国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

出生数をコントロールする日本支配階層

2011年08月01日 | 日本国内
●出生率ちょっと回復 今後も上昇する?  :日本経済新聞 2011/7/30


「出生率が1.39まで回復したそうですね」。近所の主婦の話に探偵の深津明日香が興味を示した。「ずっと少子化が進む一方だと思っていたのに。これからも上昇し続けるのかしら」。小学生の国本玄輝を連れて、街へ調査に出た。

 明日香と玄輝の2人は国立社会保障・人口問題研究所へ向かった。人口動向研究部長の金子隆一さん(55)に話を聞くと「1人の女性が一生の間に生む平均的な子どもの数を『合計特殊出生率』といいます。その数字が2010年は1.39で、09年の1.37から上昇しました」と説明してくれた。

 日本の出生率は1947~49年には4以上だったが、05年には1.26まで低下。その時点で同研究所は10年に1.22程度、高くても1.33と予想していた。実際には05年を底に反転し、10年の実績は5年前の予想を上回った。


団塊ジュニア背景


 「団塊ジュニア世代の30歳代後半から、40歳代の女性の出産が増えたことが大きな要因です」と金子さん。出生率が4以上だった47~49年生まれは「団塊の世代」と呼ばれ人数が非常に多く、その子どもの「団塊ジュニア世代」も多い。この世代が30歳代後半を迎え「そろそろ子どもが欲しい」と考えるようになり、出生率を押し上げたという。

 「ママの友達にも、40歳近くになって結婚して子どもを生んだ人がいるよ」と玄輝。明日香が「最近の『婚活』ブームともつながっていそうね」とつぶやくと、明日香の携帯電話に後輩の松田章司から連絡が入った。「数年前から出生率の回復を予想していたという人が見つかりました」

 章司の情報をもとに、明日香と玄輝は尚美学園大学名誉教授の丸尾直美さん(79)を訪ねた。丸尾さんは「05年の1.26から06年に1.32へ上昇したとき、多くの人は一時的な現象にすぎないと主張しました。でも私は、適切な手を打ちさえすれば出生率は改善し続けると考えていました」と説明を始めた。「これまでも、先進国の多くはU字形に回復しているのです」

 丸尾さんによれば、先進国は経済の発展に伴って働く女性が増え、その過程で出生率が低下傾向になる。だが、仕事と子育ての両立支援策を政府や企業が整えると上昇に転じるという。

 北欧諸国では早くから女性が働きやすい環境を整備し、80年ごろを底に上向いた。ほかの欧州各国も支援策が充実し、欧州連合(EU)全体の08年の出生率は1.60で、比較可能な03年以降6年連続で伸びている。「日本も子ども手当など、政府・自治体や企業の支援策が少しずつ増えています。これが出生率回復の原因です」と丸尾さん。

 「『お母さん』になったばかりの女性の意見も聞いてみましょう」。東京・日本橋で1歳の赤ちゃんをベビーカーに乗せていた東京都江戸川区在住の女性(37)は「今は育児休業中で、復職後も仕事と子育ての両立はなんとかできそうです。江戸川区は独自の育児支援策が充実していることもありがたいですね」と話す。

 江戸川区は0歳児に区独自で月1万3000円の「乳児養育手当」を支給するほか、中学生までの医療費自己負担分を全額助成するなど様々な支援策を整備。その結果、江戸川区の出生率は東京23区で最も高い。


助産師の数も増加


 明日香は「子育てしやすい環境が少しずつ整ってきたのかもしれないわね」と納得。すると玄輝は「産婦人科のお医者さんが足りなくて大変だ、っていう話があったけど、大丈夫なの?」と質問した。「確かにそうね。調べてみましょう」

