1日1話・話題の燃料

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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

10月2日・ガンディーの魂

2017-10-02 | 歴史と人生
10月2日は、『第三の男』を書いた作家、グレアム・グリーンが生まれた日(1904年)だが、非暴力・不服従という驚くべき戦術でインドの独立を導いた「マハトマ(偉大なる魂)」モハンダス・ガンディーの誕生日でもある。国際連合はガンディー生誕にちなんで、この日を「国際非暴力デー」とした。

モハンダス・カラムチャンド・ガンディーは、1869年、当時英国の統治下にあったインドのグジャラート州で生まれた。父親は、ポールバンダル藩王国の宰相だった。
ガンディー18歳で宗主国だった英国のロンドンに渡り、大学で法学を学び、法廷弁護士を目指した。そうして大学卒業後、26歳のとき、英国領だった南アフリカへ行き、そこで弁護士事務所を開業しようとした。
人種差別のはげしい南アフリカで、現地にインド系の人々を差別から守り、同胞の権利を主張する運動をはじめた。逮捕、投獄されたりしながらも、差別撤廃を勝ち取った。
第一次大戦中、46歳のときインドへ帰ってきたガンディーは、戦後、独立運動に加わり、英国製品の不買運動を展開し、英国製品に頼らず、インド伝統の糸車をまわすパフォーマンスをおこない、塩への課税に抗議して「塩の行進」をおこなった。
英国の弾圧に対しては、非暴力、不服従という態度で抵抗するよう呼びかけた。それは、こん棒でなぐり、銃をつきつけてくる警官や兵士に対しても、暴力で返さず、しかも逃げないという、恐るべき勇気が必要な戦術で、これは世界を驚愕させた。
ガンディーは何度も投獄され、何度も断食のストライキをおこないながら独立運動を続け、インドは、第二次世界大戦が終わると同時に、ついに英国からの独立を果たした。
1947年8月15日。日本の敗戦の2年後のこの日は、インド独立の日であり、当日にはインド各地で盛大な記念式典がおこなわれた。しかし、華やかな式典の会場には、ガンディーの姿はなかった。
インドの独立は、ヒンドゥー教徒の多いインドと、イスラム教徒の多いパキスタンとが分かれて、分離独立という形で達成された。その混乱のなか、各地でヒンドゥー教徒とイスラム教徒とのあいだに衝突、虐殺が起きた。ガンディーは杖をつき、ベンガルの村々を歩き、いがみあっている両教徒を見つけては、
「仲良くしないのなら、自分はいますぐここで、死ぬまでやめない断食に入るぞ」
と脅迫してまわっていたのだった。
1948年1月、ガンディーはニューデリーで、狂信的なヒンドゥー原理主義集者によってピストルで射殺された。78歳だった。国葬がとりおこなわれ、遺灰は、ヤムナー川とガンジス川と南アフリカの海にまかれた。

ガンディーは、インドの宗教的叙事詩『バガヴァッド・ギーター(神の歌)』を愛読し、インドで書かれたもっともよい本だと言っていた。またガンディーは、露国の作家トルストイの著作や『聖書』にも影響を受け、「非所有」ということを生涯を通して貫いた。これは資本主義のなかで育った現代の日本人には、なかなか得がたい境地だけれど、コミュニティーを勉強していると、腑に落ちるところが多い。
(2017年10月2日)



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