以前の記事で評判がよかったものの続編です。ソースは、またしても敬愛するこちらからになります。
今回のテーマは、登りとパウワーです。
続きのほんにゃくを希望する方は、ぽちっとお願いします。
▼プロのように登る
ミケーレ・フェラーリは、いわくつきの人物だ。聖人か大罪人かは、あなたの判断にまかせよう。いずれにせよ、彼はサイクリング界に大きな足跡を残した。それは例えば、 コンコーニ・テスト(もしくはランプ・テスト)の提唱やモゼールのアワーレコードの指揮などである。
参考
ロミンガーがキャリアの終盤で不死鳥のように復活し、2度のアワーレコードとジロ一勝を勝ちとったのも、フェラーリ再生工場によるものだ。彼のアドバイスの元、ある選手のヘマトクリットは42から49.9になったという。ドーピング規制値は50以上。シメオーニ、キアプッチ、ボルタラーミなどがフェラーリ博士のドアをノックした。
彼は大衆や自転車団体に誤解されているが、ぺロトンの中では寵児である。筆者の個人的見解では、彼は欠点だらけの天才、といえよう。天才と異常者の境目は時として曖昧である。これをうちのYOMEはよくわかってくれないwww。
2004年のドーピング疑惑裁判で、無実を主張した彼は1200ドルの罰金と仮処分、そして医療従事を禁じられた。アームストロングのツール6勝のアドバイザーであったフェラーリ博士は、この一件によりアームストロングとの関係を絶つことにもなる。
後日、フェラーリ博士は控訴し、最終的に罪は全てはれ、懲役も罰もうけていない。というわけで清濁併せ呑まなければならない人物なのであるが、ことトレーニング理論に関して彼は革新的な発明者である。この側面だけに焦点をあてて、話をすすめていこう。
▼出力体重比
コーチが気にするマジックナンバーは「4. 0w/kg」である。我々シリアスなホビーレーサーは、家族と人生のバランスをとりながら、愛するスポーツのため最大限練習する。4. 0w/kgを達成できていれば、ホビーレーサーとしてがんばっている証拠だ。
フェラーリ博士の計算式によると、ツールに勝利するためにはLTで6. 7w/kgを出す必要があるという。
番外編:体重別ツール・ド・フランス勝利のためのヤビツ峠目標タイム(名古木から)
60kg= 27分30秒 405W
65kg= 26分00秒 435W
70kg= 25分50秒 463W
75kg= 25分15秒 499W
80kg= 25分00秒 531W
全盛期のアームストロングは、76kg、450 Wattでシーズン入りしたそうだ。そしてツール本番に向け、74kg、497 Wattを目指して綿密にその数字に近づけていくのだ。
ホビーレーサーの目的は、(プロほど数字にとりつかれることはないにしても)健康的に、合法的に、そして効率的に出力体重比を最大化することにある。
▼出力と体重、どちらが大事?
答えは比較的簡単である。数式によると、減量しつつ出力が向上すれば、よりよいライダーになれる。そんなのわかっているなら苦労しませんよね。
問題は、体重と出力の最適なバランスを探すことにある。75 kgで300 WattをLTで出せる人が、70 kgに減量して265 Wattに出力を落とす意味はあるだろか。意味はない。魔法の4.00から3.78に落ちてしまうからだ。悪くはないが、よくもない。75 kgで300 Watt踏めていた頃のほうが、もっとオールラウンド力があったといえる。
これが72 kgで290 Wattであれば、進歩したことになる。4.02 w/kgである。わかってきただろうか。一にも二にも減量というわけではないのだ。努力して得た出力は、減量によって簡単に失ってはならないのだ。失っていいのは体脂肪であって、筋肉量ではない。このテーマについては、話すとながくなるのでここでは深入りしないが…
300 Wattを保持したまま70 kgに減量した場合、出力体重比は4.28 w/kgになる。これで山に登りにいくと劇的な変化に気づくだろう。1 kg減るごとに、出力が落ちていないのであれば、登り時間は1.25 %削ることができる。
