国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

仮想敵国インドネシアの脅威から自国を防衛する為にオーストラリアは日本との安保共同宣言を必要とした?

2007年03月18日 | 東南アジア・南アジア・オセアニア
●日本、豪と安保共同宣言 米以外と初 2007年03月13日 朝日新聞

 安倍首相は13日、首相官邸でオーストラリアのハワード首相と会談した。両首脳はテロ対策や北朝鮮問題など安全保障面の協力を包括的に強化することで合意し、会談後に「安全保障協力に関する日豪共同宣言」に署名した。双方の同盟国である米国を加えた日米豪の三角形の枠組みを強める狙いで、安倍首相は会談後の共同記者会見で「地域の平和と安定のために極めて有意義だ」と強調した。日本が米国以外と安全保障面で包括的な共同宣言を出すのは初めて。協力分野には、テロ対策や大量破壊兵器の不拡散、人道支援などを列記。外務・防衛担当閣僚による定期協議(2プラス2)や、海外での自衛隊と豪軍の協力に関する行動計画を設けることなども盛り込んだ。ただ、日米安保条約と異なり相互の防衛は対象外としている。 安倍首相は共同会見で「共同宣言をしっかりと実施させ、基本的価値と戦略的利益を共有する日本と豪州が地域と世界の平和と安定にさらに貢献するようにしたい」と表明。ハワード首相は「ぜひ、この宣言に含まれた要素をさらに活用していきたい」と応じた。

 安保面で豪州との連携を強めることは、安倍首相が掲げる「民主主義など基本的価値を共有する国々」との関係強化方針に沿ったものだ。この日の会談では「日豪の協力強化が、日米豪の3カ国の協力に資する」という認識で一致。3カ国による連携強化は、軍事力を増強している中国に対する牽制(けんせい)との見方もあるが、安倍首相は「中国を包囲するものでも中国を意識したものでもない」と否定している。 ただ、昨年3月に日米豪の外相が初めて中長期的課題を話し合った「戦略対話」では、中国の不透明な軍拡への懸念を共有している。インドとの連携も進めており、4月上旬には日米印の3カ国が太平洋上で初の共同訓練をする予定だ。今回の共同宣言を踏まえて、日本政府は自衛隊の積極的な海外派遣を図る。憲法上の制約を受ける自衛隊を豪軍が警護し、米英軍とも現地で緊密に協議を重ねたイラク・サマワでの活動がモデルケースとなる。会談でハワード首相に豪軍の支援に対する謝意を伝えた安倍首相は、「個別具体例が憲法の禁じる集団的自衛権の行使にあたるかどうかの研究」を進めるなど、自ら主導して協力の拡大を図っている。研究例として「サマワで一緒に活動する英豪軍に攻撃があった場合に(自衛隊が)駆け付けること」を挙げている。

 両首脳は、日豪経済連携協定(EPA)の交渉を4月から始めることでも合意した。日本にとって、初めて農業大国と交渉を進めることになるため「日本農業の文化や環境保全での多面的機能にも十分配慮せねばならない」(安倍首相)として、交渉期限は定めなかった。
http://www.asahi.com/politics/update/0313/019.html







●オーストラリアニュース:防衛安全協定に調印か 日本の自衛隊がオーストラリアで訓練予定  2007年02月05日

ジョン・ハワード首相は3月に東京を訪問し、その際に防衛安全協定の調印が行われる予定。協定のもと、日豪合同の軍事訓練の実施や、日豪の外務大臣と防衛大臣による定期的な会談が行われる模様。Australian(オーストラリアン)紙は、自衛隊のオーストラリア訓練は、平和維持活動を拡大させるための第一歩となると報じた。豪軍と非戦闘部隊の自衛隊はカンボジア、東ティモール、イラクなどでの活動でこれまで一緒に活動を行ってきた。(AAP)
http://news.jams.tv/jlog/item/id-2132




●J-RCOM 最新情報 3月14日 神浦 元彰 

来月中旬には横須賀(神奈川県)近くの日本近海で、日米とインド海軍の初の共同訓練が実施される。初演習の想定は海難事故や大規模災害の対応になっているが、まず多国間訓練は通信訓練や情報の交換などの基礎訓練から始まる。それから共有物資の輸送や後方支援訓練が行われ、最終的に対艦ミサイルや対潜作戦で共同訓練の仕上がりとなる。インド海軍が西太平洋まで出っ張って共同訓練にくるというのは、中国海軍にとって嬉しい話しではないはずだ。

