1日1話・話題の燃料

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著書『芸術家たちの生涯』
『ほんとうのこと』
『ねむりの町』ほか

1月16日・ケイト・モスのスタイル

2014-01-16 | 個性と生き方
1月16日は、女流評論家のスーザン・ソンタグが生まれた日(1933年)だが、ファッションモデル、ケイト・モスの誕生日でもある。アンチ・スーパーモデルの世界的トップ・モデルである。
自分は彼女について長いあいだ無知でいた。2003年ごろ、ジャケット姿のデヴィッド・ボウイに、後ろからケイト・モスがボンド・ガールみたいに全裸で(体幹部は隠れていて見えない)で抱きついている写真を見て、ようやく彼女を知った。

ケイト・モスことキャサリン・アン・モスは、1974年、英国イングランドの広域ロンドン南部の街クロイドンで生まれた。父親は旅行代理店、母親はバーのウェイトレスだった。ケイトが13歳のとき、両親は離婚した。
14歳のとき、バハマへ旅行した折、立ち寄った米国ニューヨークのJFK空港で、モデル事務所の経営者にスカウトされ、それがきっかけでファッション業界に入った。
16歳のとき、英国の雑誌ページにはじめて登場し、またたく間に世界的なモデルへとのし上がった。ケイトはグッチ、カルヴァン・クライン、シャネル、ブルガリなどのファッションショーに登場し「ヴォーグ」「ヴァニティ・フェア」の表紙になった。
彼女がファッション界にデビューした当時は、クラウディア・シファー、シンディー・クロフォードといった、女性らしい健康的な曲線美で魅了するスーパーモデルたちが全盛を誇っていた。が、彼女らとは正反対に、ケイト・モスは肌が青白く、目の下にくまがあり、ガリガリにやせた、両性具有的で不健康な個性美の持ち主だった。
カルヴァン・クラインの広告でセミヌードになった彼女は、その裸体美でなく、拒食症と疑われるガリガリの細さで物議をかもし「ヘロイン・シック」「ウェイフ(浮浪者)ルック」などと呼ばれた。
31歳のときには、コカインを吸っている写真が大衆紙に載り、スキャンダルにもまれたが、1年後には世界で一、二を争う高収入のスーパーモデルとなって復活した。経済誌「フォーブス」によれば、2007年ごろの推定年収は約9百万ドル(約9億円)だったという。かつて映画俳優のジョニー・ディップの恋人だった彼女は、戦争地域の子ども救済やガン研究、エイズ患者支援などさまざまな慈善事業を応援している。2013年には彼女は満40歳を迎えるのを記念し、トルコで4日間のデトックスプログラムを受けてからだのラインを整えた後、「プレイボーイ」誌上でヌードを披露し、話題をまいた。

2003年にボウイとツーショットを撮った29歳のケイト・モスは、すっかり女性らしくなっていた。しかし、デビューした20歳前後のころは、やせた、ほんとうに不健康な若者だった。やせて両性具有的と言えば、1970年代の「ミニスカートの女王」ツイギーが思いだされるが、ツイギーのほうが異星人的(人間でない感じ)だったのに対し、モスのほうは病的(いちおう人間)な印象を受ける。

自分はポール・マッカートニーやキース・リチャーズと同様、マリファナやドラッグに関しては寛容な考えをもっているので、モスのように、ドラッグの使用で批判された有名人は、つい応援したくなる。芸能人などがマリファナ・スキャンダルで世間のバッシングにあうたびに、ここがネーデルランド(オランダ)でないのが彼らの不運だったなあ、と自分は同情のため息をつく。

法律違反はもちろん警察や検察は取り締まるべきだろう。でも、ドラッグを少年少女に売りさばいてお金を儲けるのならばともかく、こっそり自分で楽しむ分には、一般の人までいっしょになってバッシングするほど悪いだろうか、と自分は疑問に思う。
法律上の善悪と、道徳的な善悪を混同してしまうと、ひどい社会になる。たとえば、さんざんいじめられたいじめっ子グループの一人を待ち伏せして仕返しするのは、法律的には傷害罪で悪いことだろうが、道徳的には同情すべき余地がある。一方、高級官僚が天下り、渡りを繰り返して何億円も稼ぐのは、法律的にはぜんぜん悪くないけれど、道徳的には死刑にしても飽き足りないくらい悪いことだと思う(公僕を装っているだけに悪質だ)。
日本人の道徳の尺度が、なんだかズレている気がしてしょうがない。まあ、自分がズレているということか。話がわきへそれた。ああ、孤立感つのる、今日このごろ。
(2014年1月16日)



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スーザン・ソンタグ、デヴィッド・ボウイ、エイゼンシュテイン、スタンダール、モーツァルト、村上春樹、三島由紀夫、盛田昭夫、夏目漱石、ビートたけし(北野武)、ちばてつやなど1月誕生の31人の人物評論。人気ブログの元となった、より詳しく、深いオリジナル原稿版。1月生まれの教科書。
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