「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」のライアン・ジョンソン監督がアガサ・クリスティに捧げたミステリー。ジェームズ・ボンド役で知られるダニエル・クレイグ扮する南部訛りの名探偵が、ワケあり家族相手に名推理を繰り広げる。
一家イチのロクデナシを演じる「キャプテン・アメリカ」のクリス・エヴァンスを始め、一家の長を演じるクリストファー・ブラマーを始めとし、右から左まで演技はだらけ。抜群のセンスとトリックで観客の裏の裏までをかく展開に興奮必死!
あらすじ:85歳の作家ハーラン(プラマー)が遺体で発見された。事件から1週間後、匿名の人物から依頼を受けたブラン(クレイグ)は、作家の屋敷を訪ねる。
<感想>謎が謎をよぶ事件。全ては誕生日の夜に始まった。85歳の誕生日パーティを開いた翌日、家政婦がハーランの遺体を発見する。彼の専属看護師を務めていたマルタ(デ・アルマス)は、誰にも言えないある秘密を抱えていた。次々と暴かれる家族の問題。亡くなった家長を悲しむ家族だが、その腹の内は別もの。
事件から一週間後、匿名の依頼を受けて屋敷に現れた名探偵ブランは、一族を招集する。当日屋敷にいたのは、ハーランの長女夫妻とその厄介者の息子であるランサム。次男夫婦とその息子のジェーコブ、ハーランの亡き長男の妻とその娘。ハーランの年老いた母親。それにハーランの専属看護師のマルタの10人。
莫大な遺産の行方を気にする全員に、殺人の容疑がかけられる。複雑な過去と隠れた動機__嘘をついているのは誰なのか?・・・。
ハーランの跡を継ぎ出版社を経営するウォルトは遺産、長男の嫁ジョニは義父からもらっていた娘の学費の心配を始める。全員が容疑者となった家族に聞き込みを開始して、抜群のトーク術で真相に近づいていく探偵のブラン。
しかし、あらゆる計算と誤算が入り込み乱れて、事態は思いもよらぬ方向へと転がっていく。一寸先も読めない巧妙なストーリーテリングと豪華キャストで贈る、ネタバレ厳禁の新たな謎解き映画が登場。
揃いも揃ったクセ者家族が、名探偵をほんろうする。ハーランの長女には、ジェミー・リー・カーティスが扮しており、次男のマイケル・シャノンに長男の妻にはトニ・コレット。次男は、父親の跡を継いで、出版社を経営している。出版社は自分のものだと、当然思い込んでいる。
そして、ドン・ジョンソン。長男の娘を、ドラマ「13の理由」のハンナ・ベイカー役でブレイクをしたキャサリン・ラングフォードが演じている。
素晴らしい脚本、監督、演技、演出と、何も言うことはない。死人に口なし文豪のハーラン・スロンビー。「まるでパパの書いた物語の中にいるみたい」という娘。そうなのだ。これはハーランの書いた小説そのものが、家族にふりかかり、駒のごとく動かされる。
劇中メタ小説は、私たちには読書不可能なのだ。それは劇中の世界を完全に予言し支配する。ということは、スロンビー家の人々の人生そのものが、ハーランの壮大な遺作なのだから。
後半部分での遺言状下りも分かりきっているから、探偵のダニエル・クレイグだって、もっとエキセントリックに造形できたはずなのに。変な訛りがあるだけで、名探偵という設定じたいが魅力に乏しいのだ。
この映画の主人公は名探偵のブランではなくて、ハーランの専属看護師のマルタですからね。容疑をかけられる無実の主人公が追いつめられるのだ。ハーランの遺産にたかっていた子供たちが、遺産相続でやきもきする中で、ハーランの死にかかわってしまった看護師のマルタが、一人苦悩する。彼女は善良であるがゆえに、次々ととんでもない計画や謀略に巻き込まれてしまい、おまけに彼女は嘘をつくとゲロを吐いてしまうという、特殊体質の持ち主でもある。だから、探偵の鋭い質問から逃げ回る。
弁護士が、遺産相続の書状を読み上げると、家族たちは莫大なる財産のなかから、自分たちがもらえる金の算段をする。それが、ハーランが唯一信じていた看護師のマルタに全財産を上げるというのだから、マルタの身が危ないことになる。家族たちの冷たい目線と財産分与の争奪戦の、嫌な感じが最後まで残り、マルタが気の毒になってしまう。マルタの母親は移民であり、そのことで彼女をいじめて「もらった財産を放棄せよ」と、全員でよってたかって虐めるのだ。結局はマルタが相続することになるのだが、そうは簡単にはことが運ばないということになる。
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