 日豪両国はとりあえず中国を刺激しないように、この日豪の軍事共同宣言が中国に向けたものではないと釈明するだろう。しかし日豪が中国軍拡を意識していることはいうまでもない。これも米軍のトランスフォーメーション(米軍の再編)の一環で行われている。

 オーストラリアは広大な領土があり、日本にも近いし、そして日本と時差が少ない。陸・空自衛隊が1ヶ月以内の短期的な訓練(演習)なら、先に住居棟などの建物を建設し、戦車や装甲車などを輸送(現地に配備)しておけば、日米豪の共同訓練が可能になる。その体制が整うのは憲法改正が行われ、集団的自衛権が認められた時期になれば、それで一気に日米豪の軍事作戦が発動されることになる。

 日本では昨日の全日空機の胴体着陸でメディアはこの記事の扱いが小さいが、もしANA機の胴体着陸がなければ、日本の軍事体制を根底から変革する日豪軍事同盟に向けたこの動きが大きな政治的なニュースになるはずだった。

 自衛隊と豪軍はサマワや東チモールで交流している。このホームページに届いたオーストラリアからのメールによれば、すでにオーストラリアでは自衛隊の駐留問題が議論されているという。多くの日本人は、まさか自衛隊とオーストラリア軍が共同訓練を始めるということを知らない。しかし現実はまさかの方向で動き始めてきた。
http://www.kamiura.com/new.html





●インドネシア・豪が安保協力協定に調印 2006年11月13日 朝日新聞

 テロ対策やパプア独立派の亡命受け入れなどをめぐり、ぎくしゃくした関係が続くインドネシアとオーストラリアが、安全保障協定を結ぶことになった。ハッサン・インドネシア、ダウナー豪の両外相が13日、インドネシア東部ロンボク島で会談後、安保協力の枠組み協定に調印した。 両国間で安保協定が結ばれるのは、99年にインドネシアが豪州軍の東ティモールへの多国籍軍派遣を理由に旧協定を破棄して以来。両国の国会での批准手続きを経て、正式発効する。 旧協定が防衛協力を中心とする内容だったのに対し、新協定は、軍事協力のほか、テロ対策や密輸防止の協力、大量破壊兵器の拡散防止、核の平和利用などの10項目からなっている。

 だが、インドネシアにとって最大の関心事は、インドネシアの領土一体性を協定に明記することだ。東ティモールに続き、パプア地方の独立運動を支持しているとして豪州に対する不信感が強いインドネシアの世論を和らげることにある。 ただ、ネルソン豪国防相は12日、テレビ番組に出演し、「豪州は、分離独立運動をこれまでも、これからも働きかけることはない」としつつも、「国民が合法的に自らの考えを表現した場合、政府は阻止しない」と述べ、個人による支援運動などを取り締まることはできないとの立場を強調した。
http://www.asahi.com/international/update/1113/009.html





●壊れる前に…: 日豪共同宣言の先にあるもの 2007.03.16

オーストラリアのハワード首相が来日し、13日に日豪両国は「安全保障協力に関する日豪共同宣言」に調印した。テロ対策や平和維持活動などでの協力が謳われている。

そのオーストラリアは現在東ティモールに平和維持部隊を展開しているが、その作戦が平和維持活動の範囲を越え、対ゲリラの軍事行動の域に達しているとして、批判の声があがっている。

Aussie troops accused of damaging Timor village ― オーストラリア Brisbane Times 紙の13日付けの記事。反体制ゲリラを追撃していたオーストラリア軍が今月8日に Same 地方の Serema という村で夜間に住居の強制捜索などを行なった際、10軒の民家を焼き払ったと、現地のカトリック司祭が告発している。David Alves Conceicao 神父は、オーストラリア軍の活動は依然続いており、ブラックホーク・ヘリコプターの低空飛行などで住民が恐怖におびえるなど、「まるで戦場にいるようだ」と感想を語っている。これに対し、オーストラリア軍の司令官は、何軒かの家に小規模な損傷を与えたことは認めたが、家が焼失したことについては責任はないと話している。予告もなくゲリラとの間で銃撃戦を開始したことについても、自衛のために必要だったとして、悪びれる様子はない。

