マウリッツハイス美術館のフェルメール。
最後の作品は、彼の最も有名な作品のひとつとされる「真珠の耳飾りの少女」(写真上)「青いターバンの少女」とも呼ばれている。
真珠の耳飾りをつけた少女、その僅かに開かれた唇が少し謎めいて見えるせいもあって、北欧のモナ・リサとも呼ばれているのだそうだ。
この絵にも、彼の「<牛乳を注ぐ女>」(アムステルダム国立美術館)と同じように、ラピス・ラズリ、あのウルトラ・マリン・ブルーが、少女の青いターバンに使われている。
背景は、漆黒というのだろうか何の細工も施されていないように見える。
黒い背景の中で光を浴びて浮かび上がる少女は、肩越しにじっと見つめる。その視線の先には、一体、何があるのだろうか?
画題になった大きな真珠の耳飾り、彼の「手紙を書く女と召使」(写真中/ニューヨーク、フリック・コレクション)、ちなみにこの作品は東京での<フェルメール展>に出品された。を、はじめとして彼の作品に度々現われる。
本作では、少女の襟首が漆黒の背景に溶け込む辺りに、その真珠の耳飾りがあって、少女の一瞬の視線を和らげているかのようにもとれる。
彼の作品の多くは、彼が生まれ育った町の陶磁器の色、デルフト・ブルーに彩られている。
窓から差し込む光りを受けて、白と黄と赤と青が柔らかな「牛乳を注ぐ女」。
黒い背景の中で、青と黄が鮮やかに浮かび上がる「真珠の耳飾りの少女」、光と闇、その手法は異なるが、色彩対比は同じように際立つ。
マウリッツハイス美術館、「オランダ絵画黄金期」という一時代を築いた画家たち、とりわけレンブラントに魅せられ、立ち去り難いものがあった。
何時か「レンブラントの旅」を綴りたい、そんなことを考えながら美術館を後にした。
ビネンホフから旧市庁舎の付近を散策、ホテルへ向った。
朝のうちは霧がかかっていたせいか、街は閑散としていたが、午後になって人が出てきたようで、デパートが並ぶ辺りも賑わっていた。
これで、美しい街デン・ハーグ(写真下)と別れ、ベルギーのブリュッセルに向かう。とまれ天気に恵まれたオランダだった。
昨秋、ロッテルダムを訪れた時、ライデンとハーグへ足を延ばした。
その折、4年振りにこの美術館を訪れたが、レンブラントもフェルメールも、少しも変らずそこに在ったのはいうまでもない。