいかも知れないね。

>故サミュエル=ハンチントンは「文明の衝突」で、西欧の敵として儒教・イスラム連合を取り上げた。冷戦終了後の西欧の戦略はこのシナリオに沿っていると思われる。

大きな声で言うと笑われちゃうよ。
Unknown (fx)
2011-09-06 14:58:20
ブログ主が書いている通りに世界が動いたとしたら、
今私たちは大変な予言を読んでいることになる。
レバルスさんへ (うんこ)
2011-09-06 17:49:25
レバルスさんは、言いっぱなしにするのでは無くて、きちんと議論の取っ掛かりを作るべきです。
Unknown (たこ)
2011-09-06 18:16:49
高句麗とか百済って、満州族の国だよな、どうみても。
百済なんて、満州族が韓国人を支配した征服王朝。
そこに倭国が軍事介入し、支援し、一方、楽浪郡で働いていた中国の漢族たちも建国に参画したというのが真実だろう。

高句麗のほうは、ほぼ完全に満州族の国だな。
Unknown (Unknown)
2011-09-06 19:51:44
今の朝鮮人は宋代に中国からきた漢民族と江南系の末裔だろ。
Unknown (1)
2011-09-06 23:32:08
2008年の調査で人口3000万人以上のイラクは「滅亡」で、2300万人の北朝鮮は「滅亡」とは書かないのですな。
Unknown (Unknown)
2011-09-08 01:45:12
増税より減税すれば税収増えるのに

コメントを投稿