ねがいのいえ理事長 藤本真二のブログ

障害を持つ方たちに寄り添い支援する日々の中で感じたこと、そのほか伝えたい話題などを、思いのまま日記風に綴ります。

出会いに感動

2017-11-19 00:18:20 | Weblog
 新しい学びに夢中のこの頃だが。多くの人に伝えたくて愚直に続けてきた「心のケア」の研修に、今回集まったみなさんは過去最高レベルの方々。ひとつひとつの説明を納得するまで聞き返し、体で感じとってくださり。最後の実技では、話せない人の心を癒す難しいロールプレイで、全員が見事に利用者役のかたを癒したのは、史上初めての快挙だった。

 みなさんの感動があふれる一日。同じことを継続するのは大変でもあるが、多くの人に伝え続けるのは自分の生涯を貫く使命なのだと改めて思った。

 願わくば、国を動かす全国のリーダーたちに届いて欲しい・・・

優しさがしみる晩

2017-11-07 11:41:39 | Weblog
 大学生の頃、下宿の裏に毎日通う定食屋があった。夫婦だけでやっている小さな店はいつも近所の人でいっぱいだった。当時360円のにら玉定食はダシの味が絶妙にきいた最高の一品。玉子大好きの自分が生涯で一番おいしいと思う、忘れられない味だった。

 友人と家飲みするため料理を持ち帰りした時には、茶色い紙袋の底にリンゴやみかんが入っていた。情にあふれる温かいお店。今ではもう見られない昭和の風景がそこにあった。

 あれから30年。もう一度あのにら玉が食べたいと思いつつも、もう高齢のはずのご夫婦は引退されたに違いないと思っていた。何気なくネットのマップで昔住んでいたところを見ていたら、その場所にあのお店の名前を見つけた。

 電話をして確認した。
「30年前近所に住んでいた者ですが、その頃営業されていたお店ですか?」
「そうです。もう年であまり動けませんが、ふたりでゆっくりやっています」

 深い感動を覚えながら、「近いうちに寄らせていただきます」と伝えた。そして先日、今は郷里で暮らす友人が上京し、一緒に訪れた。

 ご夫婦は静かに働かれていた。10席もないほどのカウンターは近所の人でいっぱいだった。にら玉を3人前、と一番に注文。壁に貼られたメニューを全部頼もう、などと言い、「あの頃はこんな贅沢はできなかった」と語り合った。

「すみません、ひとつづつしか出来なくて」と謝られて、「小さな定食屋なのに居酒屋ののりで注文されては迷惑かも」と笑い合った。

 当時やせていたおかみさんが今は少しふっくらとされていたが、昔と変わらない笑顔で、「寒いので気をつけてください」と見送ってくださり。

 大変な出来事が怒涛のように押し寄せたこの一年。少し疲れていた心に、昔の想い出と今の喜びや悲しみが溶け合い、優しさがしみじみとしみいる晩だった。