日本がこれから踏み出していく「地域の平和と安定」のための軍事協力の先、自衛隊の行く先には、これに似た情景が待っているように私は思う。私はそれを深く懸念する。
http://eunheui.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_5d58.html





●東ティモール独立記念!特別連載 ★ひがちも豆知識★
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad/9613/timor/chishiki.html




●文明の衝突と東チモール  2006年6月17日  田中 宇
http://tanakanews.com/g0617timor.htm




●下図はインドネシアの宗教分布。ニューギニア島西部のイリアンジャヤではキリスト教徒が75%、小スンダ列島東部の東ヌサ・トゥンガラ州ではキリスト教徒が91%と多数派である。独立した東チモールも含め、オーストラリア北部に隣接するインドネシア東部はキリスト教優位である。






【私のコメント】日本がオーストラリアとの間で行った安保共同宣言は、日米安保条約やANZUS条約に近い内容であり、従来の日米安保に依存した日本の安全保障の歴史を大きく塗り替えるものである。将来日本が改憲した時には、集団安全保障を含む同盟条約に格上げされる可能性もあるだろう。

この宣言で注目されるのは、日豪両国が繰り返し「中国封じ込めを意図するものではない」と発言していることである。その様な発言が行われること自体が、中国封じ込めの可能性を秘めた共同宣言であることを意味しているだろう。小泉政権が終了して以後の日中関係は急速に改善しているが、近未来の中国は急速に経済発展する可能性があり、日本にとって最大の仮想敵国である。オーストラリアは鉱物を中心に資源が豊富であることを考えると、日豪同盟は中国の日本侵略時に報復として豪州からの資源輸入が停止される、という可能性があり得るだろう。しかし、オーストラリア国内でも「日本との安保共同宣言は中国を敵に回すのではないか」との懸念の声がある。豪州にとっては中国はアセアンの向こうの遠い異国であり、日本と違って直接脅威を感じている訳ではない以上、中国という人口超大国を多少なりとも敵に回すのは決して利益ではない。では、オーストラリアは一体どの様な利益を求めて安保共同宣言を行ったのだろうか?

米国の世界覇権消滅に伴ってANZUS条約の威力が低下することは避けられない。その代替として日本が必要とされているという説明は可能だろう。しかし、オーストラリアにとっての最大の脅威、仮想敵国は一体どこだろう?その答えは、インドネシアである。

インドネシアはオーストラリアの十倍の人口を有し、オーストラリアのすぐ北隣に存在する。インドネシアは日本と友好関係にあり、太平洋とインド洋の境界という地政学的に重要な位置に存在する。中国と同様に今後かなりの経済成長が起きることが予想される(JJ予知夢でも、タイと並んでインドネシアの発展が予想されている)。日本が中国に感じているのと同様の脅威をオーストラリアはインドネシアに感じているはずだ。企業進出を通じてインドネシア経済を日本がかなりの程度間接支配している関係にあり、この影響力を生かして自国をインドネシアから防衛したいというのが彼らの意図であろう。オーストラリア側から「オーストラリアの広い土地を利用して自衛隊との共同軍事訓練を」との声があるのも、自衛隊が何らかの形でオーストラリアに滞在することでインドネシアからの脅威に対抗したいのだと思われる。現状では集団安全保障を日本国憲法が禁じており、自衛隊が豪州に基地を作ることはできないために、共同訓練という明目が必要なのだと思われる。

インドネシアは人口の大部分がイスラム教徒だが、オーストラリアに近いニューギニア島西部のイリアンジャヤ、小スンダ列島東部の東ヌサ・トゥンガラ州ではキリスト教徒が優勢であり、分離独立運動も存在する。オーストラリアがそれを支援してきた可能性は非常に高いだろう。2002年に独立した東チモールにはオーストラリアは平和維持部隊を展開しているが、これは自国をインドネシアから防衛するための最後の砦への形を変えた占領という見方もできる。そもそも、東チモールの独立を決定した1999年の住民投票は1997年のアジア金融危機に続いて1998年に起きた民主化運動でスハルト政権が倒されたことがきっかけである。アジア金融危機ではインドネシアの混乱が最も大きかったことを考えると、アジア金融危機はインドネシアから東チモールなどのキリスト教徒優位地区を分離独立させる目的でオーストラリアが国際金融資本に依頼して実行したのではないかとすら想像される。インドネシア側の抵抗が弱ければ、イリアンジャヤ、東ヌサ・トゥンガラ州まで分離独立させられていたかもしれない。また、インドネシア西端のアチェ州(ほぼ全員がイスラム教徒)の分離独立運動も、国際金融資本が煽ってきた可能性が考えられる。