 2人は厚生労働省保健統計室の室長補佐、三村耕自さんに話を聞いた。「産婦人科医は足りませんが、助産師の人数が増え、ある程度補っているようです」

 「助産師」は看護師の資格を持ち、専門教育を受けた女性だけが手にできる国家資格だ。トラブルのない通常のお産なら医師がいなくても介助できる。資格を持つ女性のうち、実際に仕事をしている人は10年末時点で2万9670人で、2年前に比べ6.8%増。02年からは21.9%も伸びた。産婦人科医の不足を補いたい医療機関などが養成に力を入れているためだ。

 「これからも出生率の回復は続くのかな」と玄輝。2人はもう一度、社会保障・人口問題研究所の金子さんに聞いてみた。金子さんは「05年までの出生率低下に、ある程度歯止めがかかったとはいえそうですが、今後も上昇が続くかどうかは不透明です」という。

 今後、「団塊ジュニア」世代が出産適齢期を過ぎると、子どもを生む女性の数自体が減ってくる。そもそも日本の人口を維持するには2.07の出生率が必要とされ、現在の数字と大きな差がある。2を超えたのは37年前の74年(2.05)が最後。多少の出生率上昇では「少子化」に歯止めがかかるわけではないようだ。

 「働く女性の役割が重要です」。事務所に戻った明日香が報告した。すると、所長は夫人の円子の顔を見ながら「夫の協力も重要だよ。妻に頭が上がらないだけかもしれないけど……」

(編集委員 宮田佳幸)


<ケイザイのりくつ> 将来の「不安」、影響さまざま

 東日本大震災をきっかけに「一人暮らしは不安だから結婚したい」と考える人が増えているようだ。結婚情報サービス会社オーネット(東京都品川区)では震災後、新規会員や資料請求件数が増えているという。結婚する人が増えれば、出生率は上昇するかもしれない。

 一方、原子力発電所事故による放射性物質への不安から、子どもを生むことをためらう人が増える可能性もある。05年までの出生率低下の背景にも「将来の生活への不安」があると指摘する専門家は多い。出生率の本格的な回復には、人々の「不安」を解消する政策が必要だ。

[日経プラスワン2011年7月30日付]
http://www.nikkei.com/life/family/article/g=96958A96889DE1E1E3E2EAE4E5E2E0EBE2E5E0E2E3E385E2E0E3E2E2;
http://www.nikkei.com/life/family/article/g=96958A96889DE1E1E3E2EAE4E5E2E0EBE2E5E0E2E3E385E2E0E3E2E2;df=2;
http://www.nikkei.com/life/family/article/g=96958A96889DE1E1E3E2EAE4E5E2E0EBE2E5E0E2E3E385E2E0E3E2E2;df=3







●マタニティマークをとおした「妊産婦にやさしい環境づくり」の推進について 平成18年3月10日 厚生労働省発表資料 「健やか親子21」公式ページ


21世紀の母子保健分野の国民運動計画である「健やか親子21」では、その課題の一つに「妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保」を挙げている。この課題の達成のためには、妊産婦に対して理解のある地域環境や職場環境の実現、受動喫煙の防止、各種交通機関における優先的な席の確保等について、国民、関係機関、企業、地方公共団体、国がそれぞれの立場から取り組むことが重要である。
とりわけ、各種交通機関における優先的な席の確保については、優先席のマークなどにおなかの大きな妊婦のマークが使われているが、妊娠初期には外見からは妊娠していることが分かりづらいことから、周囲からの理解が得られにくいという声も聞かれるなど、さらなる取組が必要とされている。
こうした課題の解決に向けて、「健やか親子21」推進検討会において、マタニティマークを募集し、マークを妊産婦に役立てていただくとともに、妊産婦に対する気遣いなど、やさしい環境づくりに関して広く国民の関心を喚起することとした。

