パース日本語キリスト教会

オーストラリア西オーストラリア州パースに有る日本語キリスト教会の活動報告を掲載いたします。

ヘプジバ・ジェンキンズという変な名前

2021-07-01 23:24:08 | 赤毛のアンから辿る聖書の話
「孤児院にへプシバ・ジェンキンズという変な名前の女の子がいた。」という内容の記述になっていますが、手元に有る英語のテキストでは、”There was a girl at the asylum whose name was Hepzibah Jenkins,”という表記になっていて、「変な名前」という表現は有りません。翻訳者が文脈に合わせて訳したものと思われます。アン自身は、その名前を“When I don’t like the name of a place or a person,”「私が地名や人名が気に入らない時は」 という場合についての説明に使っていて、気に入らないという表現をしています。実際に英語圏でもあまり人気の有る名前ではなく、あるサイトは古風で(classic)変な(strange)印象だと述べています。ハリー・ポッターシリーズにはHepzibah Smithという魔女が出て来るそうです。

ヘプジバという名前は、日本語の聖書では、ヘフジバや、ヘフツィ・バハ等の表記がされています。2列王記 21章1節に、マナセ王の母の名として出て来ます。旧約聖書の王の即位の記述には、毎回ではありませんが、頻繁に母親への言及が有ります。

ヘプジバという名前の意味は、喜びを意味する語幹を持ち、「わが喜びは彼女の中に有り」という意味になるようです。預言者イザヤの書62章4節では、神によって回復されたイスラエルの国をヘプジバと呼んでいる記述が有ります。ですから、意味は良いのですが、その響きが英語的にも個人的にもアンの気に入らなかったのだと思います。

因みに、その息子のマナセは、ダビデ王朝の歴代の王の中では、信仰的に最も堕落した王として聖書には記録されています。伝承では、預言者イザヤをのこぎりでひき殺したとされています。神からの罰としてのバビロン捕囚は、数代後のことですが、この王のせいで決定的になった印象が有ります。マナセはその後一度バビロンに捕らえられますが、そこで神への信仰に立ち返り、もう一度エルサレムに帰ることが許されたという記事が2歴代誌33章に出て来ます。

モンゴメリがこの名前を取り上げたことには、プロット上の意味はあまり無いように思います。一方で、彼女がこのような名前を取り上げたことには、彼女の生い立ちが関係あるかもしれないと思います。モンゴメリは二歳で母親を亡くしたので、旧約聖書の王の即位の記事に、頻繁に母親の名前が記されていることに心が引かれて、一通り調べたことが有ったのかもしれないと私は想像しました。
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