私は(この記事の筆者)アルプ・デュエズを58分で登ることができる。1kg減量すれば43秒短縮できる計算だ。
私は(この記事の筆者)シーズンのピークで69kgまで落とせる。そうなると、アルプ・デュエズで圧倒的な2分を削ることができるのだ。もちろん、「出力を落とさずに」という前提のもとではあるが。峠を攻めるホビーレーサーにとって、このようなデータは非常に有用なものであると思う。
故パンターニはアルプ・デュエズを37分35秒(485 Watt)で登ることができたという。体重が30 kgくらいにでもなれば、そのタイムにも肉薄できるであろうが、くりかえすが、バランスが肝心だ。
▼VAM
イタリア語でヴェロチタ・アセンスィオナーレ・メディーア、平均登坂速度をVAMという。呼び方はともあれ、プロの間、特に監督やコーチなどが、練習や本番のレースの戦術策定する際に拠り所にする数字がVAMである。要するに「追うのか、追わないのか?」の判断をする際の指標である。
VAMはフェラーリ博士が生み出した概念である。大体8%くらいの勾配の坂を上る速度の比較に使う。この指標は、長くて延々と続く斜面だとさらに正確になる。
VAM速度とは、時速ではない。VAMは、毎時のメートルで表される。例えば、VAMが1500であった場合、それは1時間で1500メートルの標高差を登ることができる、ということなのだ。
アルプ・デュエズの標高は1860メートル、距離は13.8キロ、平均勾配は7.9パーセント。獲得標高は1090メートルである。
私の(この記事の筆者)アルプ・デュエズのVAMは…
(1090 metres x 60) / 58 = 1127
1090メートル登り、60分を掛けて、所要時間で割る。
他にも考慮すべき要因はあるが、それについては口述する。*ニャロメのVAMは2010年5月現在1021であった。
▼VAMとあなた
フェラーリ博士は、VAMはライダーの閾値と出力体重比によって概算できると主張している。てなわけで、また私の(この記事の筆者の)数字であるが…私が(この記事の筆者)ベスト体重の69キロであれば4w/kgを出せることがわかっている。
フェラーリ博士によると、閾値の出力体重比に300を掛けると、あら不思議、ライダーのVAMの近似値が出せるそうだ。私の(この記事の筆者の)場合、それは1200のVAMになる。
*ニャロメの場合、3.8×300=VAM 1140
(この記事の筆者の)実際のVAMは1127だから、この概算はかなり近い。
▼プロのVAM
フェラーリ博士によると、グラン・ツールの総合優勝には1650から1800のVAMが必要になるそうだ。パンターニのアルプ・デュエズ37分の記録は、VAM 1744に相当する。2009年ツール第15ステージのコンタドールのVAMは1830,ツールのグルペットのVAMは1100-1300程度らしい。あなたも、自分のVAMを計測してみたらいかがだろうか。
VAM 1744
VAM 1830
VAM 1100-1300
2000年のツール第16ステージ、パンターニはモルジヌにむけてアームストロングを攻撃をしかけた。
どうする?追うべきか?逃がすべきか?
追走か。差をキープするために脚を使うか。ほうっておいて垂れるのを待つか。それともそのステージをあきらめるか。伝説によると、ヨハン・ブリュイネルはチームカーからフェラーリ博士に電話をいれたという。そのときフェラーリ博士は森の中を散歩していた。ブリュイネルから必要な情報を伝え聞いたフェラーリ博士は、その場で暗算をした。
「放っておけ」が回答だった。
USポスタルは追走をやめた。数分後、パンターニは力尽き、集団に戻ってきた。彼らの持っているデータによれば、パンターニのVAMではそのペースをキープできないことがわかっていたからだ。アームストロングはまさにこのために大金をフェラーリ博士に払っていた:洞察力、アドバイス、そしてトレーニングプランだ。
▼VAMとランディス
(2010年:歴史はそれがドーピングによるものであったとついに認めたが)2006 ツール第17ステージ、あの伝説の大逃げステージを例に取ってみよう。
