ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

レンブラント(5)「トビトとアンナ」

2018年02月16日 |  ∟ベネルクスの美術館

 ※ オランダ ‐ アムステルダム/ライクスミュージアム編(9)‐ ベネルクス美術館絵画名作選(17)

 オランダ絵画黄金期を築いたレンブラント・ファン・レイン(1606-1669)、カラバッジョ(1573-1610)やルーベンス(1577-1640)に代表されるバロック美術の全盛期に、若き画家としての大いなる野望があった。

 1624年、アムステルダムのピーテル・ラストマンのもとで、半年間の修行を終えた彼はライデンに戻り、同郷の画家ヤン・リーフェンスと共同でアトリエを構えたのが20歳の時。
 31年、25歳でアムステルダムに出るまでの間、ライデンで野心的な作品を数多く描いている。

 その独立した頃に描かれた最初期の作品のひとつとされる「トビトとアンナ」(1626年/39.5×30cm)が今回の作品。

 第二正典とも呼ばれる旧約聖書外典の「トビト記」に画想を得た本作、主題は “ 猜疑心と悔悛 ”

 裕福で信仰の厚かったトビトの目に燕の糞が入り、盲目となってしまったところから物語は始まる。

 失明によって財産も失い、猜疑心に捉われるようになったトビト、仕事から帰宅した妻アンナが、手間賃の変わりに受け取った山羊の子を盗んだもののではないか、と疑いをかけてしまう。

 誰しも多かれ少なかれ抱いた覚えがある人の心の弱さを描いた本作、アンナはそれを否定、「盲目になってからの貴方は、独善的で猜疑心に苛まれている」と咎められたトビト、祈りを捧げ悔悛する姿を切り取っている。

 貧しくも妻アンナの言葉によって信仰心を取り戻したトビト、彼の心の動きを的確に表現した若きレンブラントの並外れた技量が存分に示されている。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1509


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