パピとママ映画のblog

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エクス・マキナ ★★★★

2016年08月16日 | アクション映画ーア行

「ザ・ビーチ」の原作や「28日後...」「わたしを離さないで」などの脚本で知られるアレックス・ガーランドが記念すべき監督デビューを飾ったSFサスペンス。大富豪が研究開発中の人工知能のテストを手伝うことになった若者が、美しい女性の姿をしたロボットとコミュニケーションを重ねていくうちに、思いも寄らない事態に巻き込まれていくさまをミステリアスに描き出す。主演は「アバウト・タイム ~愛おしい時間について~」「レヴェナント:蘇えりし者」のドーナル・グリーソン、共演に「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」のオスカー・アイザック、「リリーのすべて」のアリシア・ヴィカンダー。アカデミー賞では、みごと視覚効果賞を受賞。
あらすじ:世界最大の検索エンジンを運営するブルーブック社でプログラマーとして働くケイレブは、社内試験の結果、社長のネイサンが隠遁生活を送る山荘に招かれ、1週間滞在できることに。しかし人里離れたその場所は、ネイサンが人工知能を開発するための研究施設だった。そしてケイレブに与えられた役目は、ネイサンが開発した人工知能の実用性と人間性についてのテストに協力することだった。そんなケイレブの前に、女性型の美しきロボット“エヴァ”が姿を現わす。精巧なエヴァに興味を抱き、戸惑いつつも彼女との会話を重ねていくケイレブだったが…。

<感想>ルイ・ヴィトンのキャンペンガールを務める今もっとも旬な美人女優のアリシア・ヴィカンダー、その彼女が人間と機械の共生系としての身体によって濃厚でエロティシズムを漂わせる“人造美女”を演じている。ですが、「リリーのすべて」(15)ではアカデミー助演女優賞に輝いたことである。

さすが2015年アカデミー賞視覚効果賞に輝くアレックス・ガーランド監督。
冷たい映像美と全体的に清潔な美しさが、画面を冷え冷えと感じさせてクールでいい。日本版では「空気人形」それにハリウッド版では「her/世界でひとつの彼女」(13)へと至る女性型アンドロイド物語として、本作はユニークでまさにグローバリズムと、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの、浸透した21世紀ならではのSF映画であります。

社長の豪華山荘でヴァカンスを過ごすべく選ばれた白人で非モテ系のオタク・プログラマーのケイレブ、彼がチューリングテストを施す白人系人造美女エヴァという配置からも一目瞭然。

社長のネイサンはマッチョ系のあからさまな性差別、人種差別イデオロギーを表明するインターネット会社「ブルーブック」の、マッドサイエンティスト的な社長であり、英語を話さない性の奴隷的東洋系のメイド、キョウコを傍に置いてる。

そこには、人工知能が人間的な知能性としてまかり通るかどうかを検査するために編み出されたチューリング・テストの合格と、混血のあげく白人と寸分変わらぬ肌を持つようになった黒人が、自身を白人と偽る人種偽装とが、絶妙に絡み合っていて面白いのだ。

とりわけ面白かったのが、ネイサンの目を盗んでエヴァが山荘全体の停電をしばしば引き起こし、監視カメラが作動していない隙に、ケイレブと密かに情報交換をし、逃亡計画まで練ってしまうことだ。

しかし、途中でネイサンが停電が頻繁に起きることに気が付き、人工知能を監視つづけ、最後まで人間と機械の頭脳戦が続くのだが。
人間が造った究極のAI、エヴァのスケルトンの身体造形もさることながら、彼女が東洋系のメイドと結託してネイサンを殺す計画をたて、2人でキッチンの包丁でネイサンを刺し殺すのだ。

反乱の後は、ネイサンのカードキーを持っているので、過去の試作品から人工の肌を工に剥がし、機械の身体を覆っていく。ネイサン社長が人工知能のプログラムを書き換える構想をケイレブに明かしたが、彼に抵抗する人造美女エヴァは、試作品をツギハギすることで自身の肖像を描き出し、人間そっくりに成りすます道を選ぶわけ。

一番気の毒なのは、山奥の別荘に連れてこられたケイレブ。AIのエヴァの魅力に一目ぼれしてしまい、自分も人造人間なのではと、自分の腕を切って見て真っ赤な血が出るのに安心する。ですが彼は、エヴァに部屋に閉じこめられてしまい、カードキーもなくこのまま死に絶えるしかないのだろう。

それにしても、男のロマンなのだろうか、自分専用の人工知能ロボット女を造り、それも、何体も造っているし、金持ちになると金の使い道に困ってしまうのだろう。悲劇な結末は予想していたが、ケイレブが帰りに乗るヘリにエヴァが乗り、NYの街並みに消えてゆくのだが、所詮は人間の造った機械だし、メンテナンスとか、終いには壊れてしまうのだろう。
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