5時間23分のステージで、ランディスは平均281 Wattを記録した。2006年の4月に、(この記事の筆者)は某地方レースに出場した。5時間24分のステージ、30キロを残して黄金のタレを起こした記憶に残るレースだった…しかし、筆者の平均は195 Wattであった。ならば、プロが出す282 Wattは、信じるに値する。例えば同じ年のツール第3ステージで逃げにのったイェンス・フォイクトは平均300 Wattを超えていたのだ。
資料をあたってみると、2006年のツール山岳ステージの平均は269 Watt、2005年の平均は274 Wattであった。
さて、くだんの第17ステージだが。ランディスは5つの峠を登った。
自らが登りでどのくらいまで追い込めるのかを知るものは強い。筆者にはそれを体感する能力はないが、SRMパワー計だったら持っている。短くてきつい1分程度の登りであれば、400 Wattで登れる。2分の登りなら350 Watt、3分の登りなら300 Watt、4分の登りなら280 Watt、5分の登りなら260 Wattである。本当にここまで正確に数字でばらけるのだ。
ランディスとパワーメーターの権威、アレン・リン博士(昨年までGARMIN)は、集団から山岳で逃げるには390 Wattが必要だと知っていた。380 Wattでは差をキープするだけ、370 Wattでは追いつかれてしまう。
幸運なことにも、その日追走集団には牽制が入り、誰が追走をコントロールするかでもめた。誰もが、ランディスのペースは持たないと思った。誰もがそう思っている間に、ランディスは逃げ続けた。氷のようにつめたい水を浴び、コア体温をコントロールしながら彼は逃げに逃げた。
下記が登り、時間、ワットである。
登り 時間 獲得標高 ワット VAM
サイシー峠 37 mins 823m @ 5% 395w 1334
アラビ峠 17 mins 877m @ 4. 6% 371w 1422
コロンビエール峠 40 mins 1115m @ 5. 8% 392w 1672
シャンティヨン峠 11 mins 255m @ 5% 374w 1390
ジュー・プラン峠 37 mins 739m @ 6. 6% 372w 1198
数字だけを見れば、全て人間にも可能な数字に見える。例外はコロンビエール。本当にこの登坂時間が正しいのか私は自信は持てない。だが、フェラーリ博士の提唱するグラン・ツールVAMの下限範囲にはおさまるVAMである。
数字だけを見る限り人間業を超えた所業ではない。可能な範囲のパフォーマンスである。
使用がささやかれているテステトロンの服用がどこまで効果があったのかを知る術はここにはない。全ては闇の中だ。
▼考察
記事の前半で、これらのVAMにまつわる数字に影響を及ぼす、他のファクターについて触れた。高度、そして筋肉の動因に必要な酸素量がそれである。海抜0メートルから1000メートルに登るほうが、1600メートルが2650メートルのガリビエ峠に登るより良いVAMスコアにつながるのだ。
また、勾配も大いに影響する。勾配がきつければきついほど、VAMスコアは良くなる。
体重64 kgで300 Watt出せる選手の、勾配によるVAMの違いは:
5% = 1180 VAM メートル/時
▼ 6% = 1215
▼ 7% = 1250
▼ 8% = 1290
▼ 9% = 1340
▼ 10% = 1400
▼ 11% = 1475
▼ 12% = 1565
▼ 13% = 1665
勾配がきつくなる分、VAMは掛け算的に数字が上がっていく。そして、ここでも選手の体重の軽さが有利に働く。1キロ減量すると、一時間につきVAMでいうと標高25 m分の高みに登れる。
▼メッセージ
これであなたはあなたとプロを比較する正確な指標を得た。この記事は決してあなたを良いクライマーにはしない。外に出て行ってそれを実現するのはあなたの脚だ。だが、TV中継を見ているときに、レースを観戦しているときに新たな視点を与えてくれるだろう。
練習を続けよう、体重を落とそう。そちらの方が10 Wattパワーをあげるより簡単だし、新品のカーボンフレームを買うより安上がりだ!
