この月の初め頃だったろうか、少し古い話になる。
ローマ法王ベネディクト16世が、初めて英国を公式訪問したニュースが流れていた。
ヘンリー8世が妻と別れたい一心?で、ローマ・カトリックと決別、イングランド国教会、つまり、聖公会を創ったのが500年ほど前。
1982年に前ローマ法王ヨハネ・パウロ2世の非公式な訪問はあったものの、斯くも長き時を隔て公式訪問に至ったという。
このイングランド王、かなりの艶福家で五指に足りない奥方を娶っている。
取り分け騒がせたのが、最初の妻キャサリン・オブ・アラゴンとの離婚とアン・ブーリンとの再婚。
離婚を認めない時のローマ教皇クレメンス7世、双方確執譲り難く、「ほんなら別に教団創ったる!」と言ったかどうか知らないが、決別に至った次第。
そのあたりのエピソードが面白く、芝居やオペラなどに取上げられる所以らしいのだが、詳しくは知らない。
ただこの御仁、数ヶ国語をあやつり、スポーツ万能でダンスは大得意、音楽の才能も溢れんばかり、「ほんと?」 「そう、書いてある」、大変インテリジェンスに富んだ人だったようだ。
ところで、その彼の宮廷画家として活躍したドイツ・ルネサンスの画家ハンス・ホルバイン(子)。
「大使たち」(ロンドン・ナショナルギャラリー蔵)などの傑作を遺しているが、その彼が描いた肖像画 「ヘンリー8世」(写真上)を見ると、「まあ、なんて偉丈夫なの?」と思うだろう。
その英明の君、ロンドン郊外はオックスフォード、大学の礼拝堂と司教区の聖堂を兼ねられるものとしてクライスト・チャーチ校を再建したりもしたらしい。
で、前置きが長くなったが、ひと昔ほど前のサマータイムが終わる10月最初の日曜のこと。
シティ辺りは早くもテムズ川の寒風が吹き荒び、晴れかと思えば俄かに掻き曇って時雨が走り、色の無い街の様相を見せはじめたロンドン。
そのロンドンから少し足を延ばし、中世の面影を今も残し、世界一美しい村々と称されるコッツウォルズへと遠足に出掛けた。 (写真下:ショッテリー村に遺る民家)
その顛末、例によって気侭に綴ってみたい。
ちなみに、コッツウォルズとは、深い森に覆われた丘の羊小屋 という意だそうだ。