オーストラリアと日本は、安保共同宣言に際して東チモールやイリアンジャヤ、小スンダ列島東部の東ヌサ・トゥンガラ州の将来の状況についてかなり突っ込んだ取り決め(秘密協定)を行っているのではないかと私は想像する。オーストラリア側としては、東チモールの独立とキリスト教優位状態の維持が最低ラインであり、出来ればイリアンジャヤ、小スンダ列島東部の東ヌサ・トゥンガラ州でのキリスト教優位状態を維持したいと狙っていたのだろう。しかし、戦国時代末期に日本侵略を目的とした西九州でのキリスト教布教を経験し、それを根絶するために大きな被害を出した日本にとっては、キリスト教化された地域をイスラムに奪還したいというインドネシア側の希望は非常によく分かる。具体的決定については想像するしかないが、日本の軍事力のプレゼンスを望んでいると思われる事から考えて、インドネシア側にやや有利、オーストラリア側にやや不利な内容だったのではないだろうか。将来日本が改憲した後は、在日米軍基地と同様の軍事基地がインド洋のシーレーン防衛のためという明目でオーストラリア北西部に設置されるかもしれない。

また、この取り決めには当然ながら米国も関与しているはずだ。ハワード首相の来日の直前に米国の最高実力者の一人であるチェイニー副大統領が「イラク派兵への感謝が目的」という明目で日本とオーストラリアを訪問したのは共同宣言の根回しが目的だったのだと思う。3月18日からリー・シェンロン首相が訪日するシンガポールの住民である華僑はインドネシア人やマレー人と対立しており、米国の弱体化によってオーストラリアより更に深刻な危機的状態にある。オーストラリアと同様に、自国の安全保障のお願いにやってくるのだろう。江戸時代の大名の参勤交代か、あるいは柵封関係に似通っている様にも思われる。
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16 コメント

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Unknown (Unknown)
2007-03-18 01:37:00

マーシャルミクロネシア経由のシーレーンの為と言う至極簡単な理由も洞察できないとは・・・日本人も落ちたものだ。
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>マーシャルミクロネシア経由のシーレーン (princeofwales1941)
2007-03-18 02:24:45
>マーシャルミクロネシア経由のシーレーンの為と言う至極簡単な理由も洞察できないとは・・・日本人も落ちたものだ。


日本にとっては、マーシャルミクロネシア経由よりも南シナ海ルートやインド洋ルートの方が重要ではないでしょうか?日本と東南アジア、ペルシャ湾岸諸国、欧州との間の貿易の大部分はこのルートを経由しています。インド洋に面し南シナ海にも近いオーストラリアはこのルートの防衛に適しています。オーストラリアもこのルートの重要性は理解しているでしょう。
返信する
Unknown (Unknown)
2007-03-18 02:45:12
南シナ海ルートが台湾・フィリピンの人民解放軍によって閉鎖されたら何処を経由してインド洋ルートを通るのでしょう。ハワイ・ミッドウェイ経由ですか?
返信する
Unknown (Unknown)
2007-03-18 02:52:04
人民解放軍の新戦闘教義は太極者によって急速にRMAされている。

第一の段階として制宙権を掌握し、第二の段階として空間騎兵によって進撃、航空部隊を展開する。第三の段階は海洋基地は砲撃ではなく航空攻撃で守備し、海戦は戦艦空母ではなく潜水艦と機雷が主役で、空軍と戦術核ミサイルの独立的運用により戦線を膠着化させて持久戦に持ち込み敵国経済の壊死を狙う。
返信する
Unknown (YouTube 動画)
2007-03-18 03:19:33
素晴らしいブログですね。