今回のテーマは、登りとパウワーです。
続きのほんにゃくを希望する方は、ぽちっとお願いします。
▼プロのように登る
ミケーレ・フェラーリは、いわくつきの人物だ。聖人か大罪人かは、あなたの判断にまかせよう。いずれにせよ、彼はサイクリング界に大きな足跡を残した。それは例えば、 コンコーニ・テスト(もしくはランプ・テスト)の提唱やモゼールのアワーレコードの指揮などである。
参考
ロミンガーがキャリアの終盤で不死鳥のように復活し、2度のアワーレコードとジロ一勝を勝ちとったのも、フェラーリ再生工場によるものだ。彼のアドバイスの元、ある選手のヘマトクリットは42から49.9になったという。ドーピング規制値は50以上。シメオーニ、キアプッチ、ボルタラーミなどがフェラーリ博士のドアをノックした。
彼は大衆や自転車団体に誤解されているが、ぺロトンの中では寵児である。筆者の個人的見解では、彼は欠点だらけの天才、といえよう。天才と異常者の境目は時として曖昧である。これをうちのYOMEはよくわかってくれないwww。
2004年のドーピング疑惑裁判で、無実を主張した彼は1200ドルの罰金と仮処分、そして医療従事を禁じられた。アームストロングのツール6勝のアドバイザーであったフェラーリ博士は、この一件によりアームストロングとの関係を絶つことにもなる。
後日、フェラーリ博士は控訴し、最終的に罪は全てはれ、懲役も罰もうけていない。というわけで清濁併せ呑まなければならない人物なのであるが、ことトレーニング理論に関して彼は革新的な発明者である。この側面だけに焦点をあてて、話をすすめていこう。
▼出力体重比
コーチが気にするマジックナンバーは「4. 0w/kg」である。我々シリアスなホビーレーサーは、家族と人生のバランスをとりながら、愛するスポーツのため最大限練習する。4. 0w/kgを達成できていれば、ホビーレーサーとしてがんばっている証拠だ。
フェラーリ博士の計算式によると、ツールに勝利するためにはLTで6. 7w/kgを出す必要があるという。
番外編:体重別ツール・ド・フランス勝利のためのヤビツ峠目標タイム(名古木から)
60kg= 27分30秒 405W
65kg= 26分00秒 435W
70kg= 25分50秒 463W
75kg= 25分15秒 499W
80kg= 25分00秒 531W
全盛期のアームストロングは、76kg、450 Wattでシーズン入りしたそうだ。そしてツール本番に向け、74kg、497 Wattを目指して綿密にその数字に近づけていくのだ。
ホビーレーサーの目的は、(プロほど数字にとりつかれることはないにしても)健康的に、合法的に、そして効率的に出力体重比を最大化することにある。
▼出力と体重、どちらが大事?
答えは比較的簡単である。数式によると、減量しつつ出力が向上すれば、よりよいライダーになれる。そんなのわかっているなら苦労しませんよね。
問題は、体重と出力の最適なバランスを探すことにある。75 kgで300 WattをLTで出せる人が、70 kgに減量して265 Wattに出力を落とす意味はあるだろか。意味はない。魔法の4.00から3.78に落ちてしまうからだ。悪くはないが、よくもない。75 kgで300 Watt踏めていた頃のほうが、もっとオールラウンド力があったといえる。
これが72 kgで290 Wattであれば、進歩したことになる。4.02 w/kgである。わかってきただろうか。一にも二にも減量というわけではないのだ。努力して得た出力は、減量によって簡単に失ってはならないのだ。失っていいのは体脂肪であって、筋肉量ではない。このテーマについては、話すとながくなるのでここでは深入りしないが…
300 Wattを保持したまま70 kgに減量した場合、出力体重比は4.28 w/kgになる。これで山に登りにいくと劇的な変化に気づくだろう。1 kg減るごとに、出力が落ちていないのであれば、登り時間は1.25 %削ることができる。
私は(この記事の筆者)アルプ・デュエズを58分で登ることができる。1kg減量すれば43秒短縮できる計算だ。
私は(この記事の筆者)シーズンのピークで69kgまで落とせる。そうなると、アルプ・デュエズで圧倒的な2分を削ることができるのだ。もちろん、「出力を落とさずに」という前提のもとではあるが。峠を攻めるホビーレーサーにとって、このようなデータは非常に有用なものであると思う。
故パンターニはアルプ・デュエズを37分35秒(485 Watt)で登ることができたという。体重が30 kgくらいにでもなれば、そのタイムにも肉薄できるであろうが、くりかえすが、バランスが肝心だ。
▼VAM
