廃墟賛歌ブログ

廃墟をはじめ軍艦島とか炭鉱とか廃線とか、産業廃墟作品制作ユニット<オープロジェクト>オフィシャル・ブログ

『軍艦島ナイト』イベントリポート #19

2009-04-22 02:24:56 | ・軍艦島ナイト


2008年12月14日、
お台場の東京カルチャーカルチャーで開催したイベント
『軍艦島ナイト』のイベント完全リポートです。
『記憶屋 廃墟』管理人のドイテフさん、
そして『ワンダーJAPAN』編集長の関口さんをゲストに迎え、
オープロジェクト(大西、黒沢、西田)の3人と共に、
画像や映像を見ながらのトークセッション形式のイベントでした。

第19回 軍艦島や廃墟を表現するということ

西田
他には何かありますか。。。ないようなので質問は終わりにさせて頂いて、最後にドイテフさんも含めて、軍艦島で表現することって何だろう?っていうのを聞いてみたいんですが、いかがでしょうか?

ドイテフ
そうですね。。。僕は今まで歴史とかを知らない状態で廃墟を追いかけていて、最近になって歴史というか、その重さというのを知って、なんて浅はかだったんだろう、って思うんですが、表現ということでいうと、世界遺産になるならないは関係なしに、島の魅力、廃墟の魅力、それらをどう表現して行くか、というのは、僕の中ではほぼ一生かけて追いかけて行きながら、もっと違う廃墟の見せ方を探して行きたいと思いますね。なので、写真だけにとどまらず、それ以外の形でもやって行ければと思っています。

西田
挟み込みにありましたね



ドイテフ
あぁ、これは廃墟を擬人化したっていんじゃないか!ということで、軍艦島子という・・・(笑)

西田
僕はこれスゴい分かります!廃墟って、写真だけじゃない、映像だけじゃない、ってスゴい思うんですよね。廃墟の表現を写真だけにしてしまうのは、勿体ない気がするんですよね。

ドイテフ
少し前に軍艦島をテーマにした劇を見て来たんですが、劇という見せ方、あるいは廃墟をイメージした音楽とか、表現はいろいろあると思うんで、枠にとらわれたくないなー、っていうのはすごく感じています。

西田
ドイテフさんは軍艦島に限らず、廃墟ということで、表現していくと思いますが、これからもあくなき廃墟表現の道へ進んでもらいたいと。。。

関口さんにも聞きたいんですけど、今回は本という形で関わらして頂きましたが、軍艦島ならびに廃墟と、今後どう向き合っていきたいですか。

関口
ワンダーJAPANが廃墟全般を扱ってますんで、軍艦島だけじゃないんですが、これだけ注目を浴びている所なんで、すごく気になる存在で、どうなって行くのかは見続けて行きたいですね。
2007年の時に発売したワンダーJAPAN3号の時に、確か来年くらいに上陸が可能になる、という話が出たんで、これは整備されるぞ、と思って、整備される前の軍艦島を残しておきたいということで、特集を組んだんですが、その時に伝えたかったのは、ありのままの姿を見せたいな、と。変に怖いものとして紹介するんでもなく、心霊スポットでもなく、南の海で朽ちてゆくコンクリートの塊ばっかりで出来た島があるんだっていうのを少しでも多くの人に知らせたいな、と思ったんですが、この時に、当時の写真とかも入れられたらいいなぁ~、っていうのを思い出しました。次にワンダーJAPANで軍艦島の特集をするとしたら、当時の写真と今の写真を大きな写真で見せて、比較できたらいいなーっていうのと、多くの人が撮る写真を掲載して、V.A.(バリアス・アーティスト)的にいろんな視点で軍艦島を紹介できたらなーっ、て思います。
軍艦島って一筋縄ではいかないもんだ、っていうのを表現できるのかなぁ~、って思っています。