「お気に入り」登録しました。

http://youtubeyourtube.blog95.fc2.com/
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Unknown (Unknown)
2007-03-18 03:59:15
 (以上、特に断っていない限りhttp://www.nytimes.com/2005/04/08/
(私のコメント)
産経新聞の記事や太田氏の記事からわかるとおり、台湾海峡の問題はもはやアメリカ単独では守ることが難しくなってきている。アメリカの原子力空母は中国の対艦ミサイルの進歩で無力化してしまっている。いったん緊張が高まっても、アメリカの機動部隊は500マイル東までしか近寄れない。

アメリカの原子力空母には5000名もの人員と国家予算並みの建造費と維持費がかかり危険にさらすわけにはいかないから台湾防衛には使えない。となると日本の沖縄諸島から航空機を出撃させなければ制空権を確保できない。中国もスホイ30という最新鋭機を揃え始めた。さらにEUの衛星情報システムや空中管制機など導入されれば大問題だ。

だからこそ株式日記ではEUの中国への武器輸出解禁記事を大きく取り扱いましたが、日本のマスコミは小さく報ずるのみでその戦略的な意味までは、日本の新聞記者には理解できないのだろう。国会にしても集団安全保障で行き詰って機能していない。これでは国民にしても台湾海峡の問題が理解できない。

日本の外交防衛政策はアメリカにみんな丸投げしているから日本としては台湾海峡の問題も見物していればいい身分なのですが、イラクの泥沼にどっぷりと浸かり、自慢の原子力空母も無力化してしまっていてはアメリカはどれだけのことが出来るだろうか。これでは台湾は戦わずして中国の軍門に下るしかなくなるだろう。

しかしアメリカ政府の台湾に対する政策がはっきりせず、その真意がわからないことだ。ブッシュ政権ですらパウエル国務長官が「台湾は独立していない」と発言している。

(私のコメント)
アメリカのパウエル国務長官(当時)まで中国が台湾併合を暗に認めるような発言は中国の反国家分裂法を正当化させるものだ。台湾が独立国家ではなく主権を持たないというのは中国にとってはまたとない再統一の口実になるだろう。後日発言を少し修正しているがほとんど台湾を放棄したに等しい。

アメリカは北朝鮮のアメリカに対する挑発的な行動にもたいした反撃も出来ず、台湾に対しても独立に対して明確な支持が出来ない。このようなアメリカの弱腰な態度は韓国を不安定にさせてノムヒョン大統領は中国寄りに外交政策を切り替えた。アメリカとしてもイラク問題に全てが費やされて極東アジアは放置状態だ。

このような朝鮮半島や台湾に対する一歩引いたアメリカの態度は何を意味するのだろうか。私が考えるには日英同盟の頃のようにイギリスが朝鮮半島や台湾を日本に任せてしまったように、アメリカも中東に全力を注がなければならなくなり、極東は手薄になった分を日本に任せてしまおうという戦略を持ち始めたのではないかと思う。

地政学的にみても中国やロシアが太平洋へ進出するのを防げるのはアメリカか日本しかない。中国などによって日本へのシーレーンが遮断されれば日本は戦わずして負けるのは大東亜戦争で証明された。戦前の日本帝国海軍にはシーレーン防衛という観念が存在しなかったのは不思議というしかない。

(私のコメント)
このように台湾が中国の一部となれば日本の南洋航路は中国の意のままとなり、戦わずして中国に敗れるだろう。このような軍事戦略的な発想は日本人はほとんど持たない。アメリカが何とかしてくれると思い込んでいるからですが、最近のアメリカを見ると極東アジアに関する限り弱気な態度が目につく。だから日本としては自分の国は自分で守るという、極めて当たり前の常識を持たねばならないということだ。
返信する
Unknown (Unknown)
2007-03-18 07:31:14
日豪印同盟・台湾独立の見返りとして、朝鮮半島を日米は完全に手放して中国に割譲するのではないか?中国の地政学として台湾より朝鮮半島の方が重要であると思われる。今後に目が離せない。
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対馬、済州島の要塞化 そして…… (のらくろ)
2007-03-18 11:25:55
大陸への反抗拠点としての釜山港確保(日米共同管理又は日本の直轄支配)。

そしてロシアへの抑えとしてイスラエルの転封(サンフランシスコ講和条約で日本が施政放棄した北千島と南樺太をイスラエル領とした後、地中海東岸の現在のイスラエル領を放棄させる)。ニューエルサレムは旧豊原に置く。新イスラエル建国成った際には日本は祝福として新イスラエルに50年の択捉島租借権を認める。これで北西太平洋の安全保障は確定……というのはウマすぎるか?