イタリア語でヴェロチタ・アセンスィオナーレ・メディーア、平均登坂速度をVAMという。呼び方はともあれ、プロの間、特に監督やコーチなどが、練習や本番のレースの戦術策定する際に拠り所にする数字がVAMである。要するに「追うのか、追わないのか?」の判断をする際の指標である。
VAMはフェラーリ博士が生み出した概念である。大体8%くらいの勾配の坂を上る速度の比較に使う。この指標は、長くて延々と続く斜面だとさらに正確になる。
VAM速度とは、時速ではない。VAMは、毎時のメートルで表される。例えば、VAMが1500であった場合、それは1時間で1500メートルの標高差を登ることができる、ということなのだ。
アルプ・デュエズの標高は1860メートル、距離は13.8キロ、平均勾配は7.9パーセント。獲得標高は1090メートルである。
私の(この記事の筆者)アルプ・デュエズのVAMは…
(1090 metres x 60) / 58 = 1127
1090メートル登り、60分を掛けて、所要時間で割る。
他にも考慮すべき要因はあるが、それについては口述する。*ニャロメのVAMは2010年5月現在1021であった。
▼VAMとあなた
フェラーリ博士は、VAMはライダーの閾値と出力体重比によって概算できると主張している。てなわけで、また私の(この記事の筆者の)数字であるが…私が(この記事の筆者)ベスト体重の69キロであれば4w/kgを出せることがわかっている。
フェラーリ博士によると、閾値の出力体重比に300を掛けると、あら不思議、ライダーのVAMの近似値が出せるそうだ。私の(この記事の筆者の)場合、それは1200のVAMになる。
*ニャロメの場合、3.8×300=VAM 1140
(この記事の筆者の)実際のVAMは1127だから、この概算はかなり近い。
▼プロのVAM
フェラーリ博士によると、グラン・ツールの総合優勝には1650から1800のVAMが必要になるそうだ。パンターニのアルプ・デュエズ37分の記録は、VAM 1744に相当する。2009年ツール第15ステージのコンタドールのVAMは1830,ツールのグルペットのVAMは1100-1300程度らしい。あなたも、自分のVAMを計測してみたらいかがだろうか。
VAM 1744
VAM 1830
VAM 1100-1300
2000年のツール第16ステージ、パンターニはモルジヌにむけてアームストロングを攻撃をしかけた。
どうする?追うべきか?逃がすべきか?
追走か。差をキープするために脚を使うか。ほうっておいて垂れるのを待つか。それともそのステージをあきらめるか。伝説によると、ヨハン・ブリュイネルはチームカーからフェラーリ博士に電話をいれたという。そのときフェラーリ博士は森の中を散歩していた。ブリュイネルから必要な情報を伝え聞いたフェラーリ博士は、その場で暗算をした。
「放っておけ」が回答だった。
USポスタルは追走をやめた。数分後、パンターニは力尽き、集団に戻ってきた。彼らの持っているデータによれば、パンターニのVAMではそのペースをキープできないことがわかっていたからだ。アームストロングはまさにこのために大金をフェラーリ博士に払っていた:洞察力、アドバイス、そしてトレーニングプランだ。
▼VAMとランディス
(2010年:歴史はそれがドーピングによるものであったとついに認めたが)2006 ツール第17ステージ、あの伝説の大逃げステージを例に取ってみよう。
5時間23分のステージで、ランディスは平均281 Wattを記録した。2006年の4月に、(この記事の筆者)は某地方レースに出場した。5時間24分のステージ、30キロを残して黄金のタレを起こした記憶に残るレースだった…しかし、筆者の平均は195 Wattであった。ならば、プロが出す282 Wattは、信じるに値する。例えば同じ年のツール第3ステージで逃げにのったイェンス・フォイクトは平均300 Wattを超えていたのだ。
資料をあたってみると、2006年のツール山岳ステージの平均は269 Watt、2005年の平均は274 Wattであった。
さて、くだんの第17ステージだが。ランディスは5つの峠を登った。
自らが登りでどのくらいまで追い込めるのかを知るものは強い。筆者にはそれを体感する能力はないが、SRMパワー計だったら持っている。短くてきつい1分程度の登りであれば、400 Wattで登れる。2分の登りなら350 Watt、3分の登りなら300 Watt、4分の登りなら280 Watt、5分の登りなら260 Wattである。本当にここまで正確に数字でばらけるのだ。
ランディスとパワーメーターの権威、アレン・リン博士(昨年までGARMIN)は、集団から山岳で逃げるには390 Wattが必要だと知っていた。380 Wattでは差をキープするだけ、370 Wattでは追いつかれてしまう。