西田
それは面白そうですネー!是非僕らも参加させて頂ければと思います。軍艦島も廃墟も、それぞれがそれぞれのあり方でいい、っていうか、軍艦島はこうだ、っていうのを決めない方がいい、って思うんですよね。模型を作られる方、聞き込み調査をして、社会学的にアプローチされる方、勿論廃墟的にアプローチされる方、その多様性があった方が面白いんじゃないかなぁーって思います。

最後にオープロジェクト3人ですが、今後軍艦島やそれ以外の廃墟をどう追求して行きたいのかを一人一人お話できたらと思います。大西さんから。

大西
今回2本目になるんですが、1本目は単純に廃墟というものを映し出して纏めた、という、ある意味、僕たちが上陸して、凄いなぁー、カッコいいなー、怖いなー、みたいなところをやったんですが、2本目っていう話になった時に、それだけじゃだめだろう、と。いろいろ勉強や研究していくうちに、これはやっぱり住んでいた方達の話しを聞かないとならないだろう、昔の映像や写真をみんなに見せなきゃいけない、みたいなのがあって、そういうところに時間をかけて今回纏めたとう感じですね。それはそれで僕たち的にも、それなりに満足いくものが出来たと思うんですが、次は更にもっと心の内面に行く様なコンテンツを作って行きたいな、と思いますね。変な言い方ですが、軍艦島のコンテンツを作る時だけ、なぜかトントン拍子に行くんですよ。僕は個人的には取り憑かれている、って思ってるんですけど、こうなったら最後まで行ってやろうじゃないか、って思ってます。

西田
何の因果か、自分の出身地でもなく、たまたま行った場所にこんだけはまっちゃって、かれこれ何回長崎行ってんだろうね。。。自分の実家より行ってるんじゃないか、みたいな感じになっちゃってるんですよね。最初廃墟っていう入口で入って、いろいろ島の人の話しを聞きました、そして、その当時の感じを何か表現できないか。でも、もうこの先にあるのはわからない話。例えば明治時代にこの島を発展させて行こう、とか、30号棟を建てよう、といった人達の話はもう聞く事は出来なくて、そこはもう想像でしかないんじゃないか。じゃあそこに何があるのかな?と思うと、そこに物語り、というか、ミステリーというか、表現する先があるのかな。とことんいろんな事を調べて向き合って思うんですが、こっから先は映画だったりテレビゲームの表現を借りるだったり、別の形で表現していくことなんじゃないかな、って凄く思っています
実際今回過去の映像を集めるのは凄く大変でした。あの時代は8mmですし、殆ど撮ってる方もいない中で、それが出て来た段階で、今回発表する所へ辿り着いたわけですけど、こっから先も凄い時間がかかるな、って思いながら、もっと多くの人に軍艦島、端島ってものを知ってもらいたい、って思うんですよね。それは結局何かっていうと、軍艦島を知ること、それを廃墟として見れば、そこには自分を投影したものを見るだろうし、歴史という視点で見れば、近代の日本がどう歩んで来たか、を知る格好のサンプルだろう、って思ったんですよ。軍艦島をきっかけにして、自分の故郷であったり、自分たちの親の世代の人達が、いかにして高度成長っていう時代を作って来たのか、だったり、そういうことも含めて見て行くことなのかなぁ~、と今は思っていてですね、それに近づける作品を、いつか作れたらなー、って思っています。
では黒沢さん、最後に。

