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ヤクザと家族 The Family★★★

2023年06月24日 | アクション映画ーヤ行

             

「新聞記者」が日本アカデミー賞最優秀作品賞に輝いた藤井道人監督が、時代の中で排除されていくヤクザたちの姿を3つの時代の価値観で描いていくオリジナル作品。これが初共演となる綾野剛と舘ひろしが、父子の契りを結んだヤクザ役を演じた。

あらすじ:1999 年、父親を覚せい剤で失った山本賢治は、柴咲組組長・柴崎博の危機を救う。その日暮らしの生活を送り、自暴自棄になっていた山本に柴崎は手を差し伸べ、2人は父子の契りを結ぶ。2005 年、短気ながら一本気な性格の山本は、ヤクザの世界で男を上げ、さまざまな出会いと別れの中で、自分の「家族」「ファミリー」を守るためにある決断をする。2019年、14年の出所を終えた山本が直面したのは、暴対法の影響でかつての隆盛の影もなくなった柴咲組の姿だった。

<感想>”ヤクザ”が題材となる新たなる衝撃な作品。 19歳でヤクザとなった主役の綾野剛が賢治の生き様を、99年、05年、19年という、変わりゆく3つの時代を背景に、壮絶なるタッチで描き出している。自暴自棄に生きてきた賢治だが、柴咲組組長・柴崎博に命を救われたことで、ヤクザ=家族のために男をあげていく、その生き様をヤクザが似合う綾野剛が熱演している。

ヤクザの抗争の時代を駆け抜け、暴力団対策法に戸惑いながら、時代の変化の中で、”組”という名の家族と自らとの間で心を揺らしてゆく。賢治と深い絆を結ぶ舘ひろし演じる柴咲組組長・柴崎博との熱き競演も見逃せませんね。

ヤクザの世界を家族というテーマで描く新しさと、興奮を誘う骨太な人間ドラマに、誰もが引き込まれていくに違いありません。”義理と人情と権力”様々なものが渦巻く男の世界感で、賢治が最後に求めるものとは何なのか?

賢治が父親を亡くして自暴自棄になっていた彼を拾い、育て上げた懐の深い組長の舘ひろしが、賢治を我が子のように見守ってゆく貫禄と、懐の深さを併せ持つ組長の下で勢力を上げていくのだが、暴対法の施行後には衰退してく様を巧く演出している。

賢治が、学費のためにクラブで働く由香(尾野真千子)と出会い、恋仲になり惹かれ合あうも、2019年、暴対法の影響でヤクザが困窮する一方で、半グレ集団が夜の街を仕切るようになっていた…。そんな中で、敵対する侠葉会との抗争を引き起こしてしまう。兄貴分の罪を引き受けて刑務所に入るが、出所を終えて由香と再会し、自分の子供(娘)と彼女と共に家族になるために、ヤクザの世界から足を洗おうとするのだが。

ヤクザの実像と彼らを一人の人間として掘り下げてゆく本作、ヤクザの人権を社会的な視点で描きだす語り口に魅せられます。ヤクザという生き方を選んだ男の、激動の人生を体現した綾野剛。自ら「渾身の作品」と語るのも納得の、圧巻の演技で魅せられますね。

賢治の兄貴分である中村を演じている北村有起哉に、後輩の二宮を演じている市原隼人が弟分と、食堂の女将でお節介な寺島しのぶが、可愛いその息子を演じている磯村勇斗が甥っ子となり、柴咲組は昔の東映映画を彷彿とさせる、昔ながらの暴力団である。任侠道を重んじ、義理人情に篤く、素人に手を出さないのが建前で、一般人を食い物にするドラッグは扱わないときている。

柴咲組を本当の家族と思って生きてきた昔気質のヤクザの賢治が、時代の波に押し流されてゆく姿を描ている社会派任侠アクション映画であります。久しぶりに舘ひろし演じる柴咲組組長の柴崎博に惚れてしまいました。

 

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