幸運なことにも、その日追走集団には牽制が入り、誰が追走をコントロールするかでもめた。誰もが、ランディスのペースは持たないと思った。誰もがそう思っている間に、ランディスは逃げ続けた。氷のようにつめたい水を浴び、コア体温をコントロールしながら彼は逃げに逃げた。
下記が登り、時間、ワットである。
登り 時間 獲得標高 ワット VAM
サイシー峠 37 mins 823m @ 5% 395w 1334
アラビ峠 17 mins 877m @ 4. 6% 371w 1422
コロンビエール峠 40 mins 1115m @ 5. 8% 392w 1672
シャンティヨン峠 11 mins 255m @ 5% 374w 1390
ジュー・プラン峠 37 mins 739m @ 6. 6% 372w 1198
数字だけを見れば、全て人間にも可能な数字に見える。例外はコロンビエール。本当にこの登坂時間が正しいのか私は自信は持てない。だが、フェラーリ博士の提唱するグラン・ツールVAMの下限範囲にはおさまるVAMである。
数字だけを見る限り人間業を超えた所業ではない。可能な範囲のパフォーマンスである。
使用がささやかれているテステトロンの服用がどこまで効果があったのかを知る術はここにはない。全ては闇の中だ。
▼考察
記事の前半で、これらのVAMにまつわる数字に影響を及ぼす、他のファクターについて触れた。高度、そして筋肉の動因に必要な酸素量がそれである。海抜0メートルから1000メートルに登るほうが、1600メートルが2650メートルのガリビエ峠に登るより良いVAMスコアにつながるのだ。
また、勾配も大いに影響する。勾配がきつければきついほど、VAMスコアは良くなる。
体重64 kgで300 Watt出せる選手の、勾配によるVAMの違いは:
5% = 1180 VAM メートル/時
▼ 6% = 1215
▼ 7% = 1250
▼ 8% = 1290
▼ 9% = 1340
▼ 10% = 1400
▼ 11% = 1475
▼ 12% = 1565
▼ 13% = 1665
勾配がきつくなる分、VAMは掛け算的に数字が上がっていく。そして、ここでも選手の体重の軽さが有利に働く。1キロ減量すると、一時間につきVAMでいうと標高25 m分の高みに登れる。
▼メッセージ
これであなたはあなたとプロを比較する正確な指標を得た。この記事は決してあなたを良いクライマーにはしない。外に出て行ってそれを実現するのはあなたの脚だ。だが、TV中継を見ているときに、レースを観戦しているときに新たな視点を与えてくれるだろう。
練習を続けよう、体重を落とそう。そちらの方が10 Wattパワーをあげるより簡単だし、新品のカーボンフレームを買うより安上がりだ!
もちろんほめ言葉です。
PowerAgentにあったVAMってこれのことなのね。。。
ってことは、ジュールだと取れるのかな?
深い、実に深いです。
そして最後のメッセージ、頑張りましょう。
合言葉は「いつまでもデブだと思うなよ!!」で。
コンタドールのピーク
VAM 1830、LTで6. 7w/kgを目安にする。
ヤビツ峠:26分台(名古木から)
6.8w/kg
VAM 1520
平均412 W
あざみライン:36分台
6.8w/kg
VAM 1926
平均415 W
すげぇ!!!
ということでツール・ド・フランス ヤビツTTの優勝タイムは27-28分台くらいと予想されます。
コル様
西湖、見られていましたかwww
うかつなことはできませんね。今年は3年連続、さらにパワーアップしてマスクコーナーに出現します。皆様の度肝をぬく応援ができればと思いますwww。
こんなことを言ってしまうと、オキナワいけないじゃん・・・とかはおいといて
このブログの記事、時々ためになりますが後は悪ふざけのエントリーだらけですので、戯言がありましたら一読してゴミ箱にポイしてくださいませ。時々虚言癖がありますので。
鰤
そうです!VAAMではありません。ヤビツでVAM1000を出すには、39分台が求められます。ですからアマチュアレーサがやっきになってヤビツ40分切りをめざすのには理由があるわけですね!偶然ではなかったのですね!
ヤビツのVAM1000・・・ツールのグルペットに千切られるペース。39分台
ヤビツのVAM1100・・・マキュアン友の会入会。35分台
のぶぞう
やっぱり軽いほうが山は楽しいですよね。これはレースもツーリングも同じ??
異常者とか変態とか言う言葉は褒め言葉ですwww
わかります。
一瞬どういう意味?って思いました。文面どおり受け取っていいのでしょうか?
私は連日の記事のアップより日々の細かいお手伝いを徹底してくれた方がずーっと歓心を得られます。なーんて呟いても相手には届きませんかね。