前回、印象派というスタイルの由来などを書いた。
その印象派の巨人クロード・モネの傑作のひとつ、「印象‐日の出」は、イギリスのロマン主義の画家ウィリアム・ターナーの「ノラム城‐日の出」(写真上)に影響を受けたとされている。
面白いことに、マルモッタン美術館の数日前、ロンドンのテートブリテンでその「ノラム城‐日の出」と対面したばかり、ことのほか印象深く眺めた。
ちなみに、マルモッタンとテートブリテン、カタリナ の強い指示?で日程を割いたものだが、そのことはご褒美の稿でも書いた。
ここで、またまた脱線。
旧テート・ギャラリーのテートブリテン、膨大なターナーのコレクションを誇り、Turner Galleries にその一部を常設展示する。
何室にも続くターナーの絵。
情けなくもペトロ 途中から、「どれが、どの絵かよう分からん?」状態になって溜息。
大気がおぼろげに煙る、ぼかしたようなターナー独特の表現は、実際に絵を前にした時、見る前に持っていたイメージをはるかに超えるインパクトを与える。
例えば、ロンドン・ナショナル・ギャラリー所蔵の「グレート・ウェスタン鉄道」(写真中)。
この絵を初めて前にした時、「テムズ河の鉄橋を疾駆する機関車の音を聞いた」と言えば、少しオーバーか?
後年、ターナーの水彩を用いた独自の心象表現は、印象派の画家に大きな影響を与えたとされ、モネの傑作のひとつ「サン・ザラール駅」(次回掲載予定)も、ターナーの「グレート・ウェスタン鉄道」と、しばしば対比される。
この美術館の前、ミルバンク桟橋からテート・モダンのバンクサイド桟橋を結ぶ、テムズ河リバーボート、テート・トゥ・テート・ラインが発着している。
深まりゆく秋のロンドン。
午後も遅い時間とあって少し寒かったが、旅の土産話に乗ってみた。
陰鬱な空の下で、ビッグ・ベンや大観覧車ロンドン・アイ(写真下)を、また違った目線で楽しんだ。
話をパリに戻して、マルモッタン美術館。
「印象-日の出」の他に、モネの「バラの並木道」「ジヴェルニー」「ルーアン大聖堂」などとともに、バティニョール派の絵も多く架かっていた。
午後の予定もあり、この小さな美術館に想いを残し、ブーランヴィリエ駅へと向った。
あれれ、と首を傾げていたら、テートブリテンとリバーボート。次回はパリに戻ってサン・ザラール駅? ほんと、忙しいこと! この先、何処へと旅は続くのでしょうか? 楽しみです。