マタニティマークとは?
・ 妊産婦が交通機関等を利用する際に身につけ、周囲が妊産婦への配慮を示しやすくするもの。
・ さらに、交通機関、職場、飲食店、その他の公共機関等が、その取組や呼びかけ文を付してポスターなどとして掲示し、妊産婦にやさしい環境づくりを推進するもの。


http://rhino.med.yamanashi.ac.jp/sukoyaka/maternitymark.html





●妊娠中のママのためのマタニティーマーク [出産準備] All About


マタニティーマークは、妊娠中であることを伝えるメッセージ

厚生労働省の「健やか親子21」推進検討会では、「妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保」を挙げています。

交通機関では、優先席のマークなどにおなかの大きな妊婦のマークが使われていますが、妊娠初期には外見からは妊娠していることが分かりづらいことから、周囲からの理解が得られにくいという声も聞かれます。

そんな問題解消のために、「健やか親子21」推進検討会では、わかりやすいマタニティマークを募集。2006年3月に応募総数1661作品の中から、下のマークが選ばれました。

http://allabout.co.jp/gm/gc/224152/








【私のコメント】
日本の出生率は2005年を底として徐々に回復し始めている。これを偶然と考える人もいるだろうが、私の意見は異なる。出生率を決定するのは婚姻年齢である。女性はマスコミに洗脳されやすく、女性雑誌やテレビドラマなどの風潮に容易に流されてしまう。恐らく2005年までは、働く女性が素晴らしい、子供なんてどうでもよいというプロパガンダが若年女性に対して行われていたのだろう。そして、2005-2006年を境にプロパガンダが変化したのだと思われる。その目的は、第二次ベビーブーム後の出産適齢期人口の減少に対応して出生率を増加させて、結果的に出生数を110万人程度の安定した水準に維持することにあると思われる。出生数の大幅な変動は各種産業の需要を劇的に変動させるので好ましくないこと、今後世界の人口増加と共に食糧危機が予想されることから日本の総人口を抑制する必要があることなどが原因と思われる。

「マタニティマーク」は2005年末に公募が開始され、2006年3月に決定し、8月に首都圏の主要鉄道でのキーホルダーの配布が始まった。日本の出生数増加とタイミングが一致している。首都圏で電車で通勤する女性達はこのポスターやワッペンを見て子供が欲しくなり、その結果出生率が増加し始めた面もあるのではないかと私は想像している。





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10 コメント

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特殊合計出生率は、統計的には多少いかがわしい (YT)
2011-08-01 20:27:32
まず、合計特殊出生率の分母になる世代が減ったのが最大の理由です。本来、ほんとんど出生に関係のない40歳から50歳をデータに含めているのがこの指標のインチキ臭さです。多産から少子化に向かうときに、この指標は実態以上にマイナスに向かいます。

51歳になると分母から除外され、15歳になると分母に入ります。51歳と15歳では圧倒的に前者のほうの人数が多いので、分母はこれからますます減ります。

ただ、数字のトリックだけかというとそうではなく、20代の女性に現実指向が増えています。オヤジギャル世代のように、すべてで、男と同等で、キャリアも積むことが女性の幸せと植え付けられて婚期を逃した世代が、どうも不幸な晩年を迎えそうなことを、若い女性は本能的に察知しており、現実的な結婚を選ぶ若い世代が増えました。

アラフォー世代(=元オヤジギャル)の悲惨な末路が若い世代の反面教師となっています。
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出生率上昇は一時的現象だ (たつまき)
2011-08-02 01:40:54
出生率が06年から上昇に転じたのは、極く単純な原因による。
それは、地方自治体による出産手当の増額措置がとられた結果だ。
日本人の人口減少は、要するに、日本人の両極分化・大多数の日本人の貧困化の急進展で、低賃金・非正規労働の急増により、結婚しても住宅を手に入れて、子供を生んで育てる金がないからなんだ。
だから一時的に出生率が上昇しても、国民経済の基本構造が変っていないから、再び出生率の低下を来たすだろう。
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Unknown (。。。)
2011-08-02 23:02:46
長引く不況のせいでさっさと結婚しようとする女が増えたからだともいますが。
あと、社会進出も一巡し、現実が見えるようになったこと、女の質の低下(家事も含め働く意欲がない)だと思いますね。
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アッシーくん みつぐくん (通りすがり)
2011-08-03 23:13:54
国策としてのメディア操作。80年代バブル真っ盛りの頃から、メディアは、アッシーくん みつぐくんを騒ぎ立てていました。思えばこの頃より国策として日本の出生率の低下を仕掛け始めたということができます