黒沢
そうですね。軍艦島の映像作品をつくり出してから、サウンドトラックが必要だなと思って、普段の仕事では音楽の制作をやっているんで、それだったら作ってみようと思ってはじめたわけなんですけど、これが仕事でやるよりどんどん浮かぶんですよ。それだけ廃墟、あるいは軍艦島はイマジネーションを促してくれる場所だな、って思いますね。実際今日も4時からかけてた曲、それから休憩の時にかけてた曲は、実は全部僕が作った曲をかけさせて頂いたんですが、実際曲だけを聞いて廃墟だな、と感じる方は少ないんじゃないかと思います。実際に映像に曲を当てる事で、廃墟がどういう風にみえるか、そこに人がいたんだな、って見える場合もあるし、ほんとに危ない場所だな、と感じる事もできるんじゃにかな。たぶん曲のバリエーションがいろいろ作れる、っていうのは、廃墟って懐の深いものなんじゃないかな、って逆に作っていて思います。話しが人の話しになると、作る曲も感情的なメロディーとかコード進行とかになって行きますし、逆に、軍艦島以外にも廃墟の作品を作っているんですが、あまり興味がなくて表面的に見ているものは、メロディがまずなくなって、コードがなくなって、音階の感じがあまりない曲になっていくなー、っていうのを感じます。軍艦島も最初にみただけだったら無機的な音を付けてるんじゃないかな。2回目に見た時に力強いリズムを付けてみよう、3回目に島の人の話を聞いたあとは、メロディを入れた方がこの島を表しているかな、と、だんだん曲が普通な曲になっていく。それを考えると、どんな廃墟でも、最初は凄い場所だな、2回目に見ると、ここは何だったんだろう、3回目に見ると、そこにいた人にあってみたい、そして自分の中に、自分の時間に、自分の歴史に取り込んで、それを自分なりになんとか伝えて行きたい。どんな廃墟でもそれは同じじゃないかな、と。
更に、もし軍艦島がただの廃墟でそこから先へ進めなかったら、今日ここで皆さんにおあ話するっていうことはたぶんないんじゃないかと思います。普段の時間に追われる仕事をだましだまし2作目も作るっていうことは、廃墟を越えた、きっとこの島を知る事が、どんな人にでも、これから生きて行く為に、少しは役にたってくれることが絶対あるんじゃないか、その想いがあるから、皆さんの前でも話しているし、作品もいくらでも作りたいという風に、やればやるほど感じますね。

西田
このへんが僕らのメッセージなんですけど、とりあえず第二部はこのあたりで落としたいと思うんですが、なにかあれば。

関口
DVD見たんですけど、凄い感動して、なにか涙がでそうになったんですけど、過去の映像と現代の映像をオーバーラップする手法ですが、あれはなんという手法ですか。

大西
普通にオーバーラップですが、過去と現在の映像のオーバーラップですね。

関口
あれを見た時に、人間のはかなさを感じたというか、それを感じた時に、DVDいいなぁ~って思って。。。

西田
きっかけはそれをやりたかった、っていうのがあったんです。資料映像を単純に見せる形でもよかったんですが、どうしても今作は物語にしたいっていうのがありました。最後に僕らのメッセージを込めたDVDのパートを見てもらって、オープロジェクトの第二部をしめようと思います。

『軍艦島オデッセイ -廿世紀未来島を歩く-』チャプター24の上映

実はナレーションをやってて頂いた石森達幸さんは、実は端島の出身者でもある方なんですね。そうした想いも含めて参加して頂きました。実は今日会場へいらっしゃってます。石森達幸さんです。



会場
拍手

西田
こうしたいろんな方々の想いがなければ、作れなかった作品だと思っています。ありがとうございましたm(_ _)m。


◇ archives ◇
第1回 イベントコンセプト
第2回 イベントスペーズ
第3回 オープニング
第4回 廃墟の魅力
第5回 軍艦島の魅力
第6回 写真を見ながら各人解説 [ドイテフ/廃墟]
第7回 写真を見ながら各人解説 [ドイテフ/軍艦島]
第8回 写真を見ながら各人解説 [黒沢/廃墟]
第9回 写真を見ながら各人解説 [黒沢/軍艦島]
第10回 写真を見ながら各人解説 [大西/廃墟]
第11回 写真を見ながら各人解説 [大西/軍艦島]
第12回 写真を見ながら各人解説 [西田/廃墟]
第13回 写真を見ながら各人解説 [西田/軍艦島]
第14回 軍艦島大解剖
第15回 アンケートに答えながら1
第16回 アンケートに答えながら2
第17回 アンケートに答えながら3
第18回 アンケートに答えながら4
第19回 軍艦島や廃墟を表現するということ
第20回 軍艦島映像作品紹介


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