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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

12月23日・シャンポリオンの才

2017-12-23 | 歴史と人生
12月23日は、天皇誕生日。この日は、ジャズ・トランペッターのチェット・ベイカー(1929年)だが、古代エジプト学者シャンポリオンの誕生日でもある。

ジャン=フランソワ・シャンポリオンは、1790年、フランスのフィジャックで生まれた。父親は行商人をへて、祈?所や農学書、医学書などを扱う本屋の主人だった。母親は読み書きができなかったという。ジャン=フランソワは7人きょうだいの末っ子だった。彼は小さいころから、年の離れた兄に教わり、また、多く独学でさまざまな言語を習得した。
シャンポリオンは語学の天才で、16歳のころには、ラテン語、ギリシア語、ヘブライ語、アラビア語、シリア語、アムハラ語、ペルシア語、サンスクリット語、アヴェスター語など、12の言語を読み書きできるようになっていた。当時彼がマスターした言語のなかには、ササン朝時代のペルシア語であるフラヴィー語や、バビロニアのことばであるカルデア語もあった。
そうして、グルノーブルの高等学校に入ったシャンポリオンは、さらに多くの言語をものにし、パリへ出て、苦学してコプト語を習得。健康をくずしながら、ロゼッタ・ストーンに刻まれたヒエログリフの解読に挑んだ。
シャンポリオンは、18歳のとき、パリからもどり、グルノーブル大学の助教授となった。そして、さらにヒエログリフの研究をつづけた。
エジプトのロゼッタで発見されたロゼッタ・ストーンには、3種類の文字で同じ内容が書かれていた。ひとつはギリシア文字、ひとつは古代エジプト語の民衆文字で、そこまでは解読ができていた。そして、もうひとつの、古代エジプト語の神聖文字(象形文字、ヒエログリフ)は、当時はまだ誰も読むことができなかった。
ヘビや鳥などの絵文字が並んだ象形文字に取り組んだシャンポリオンは、32歳の年に、ついに解読した。解読に成功したとき、彼は家を飛びだし、兄の勤め先へ駆けに駆けた。そうして着くなり、
「わかったよ」
と叫び、気絶した。それから彼は5日間、昏睡状態にあった。
シャンポリオンの解読をきっかけに古代エジプトの文献がつぎつぎと翻訳されだし、それまで知られなかった古代エジプトの様子が次々と明らかになっていった。
シャンポリオンは、パリの大学で古代エジプト学教授を務めた後、1832年3月、パリで没した。41歳の若さだった。どうやら、パリの気候が体質に合わなかったらしい。

シャンポリオンについての本を何冊か読んだ。感慨深かった。
シャンポリオンは、ロゼッタ・ストーンの実物を、見ていない。ロゼッタ・ストーンは、ナポレオンがエジプト遠征でフランスへもち帰り、それを英国が奪って、ロンドンの大英博物館へもっていってしまい、シャンポリオンがパリに出たときには、すでに英国へ渡った後だった。彼が見たのは写しで、それを解読したのである。
それにしても、おそるべき語学の天才もいたものだ。語学ができない人からすると、なんだか地球の人ではない、宇宙から来た人のようである。母親も誇りに思っていたろう。
(2017年12月23日)


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