女はとくにメディアに洗脳されやすい傾向があるので、国策は大成功をおさめたということができるでしょう

畑さえあれば男は死ぬまで現役で子を作ることはできますが、メディアの口車に乗せられ、老後を迎えた女は、ある意味可愛そうな国の被害者と成り果てます

貧困と人口増加は比例すると思ってます。今後日本の出生率を大幅に増加させようと思えば、一番手っ取り早いのは、年金をすべてデォルトしてちゃらにすればいいのです

「国に頼るな、老後は各自の責任において乗り切れ」とすれば、老後は子供を頼る他はなくなります。そうすれば、国民の早婚化も進み将来の宝として最低でも3人は子をもうける夫婦が一般的となるでしょう

つまり戦前日本に先祖帰りするのです

アフリカを筆頭になぜ第三国で人口が増え続けるのか、国家の福祉が0なので、老後は子に養ってもらわねばならないからです
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オヤジギャル (Unknown)
2011-08-04 17:59:40
かつての教祖もすでに鬼籍に入り、その下の世代から反面教師扱いされて、今は男女平等参画の恩恵に預かれているけど・・・・
貧乏クジを引かされたのは氷河期やゆとりではなくてバブル世代なのかもしれないな。

管理人さんはきっとバブル世代よりも上の世代でしょうけど。
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これが暴論か? (万里眼)
2011-08-08 15:01:17
今回は、「女性の敵」とか「保守反動」とか言われようが敢えて“暴論”を言わせてもらう。

日本の少子化問題で良くまことしやかに言われる主張が「日本は女性が安心して産める環境に乏しい」である。

しかし、現在でも、アジア・アフリカ諸国では子供が8人や10人いる家族は珍しく無いが、そういった国々は日本より「女性が安心して産める環境」なのか?

戦前の日本(現在80代の世代)でも8人兄弟は普通であったが、戦前の日本の方が「女性が安心して産める社会」だったのか?

日本の女性には、正直言って申し訳ないが「甘ったれるな」と言わせてもらう。



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日本は滅亡するか? (歴史家)
2011-08-15 04:40:11
次の時代は、元か、円か?
http://www.teamrenzan.com/2011/08/501-1.html
それが問題だね。
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いやいや (蒙昧)
2011-08-18 12:39:37
この種のコントロールを為政層がするのは当然でw
あまりおどろおどろしいタイトルをお付けになって蒙昧の民を煽られぬようwww
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Unknown (Unknown)
2011-09-06 14:11:25
アレレ?いつもの「韓国滅亡」が無いぞ
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Unknown (Unknown)
2014-04-20 01:45:30
http://japanese.ruvr.ru/2012_03_21/69170351/
ロシアの声
2012 3月 21 , 20:21 ナノテクノロジーは有害なのか


 銀ナノ粒子は、家電製品に広く用いられており、バクテリアによる感染症を防ぐ効果があると宣伝されている。しかし、ノルウェーの公衆衛生研究所による研究で、銀ナノ粒子が人体の健康に深刻な害をもたらす可能性があることが明らかとなった。


 銀ナノ粒子は、ヒト生殖細胞に悪影響を与え、不妊症を引き起こす可能性がある。それ以外にも、細胞の成長と分裂を阻害し、その摂取量と反応にさらされる時間によっては、細胞の死に繋がる。

 研究者らは、携帯電話や冷蔵庫の中のバクテリアにより引き起こされる害は、不妊症やガンのリスクと比べれば危険性が低いと述べている。
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