返信する
Unknown (Unknown)
2007-03-18 14:39:33
中国のアジア占領
ジョン・タイターは、韓国・台湾・日本が中国に併合されるという警告を発していた。この3カ国の防衛はアメリカの軍事力に大きく依存しているのである。
“2015年のロシアによる核攻撃に先立って台湾・日本・韓国は中国に軍事占領されることになる。欧米が弱体化することによって中国の軍事拡大が加速することになる”
タイター予言
 「中国が日本にミサイルを撃ち込み、尖閣諸島への攻撃を開始した。米国の新大統領は日米安保条約の発動を拒み、日本を支援しないと言明した。2009年7月のことだ――」。

 こんな悪夢のような新「日中戦争」のシナリオが明らかにされた。米国でこの6月、ペンタゴン(国防総省)の元高官二人が共著で刊行した『ショーダウン』(対決)という書の内容である。同書は中国人民解放軍の実態と、その基盤となる中国の対外戦略の特徴を分析している。その副題に「なぜ中国は米国との戦争を欲するか」と記されたように、同書は中国のいまの強烈な軍拡が、やがては米国と対決するためだという前提から、具体的な人民解放軍の現実を論じ、シミュレーション(模擬演習)の形で予測される軍事シナリオをいくつか打ち出していた。現状に基づく近未来フィクションと呼んでもよい。
SAFTY JAPAN
http://blog.goo.ne.jp/flatheat/e/4f277a77d63b79ba524b458226155d81
返信する
のらくろさんへ (princeofwales1941)
2007-03-18 16:16:59
>大陸への反抗拠点としての釜山港確保(日米共同管理又は日本の直轄支配)。


釜山の橋頭堡を維持するには、朝鮮戦争の様に大規模な陸軍力が必要で、大陸に進出した明治日本の愚を繰り返すことになります。ただ、日本が釜山を放棄すると中国軍が将来釜山を軍港にして大海軍を駐留させる危険もあります。それを阻止する方法としては、日本の衛星国として建国させる済州島国家に釜山港に浮かぶ影島を要塞として領有させ、釜山港を軍事対立の最前線にして港湾機能を消滅させる案が考えられます。アモイの近隣の金門島と似ています。ただ、金門島と違って影島は大陸と200mしか離れていませんから、済州島国家が影島を長期に渡って維持できるかどうかは疑問です。かといって、釜山を韓国人自身に守らせるならばそれは韓国全体を日本の衛星国として米国から引き継ぐという悪夢の繰り返しになります。実に頭の痛い話です。

ただ、朝鮮半島の扱いに頭を痛めているのは中国側も同様だと思われます。恐らく、日中両国の間で朝鮮での勢力境界に関する何らかの秘密協定が既に結ばれており、問題は解決済みでしょう。六カ国協議の真の議題はこの秘密協定ではないかと思います。




>そしてロシアへの抑えとしてイスラエルの転封


ロシアは既に人口増加が停止しており、日本を侵略する意図は持っていません。逆に中国の人口圧の脅威から極東を防衛するために、日本との友好関係を必要としています。インドネシアの脅威に怯えるオーストラリアと似た状況です。従って、ロシアへの迎えは不必要だと思います。また、もしイスラエルが南樺太に移転した場合、ロシア人と東欧ユダヤ人の歴史的対立から深刻な軍事対立が起こり、新イスラエルがロシアに対抗する為に中国と手を結んで南樺太に中国軍が展開するという悪夢も考えられます。私見ですが、東欧系ユダヤ人はカリーニングラードなどを利用して出身地の欧州が引き取るべきであり、南樺太や千島列島は、日本の脅威にならない過疎地域として維持されることが望ましいでしょう。恐らく、この問題も日露両国の間で既に秘密協定が締結済みと思います。2005年11月のプーチン訪日がその協定締結だったのではないでしょうか?
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