ぽぉぽぉたんのお部屋

季節の移ろい、道ばたの草花、美味しい食べ物、映画や友人のこと、想いがいっぱいの毎日をお話します

「秘密の森の、その向こう」

2022-10-22 | 映画のお話


時空をこえた少女たちの出会い
森の向こうに同じ家があり、少女たちがお互いの家族とふれあう不思議さ
当然のように、お互いの家族とふれあうあたりから普通の作品とは違う
静かで澄んでいて、少し温かいような陽ざしがきらめいていて、
秋という季節も 青と赤の効いた彩りも寂しく物悲しいけれどただ美しい。

登場人物は
少女二人とその母親たちと、父親のたった5人
冒頭の祖母のいた病院か施設のようなところの住人たち数人

原作はPetite mamanで「小さなママ」なのだろうが
邦題の「秘密の森の、その向こう」は意味深で雰囲気がある感じだ

時間的には短い作品のはずなのに淡々と進む物語はそれを感じさせなかった
不思議な世界でそっくりな少女たちを見比べながら 後半は過ぎていってしまった

Adieu / アデュー / さようなら
それぞれの部屋の老人たちに少女がさようならと声をかける場面から始まる
みんなもアデュと返すのだがそれぞれに違うニュアンスだ
でもネリーは亡くなった祖母にはちゃんとお別れのあいさつをしていなかった
また会えると思っていたから・・・

片付けのために祖母の家に数日留まることになり、ネリーは母の作った小屋があると聞き
近くの森に出かける
だが、母マリオンは思い出があふれかえる実家に耐えかねて翌日姿を消してしまう
二人にとって祖母の死はあまりにも大きくて深いものだった

母が話していた子供のころに作った小屋を探してネリーは森にまた出かける
そこで出会った少女は年も同じ、背丈もおもざしもそっくりだった。
二人はすぐ仲良くなり一緒に小屋づくりを始める

少女の名はマリオン、
ある日、マリオンの家に遊びに行くとそこは同じ祖母の家だった
こんなに不思議なのにネリーは驚くことも恐れることもなく父にも話さない
そうして不可思議だが
お互いに祖母の家を行き来し、たじろぎもせず二人はただそれを受け入れる
果たしてそんなことがあるはずはないのだが私はただのめりこむように観入る

悲しみに耐えかねていなくなったネリーの母のマリオンは
いまネリーと同じ8歳の少女の姿でママと暮らしている。
ママは亡くなった祖母だ
彼女の作ったスープを味わい、誕生日のケーキを食べ、マリオンの手術前夜を一緒に過ごす

8歳のマリオンはネリーの家でネリーのパパとも会い言葉を交わす
二人は未来の世界で結婚しているのに
あまりにも不思議なのだが 物語は淡々とすすんでいく
そんな風に毎日が過ぎてゆくのだが
森の秋のいろどりがなんとも美しく寂しく悲しいのだ

二人だけの秘密
手術の日、ネリーは別れ際にマリオンのママにお別れを言う
愛情豊かな優しい若い祖母の姿がある

母が31歳の時に祖母はなくなったから、わずか23年前のでき事なのだ。

森の中で走り回る少女たちはしなやかで何か懐かしい感じがする
不思議だけれど誰も驚かず叫ぶこともなく日々は過ぎてゆき
帰ってきていた母にも同じ年の少女だった時があると知ったネリー

皆優しい、ただただ優しい、
こんな殺伐とした世の中だからか
なにかしら救いの世界に踏み込んだような癒しが私にも感じられた

人はこうやって喪失と癒しを繰り返していくのだろう
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