大橋社労士の気まま日記

仕事上のエピソードや日常の出来事、日頃興味を持ったことなどを随時ご紹介していきます。

パワーハラスメント対策の基本(後篇)

2013-03-28 08:47:50 | Weblog
今日は、月に一度の「ためになる話シリーズ」です。


前々回に引き続くパワハラに関する後篇です。

◎本当にパワハラ?
前に“指導”とパワハラの線引きが難しいということを書きました。
前回紹介した事例は、(文章から見る限りは)明らかに加害者である組織の代表者や上司が悪いと思われる内容でしたが、この真逆の事例も数多く見られます。
 
「某IT関係企業にて、仕事上のミスがあまりにも多く、取引先等にも頻繁に迷惑をかけている社員がいました。また、勤務態度もよくなく、何かあると周りに暴言を吐いたり自己中心的なふるまいもしばしば見られ、遅刻も多い状態でした。
現状にたまりかねた上司が、改善するよう叱責をした所、『部長、それはパワハラですね。私はその発言によってやる気をなくしましたので、明日からしばらく休ませて頂きます。』と会社に来なくなりました。
さらに、その3日後、『今、この件で弁護士に相談しています。近く訴えを起こしますので覚悟しておいて下さい。』との文書が会社に届いたとのこと。 (以下略)」

と、このように単なる“指導”と思われるようなことが、パワハラと解釈されこじれる事例が最近特によく起こっています。
会社側の立場に立ちますと、自分の勤務態度や成績はすっかり棚に上げて、コトあるごとに「パワハラだ~!」と権利意識むき出しに騒がれたら、何の指導も改善もできなくなってしまいます。


◎“線引き”はきちんとして、常識的な対応を
お互いに日頃からコミュニケーションをきちんとするとか、入社の際の面接等できちんと見極めるとか世間一般に言われている「予防策」は色々とあります。もちろんそれらを前提としてですが、現実にこのような問題が起きてしまったら、冷静かつ公平に起こったことを分析して対応することが肝要です。
労使双方に言えることですが、ポイントは“できる限り早く”、かつ“なるべく第三者が入って”コトに当たるということです。いつまでも手をこまねいているより、早くに動いた方が勝ちですし、当事者同士がやり合うと感情的になって、かえってこじれる場合が多いです。
労働者側が相談・通報する機関等はそれなりに以前から整備されていますが、近年は上記の例のような常識を逸脱したような訴えも横行していますので、会社側からの相談や通報をする窓口として活用するのも大きな一手ですし、そうすることが問題の早期解決に大いに役立ちます。繰返しますが、どちらにせよ、早く動いた方が勝ちです。
労働者側からみれば、せっかく自分で選んで入社した自身の生活の基盤となる職場ですし、会社側からみれば、期待して入社して頂いたかけがえのない人材です。どちらの立場に立っても、“広く社会のために、誰かの役に立つために働いている”という紛れもない共通項が存在します。
今一度原点に返って、つまらない争いのない楽しく有意義な社会生活を実現したいものです。
コメント (1)
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