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渇水★★★

2023年06月09日 | アクション映画ーカ行

                        

「凶悪」「孤狼の血」などを送り出してきた白石和彌監督が初プロデュースを手がけ、生田斗真を主演に迎えて送る人間ドラマ。作家・河林満の名編「渇水」を原作に、心の渇きにもがく水道局職員の男が幼い姉妹との交流を通して生きる希望を取り戻していく姿を描く。
あらすじ:市の水道局に勤める岩切俊作は、水道料金を滞納している家庭や店舗を回り、料金徴収および水道を停止する「停水執行」の業務に就いていた。日照り続きの夏、市内に給水制限が発令される中、貧しい家庭を訪問しては忌み嫌われる日々を送る俊作。妻子との別居生活も長く続き、心の渇きは強くなるばかりだった。そんな折、業務中に育児放棄を受けている幼い姉妹と出会った彼は、その姉妹を自分の子どもと重ね合わせ、救いの手を差し伸べる。
監督は、岩井俊二監督作や宮藤官九郎監督作で助監督を務めてきた高橋正弥。

<感想>今まで生田斗真くんと言うと、「土竜の唄」とか「脳男」とか、もの凄くちゃらけた役柄が似合う俳優だと思っていたが、今作での普通の水道局員という平凡な若者を演じるってことは、かなり彼なりに努力をして、役柄に溶け合うように演じきっていたと思う。まるで人生が180度もガラっと変化していくような、もの凄く自分を押し殺して役柄に溶け込んでいくように、自分を本当に変えて演技をしなければいけないと思うし、成りきって平凡な水道局員の役柄をやり遂げているようで、本当に立派な役者になったと思いますね。

生田斗真くんが主演ということで、かなり期待しました。相棒の水道局員には最近メキメキと演技が板についてきて、どんな役柄もこなしていっているようで、頼もしかったですね。日常に水道局員という役柄は、あまり外には出てこないし、役所のなかで事務職か水道のトラブルを電話で受け答えするような仕事かなと思ってました。

今回は、水道代の滞納者を対象にして、一軒、一軒とどういう事情なのか、どうして支払いができないのかを調べて、どうしても支払いが未納の場合は、直ぐにでも停水作業に取り掛かり、水道を止めてしまうという役柄です。本当にそんな水道局員の仕事があるのだろうか、実際に結構厳しい事情があって水道代を支払いできないのかが、問われる問題も抱えています。

この物語では、日照りが続き、水不足で水道の水も節水するようにと呼び掛けている。だから、水道代の滞納者には厳しく取り立てようと、上司にお尻を叩かれて、暑いさなかを一軒一軒と、調べては停水をしていく。中には、水道代が払えるのに、4か月間も支払いを滞っていて、実際に自宅へと行ってみれば、お金はあるのに一人ぐらい支払わなくてもどうってことないというような”やから”もいるわけで、中には、一緒に住んでいる女性とか、母親が支払ってくれるという。

そんなケースは、本当にあるようで、中でも両親がいなかったり、シングルマザーだったりして、生活が厳しく水道代、電気代、ガス代という光熱費が支払うことができない人たちもいるわけで、まだ小学生くらいの姉妹だけが家にいて、母親から食費しか貰えず、その食費を削ってまで水道代を支払うように仕向けるわけにはいかず、結局は若い水道局員の二人には、そんな惨い取り立てはできない。だから、ついつい、直ぐには水道を止めないでお風呂や、鍋、釜、やかん、なんでもいいから水を汲んでしばらくの間は、水が飲めるようにと配慮するのだ。

何だか、身につまされる物語のような、それでも水道局員の若者は、そんな姉妹にアイスキャンディーをご馳走して、縁側で当たりくじが出るのが嬉しそうだった。食べるために、飢えをしのぐために万引きをしたりしてなんとか生きようとする姉妹。最後には姉妹で児童施設に引き取られることになる。妹は、一緒にいる姉が大好きで、自分の食事を削ってでも妹に食べさせており、妹は、捨てていった母親のことを悪い親とは思っていない。アイスの当たりくじ棒を、今は男のところへと出ていった母親に、そのアイスの当たり棒を上げようと嬉しそうに姉に言うところが、いじらしかった。

この姉妹の母親には、門脇麦が演じているのだが、ちょっと幼い母親役で心細い。旦那に捨てられて若くして二人の子供を産み育てているわけで、児童相談所や生活保護の願いを出せばいくらか生活が楽になるのだろうに、結局は母親の無知のせいなのか、子供を捨てて男と駆け落ちまがいな行動にでてしまう。

その物語の流れの中で、生田斗ん真くんの私生活が描かれていて、水道局の仕事に無理がたたり、新築の家のローンとか、子供の育児や、生活費のことなど。現在は、奥さんと息子に出ていかれ、離婚をするまでに発展していく。新築の庭付き一軒家を購入したのに、妻が二人目の子供を妊娠するが、夫の岩切俊作は、2人目の子供はいらないといい、喧嘩をして、実家(食堂)に帰っていく。妻の方は俊作を嫌いになった訳ではなく、俊作と息子の将来の生活のことを二人で相談しながら、仲良くしていきたいと思っているようだ。

相棒の水道局員の磯村くんは、同棲していた彼女が妊娠をして、結局は結婚ということになるわけ。この相棒の男の方が、人間らしく素直に生きているように見えた。

結局は、最後には岩切俊作が、日ごろの鬱ぷんが爆発して上司に盾をつき喧嘩をしてしまい、辞表を書くことになる。クビになった俊作が取った一番の解決策は、妻と息子と自分、それに妻の両親の面倒も見なければならず、一番いい方法とは、妻の実家の食堂の跡を継いで、子供も3人ぐらい作り、育てれば一番の幸せに導かれることになるだろうに。とにかく、生田斗真くんの平凡で真面目な青年を観られて、これからももっと演技に精進して頑張って欲しいですね。

 

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