1日1話・話題の燃料

これを読めば今日の話題は準備OK。
著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

8月16日・マドンナの方法

2017-08-16 | 音楽
8月16日は、作家チャールズ・ブコウスキーが生まれた日(1920年)だが、歌手マドンナの誕生日でもある。

マドンナ・ルイーズ・チッコーネは、1958年、米国ミシガン州ベイシティで生まれた。父親はイタリアからの移民で、母親はフランス系カナダ人の血をひいていた。父親は自動車のデザイナーで、父親の最初の結婚で生まれた6人きょうだいの上から3番目がマドンナだった。
マドンナが5歳のとき、母親が乳ガンで没し、それが彼女の自立心を芽生えさせた。
ローマ・カトリックの家庭で育った彼女は、8歳のとき「ヴェロニカ」というクリスチャン・ネームを受け、マドンナ・ルイーズ・ヴェロニカ・チッコーネになった。
十代のころの自分について、マドンナは後にこうコメントしている。
「なにかをさがし求めている孤独な少女だった。よくいる反抗的な子どもではなかった。なにか光るいいものをもった存在でありたかった。わきの下の毛はそらず、ふつうの女の子たちのするような化粧もしなかった。でも、わたしは努力していい女でいた……わたしはたいした人間になりたかったのよ。(I wanted to be somebody.)」
ピアノ、バレエ、ダンスを習っていたマドンナは、ミシガン大学を中退し、19歳のとき、単身ニューヨークへ出た。
「ポケットに35ドルの全財産を入れて。いままでわたしがしたことのなかで、もっとも勇敢な行動だった。(I came here with $35 in my pocket. It was the bravest thing I'd ever done.)」
彼女は極貧の生活のなかで、舞台のバックダンサーやヌードモデルの仕事をして食いつなぎ、チャンスを待った。夜のリハーサルが終わった帰り道で、暴漢にナイフを突きつけられ、レイプされたこともあったという。
21歳のころ、意気投合したミュージシャンとバンドを組み、クラブで演奏するようになった。マドンナはボーカルと、ギターやドラムを担当した。
24歳のとき、レコード会社と契約。シングル「エヴリバディ」で歌手デビュー。
25歳の年に「バーニング・アップ」(原題、Madonna)でアルバムデビュー。シングルカットされた「ラッキー・スター」「ボーダーライン」「ホリデイ」などもヒットし、マドンナはストリートで踊る若者たちのアイコンとなった。
26歳の年にリリースされたセカンド・アルバム「ライク・ア・ヴァージン」は全世界で2000万枚以上売れ、11カ国でチャート第一位を獲得した。
その後も「ライク・ア・プレイヤー」「エロティカ」「レイ・オブ・ライト」など話題作を発表し、つねに体制や常識に反抗するセクシャルな存在として人気を保ちつづけている。彼女はまた女優として「ボディ」「エビータ」などの映画にも出演し、災害の被災者や子どものための慈善事業に関与し、チャリティコンサートや寄付活動をおこなっている。
ニューヨークでの下積み時代、寝る場所に困り、道を歩くときはいつもマクドナルドの紙袋をさがし、フライドポテトの食べ残しをあさっていた少女は、10年後、年収百億円を超える大金持ちになっていた。

成功の秘訣について、マドンナはこう言っている。
「成功するために大切なのは、あきらめず、やりぬくこと。きみには才能がないからべつの道を行ったほうがいいと周囲に説得されて、あきらめていった人をたくさんわたしは見てきた。わたしも回数多くそう言われたが、忠告にしたがわなかった」
(2017年8月16日)



●おすすめの電子書籍!

『女性解放史人物事典 ──フェミニズムからヒューマニズムへ』(金原義明)
平易で楽しい「読むフェミニズム事典」。女性の選挙権の由来をさぐり、自由の未来を示す知的冒険。アン・ハッチンソン、メアリ・ウルストンクラフトからマドンナ、アンジェリーナ・ジョリーまで全五〇章。人物事項索引付き。フェミニズム研究の基礎図書。また女性史研究の可能性を見通す航海図。

『ロック人物論』(金原義明)
ロックスターたちの人生と音楽性に迫る人物評論集。エルヴィス・プレスリー、ボブ・ディラン、ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、ジミー・ペイジ、デヴィッド・ボウイ、スティング、マドンナ、マイケル・ジャクソン、ビョークなど31人を取り上げ、分析。意外な事実、裏話、秘話、そしてロック・ミュージックの本質がいま解き明かされる。


●電子書籍は明鏡舎。
http://www.meikyosha.com



コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする