オランダ第三の都市、デン・ハーグ、その中心にピネンホフと呼ばれる旧市街(上)がある。
その旧市街のホフフェイファの池のほとりにあって、この国で一番美しい建物のひとつとされるのがマウリッツハイス美術館。
美術館にはフェルメールの傑作 「真珠の耳飾りの少女」がある。
その作品、ウルトラ・マリン・ブルーと呼ばれる青いターバンで有名だが、その青などの色彩が鮮やかに対比された絵に 「牛乳を注ぐ女」がある。
ここで時間を一日戻し、アムステルダムの国立美術館のフェルメールについて少し触れる。
フェルメールの数少ない絵のうち 「青衣の女」 「デルフトの小道」 「恋文」そして 「牛乳を注ぐ女」をこの美術館が所蔵することは<デルフトの小路>で触れた。 ()
その 「牛乳を注ぐ女」(中)は、彼に多く見られる、優雅な室内で裕福そうな衣装を身にまとった女性を描いたものとは趣を異にし、当時の素朴な女性を鮮やかに描いたのが特徴とされる。
バターかチーズを作ろうとするのだろう、一滴もこぼすまいと静かに土鍋に牛乳を注ぐ女性。
彼女の日常風景が、静かな佇まいのなかで見事にキャンパスに切り取られている。
とりわけ、女性が被る白い頭巾、黄色の上着、赤いスカートと腰に巻きつけた青いエプロンが、窓から差し込む柔らかい光りを受けて鮮やかに対比されている。
この絵には何一つとして無駄なものが描かれていないとされ、壁に吊るされた籠、打たれた釘などにさえ、この家庭の暮らし向きなどが示唆されているのだそうだ。
生まれ育った町デルフトの陶磁器の色、デルフト・ブルーの影響を大きく受けたとされるフェルメール。
彼が用いたウルトラ・マリン・ブルーは、当時、かなり高価だったというラピス・ラズリの原石を材料にしているとか。
なるほど、真珠の耳飾りをした少女も、牛乳を注ぐ女性も、黄と青の一際目立つ色を対比させることによって華やかさをもたらしている、そんな風に思うのだが。 ()
素晴らしい天気に恵まれたアムステルダムだった。
国立美術館からゴッホ美術館、レンブラントの家と廻り、蚤の市のようなフリー・マーケットをひやかし、運河沿いのレストランで遅い昼食。
午後も遅い時間、インタシティー(IC)でアムステルダからデン・ハーグへと向かった。 ()
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