パピとママ映画のblog

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凪待ち ★★★・5

2019年07月05日 | アクション映画ーナ行

「凶悪」「孤狼の血」の白石和彌監督が「ギャラクシー街道」「クソ野郎と美しき世界」の香取慎吾を主演に迎えて贈るヒューマン・サスペンス。再起を誓ったろくでなし男が、不条理な運命に翻弄されながら周囲の人々と織りなす愛と暴力の人間模様を切なくも力強い筆致で描き出す。共演に恒松祐里、西田尚美、リリー・フランキー。

あらすじ:ギャンブル依存症で、定職にも就かず無為な毎日を送る木野本郁男。恋人でシングルマザーの亜弓とその娘で高校生の美波のためにもとギャンブルから足を洗い、亜弓の故郷・石巻に移り住み人生をやり直す決意をする。実家では末期がんに侵されながらも漁師を続ける亜弓の父・勝美がひとりで暮らしていて、ご近所の小野寺が何かと世話を焼いていた。そんな中、郁男は印刷会社で働き出し、再起に向けた新生活がスタートする。ところがある日、亜弓と衝突した美波が夜になっても戻らず、心配でパニックになった亜弓に八つ当たりされた郁男は、彼女を車から降ろし、置き去りにしてしまう。その後、亜弓は何者かに殺され、遺体となって発見される。責任を感じ、次第に自暴自棄となっていく郁男だったが…。

<感想>誰が殺したのか?なぜ殺したのか?・・・香取慎吾ファンで鑑賞しました。でも解せませんね。主人公の郁男が、ギャンブル依存であらゆる金を次ぎこんでしまう男、しかも、寡黙でキレると凶暴。魅力あるかなあ、この男は、今ならばDV、パワハラで訴えられて、奥さんに“出て行け”と言われてもしょうがない男の話です。

何故にあんなに娘や爺さんに、嫁の友達にも愛されてるかが、意味不明なのでイマイチ引き込まれない内容でした。確かに今までがアイドルだった香取慎吾が、新たに生き直して前向きに選んだ作品、もっとも大きな再生に重ねた映画なのかもしれません。

あえて東日本大震災の爪痕の残る石巻を舞台に設定し、主人公は恋人の故郷である見知らぬ土地で、漁師の義父と亜弓の連れ子の高校生の美波と4人で家族になろうとするのだが、・・・。ところが、印刷業へ就職したものの、そこで知り合ったギャンブル仲間と友達になり、新天地へ行っても彼の遊びであるギャンブルは止められなかったのだ。

確かに、愛した女・亜弓は乱暴されて殺されたのだが、娘は元父親が地元にいるので、そこへ行って学校へ通いたいと言う。義父は癌を患い、幾ばくも無いのだから。どうして、自分から義父の漁師の仕事を引き継ぐと、言い出さなかったのかが分からない。漁師の仕事は朝早くて体も大変だし、そんなに金を稼ぐわけでもないのだ。

冒頭から、抜け殻のような香取慎吾を見せられて、後ろ姿が哀れでしょうがない。でも、みんな辛くても生きているのだから。簡単にギャンブルで金儲けをしようという根性が嫌だった。それも、ヤクザの金貸し(のみや)から金を借りて、膨大な利子が付いてくるのに。あっと言う間に300万円の借金ができてしまった。袋叩きに会い、金を工面する方法もなく、飲み屋で暴れて椅子、テーブルなどを壊し、その支払いも亡き妻の友人である氷やのリリー・フランキーが立て替えてくれる。

若い男が働きのせずにギャンブル通いをしては、情けないたらない。「ぼくはどうしようもないろくでなしです」と言う郁男。立派な体があるじゃないか、やり直しは利くはずだ。他にも、郁男が働いている印刷工場の仲間にもそういうやからがいる。何もかもが波にさらわれてしまい、生きる術がないと嘆く人たち。でも自分だけじゃない、周りを見てごらんよ、足を引きずりながらも仕事をしている人だっている。

この映画に登場する人たちは、「あの時、ああしていれば」と、後悔を抱えた者ばかり。美しい波という名前の少女は、そんな男たちの心に“凪”を与えて導く存在なのだ。

だから、香取慎吾に対して義父が船を売って300万円の金を作り、借金返済にしろと優しい言葉をかける。俺はどうせ癌で、後幾ら生きるかしらないからと。その金を持って借金を返すのだが、悪いことに50万円ばかり残ってしまう。よせばいいのに、その金をまたもやギャンブルに賭けるのだ。

それが運よく当たり券で、300万円を儲けてしまうのだが、相手はヤクザでその当たり券を口の中へ押し込んで飲んでしまう。これが「のみや」というものだと馬鹿にされてしまう。怒った郁男がヤクザ相手に喧嘩をする。勝てるはずもなく、怪我をして帰って来る。

だが、義父がヤクザの親分の知り合いで、そのことを聞き、子分に当たり券の300万円を払ってやるようにと命令する。それに、義父が言うには、亡き娘が結婚届けを書いていたことも、2人の結婚を承諾して欲しいと義父に頼んだと言うのだ。

やっと気づいた郁男が、義父の船を買い戻して、自分も漁師をやると宣言して、最後は仲良く船に乗り、新しい船出に出発するという。どうして、もっと早くに気づかなかったのだろうか、人間ってどん底まで落ちないとダメなのかな。

これまで観たことのない厳しいやさぐれ男の役どころに、香取慎吾という俳優の新境地を観たという終幕は美しい。

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