2008年12月14日、
お台場の東京カルチャーカルチャーで開催したイベント
『軍艦島ナイト』のイベント完全リポートです。
『記憶屋 廃墟』管理人のドイテフさん、
そして『ワンダーJAPAN』編集長の関口さんをゲストに迎え、
オープロジェクト(大西、黒沢、西田)の3人と共に、
画像や映像を見ながらのトークセッション形式のイベントでした。
第14回 軍艦島大解剖
18:00 第二部
『軍艦島オデッセイ -廿世紀未来島を歩く-』チャプター22の上映
西田:
それでは引き続き第二部の方を進めさせて頂きます。第二部ではオープロジェクトが軍艦島になぜ突っ込んでいるのかという事を話そうと思っていましたが、アンケートを見ると僕らが話したいな~と思う部分とリンクする所が多かったので、頂いたアンケートをベースにこれから話していこうかと思います。ちなみに今上映していたのが、今回のDVD作品の後半のパートで、現在の端島と閉山の頃の写真をオーバーラップさせて見て行くシーンを作りましたが、ちょうどこういう質問がきてるんですね。「今回はなぜ廃墟としてではなく、操業時の軍艦島をDVDのテーマとされたのでしょうか?」という質問がきているんですが、その辺の話しをオープロジェクトとしても一度は話しておきたいな、というところもあるんで、黒沢さんのほうから。
黒沢:
前作は今から4年前に、今回と同じ日活さんから最初にださせて頂いて、その時のテーマは、現在の姿だけ写して、この島がどういう島だったかという説明を加えていったら面白いんじゃないか、というものでしたが、実際にリリースした後、現在の姿が凄いのは解ったんで、実際に動いていた時はどうだったのかを見たい聞きたい知りたい、という意見が凄く帰ってきたました。実際僕たちもあくまでも廃墟の延長線上なんですが、この廃墟はどんな成り立ちをしていたのか、この廃墟にはどんな人がどんな想いで生きていたのか?という興味に移っていったんで、そういういうことならば、生きていた時代の軍艦島を形にしたいな、と思ったのが最大の理由ですね。
西田:
今回の作品は廃墟ではなく過去の映像を纏めた作品だと思われる方もいるでしょうが、これも僕らの中では廃墟ですね。
黒沢:
そうですね。今作もタイトルに「Ruins Anthem」とつけてますんで、今作も前作も自分たちが廃墟を表現出来る一つの形と思ってはいるんですけどね。ドイテフさんは、廃墟に対して過去のことを発掘してそれを見せる行為なんかは、いいか悪いか、そのへんはどうでしょうか?
ドイテフ:
歴史をみないで廃墟だけを見てる状態ではあるんですけど、逆に行った場所で当時どういう生活をしていたのか?っていうのを探しますね。まわれるものなら全部の部屋をまわって、人がいたという証になるものを探して、こういう生活をしていたんだな、っていう想像を働かせたりしていますね。
黒沢:
じゃあ廃墟を見て、表面的な見た目だけじゃなく、過去の時間とか、そういうものにも想像を張り巡らせる、というか・・・
ドイテフ:
そうですね。
黒沢:
なるほど。関口さんは書籍でも廃墟の歴史的な部分とか沢山扱われていると思いますが、廃墟という言葉の中で過去を見ているのか、それとも廃墟という感覚とは別な感覚で見ているのか、そのへんの分け方とかはどうでしょうか?
関口:
難しいですね。ただすたれるものというのは妄想をすごくかきたてられるじゃないでしょうか。そのうちの一つとして廃墟というのをやっているんですけど・・・質問と答えが合ってないかも知れないですが・・・
黒沢:
ワンダーJAPANさんでは、昔の歴史などつっこんだ内容を書かれているんで、でも現在の綺麗な廃墟写真も掲載されていて、その辺が、境界線があってやられているのか、それとも自然ななりゆきでそうなっているのか、といった感じなんですが。
関口:
廃墟でも、産業遺産とかは調べやすいジャンルじゃないですか。でも街の病院だったりすると、情報がなかったりしますよね。そういう廃墟は色や形だったりの見た目の楽しさがあると思うんですが、軍艦島なんかは歴史を調べるとどんどんいろいろなものが出て来て、調べがいもあって、すごく奥深い感じがしますね。
西田:
キーワードとして今盛んに廃墟を産業遺産にということが、軍艦島に限らずいわれていると思うんですが、廃墟として魅力を持っているのに、産業遺産ということになると、ちょっと萎えるというか、微妙なそういう部分って、ドイテフさんなんかはどうですか?
ドイテフ:
僕は今まで廃墟という視点で見て来ていて、産業遺産という言葉を聞いたのは去年なんです。廃墟は産業遺産で、それがあるから今の経済もあると思うんですが、人の手が加えられたりすると、見方が変わってくるのかな~と思いますね。
関口:
土木遺産とか、最近多いですよね。廃墟だったのがラベルを貼られちゃうと、管理されてるのかな、って思っちゃって、気になる所がありますよね。
西田:
実際90年代の頃は全然見向きもされなかったところばかりですよね。それが急に廃墟は産業遺産だ!みたいな流れって、ある種気持ち悪いというか・・・
黒沢:
思うんですけど、廃墟と産業遺産って「or」じゃないと思うんですよね。産業遺産の中に形として廃墟になっているものがあるかないか、というだけだと思うんですよね。産業遺産の中には現役のものもあるし、軍艦島のように廃墟になっちゃっているものもある。廃墟の中にも産業遺産と呼べるものもあれば、そうでないものもある、ということで、産業遺産と廃墟っていうのは全然違うベクトルのものだと思うんです。
◇ archives ◇
第1回 イベントコンセプト
第2回 イベントスペーズ
第3回 オープニング
第4回 廃墟の魅力
第5回 軍艦島の魅力
第6回 写真を見ながら各人解説 [ドイテフ/廃墟]
第7回 写真を見ながら各人解説 [ドイテフ/軍艦島]
第8回 写真を見ながら各人解説 [黒沢/廃墟]
第9回 写真を見ながら各人解説 [黒沢/軍艦島]
第10回 写真を見ながら各人解説 [大西/廃墟]
第11回 写真を見ながら各人解説 [大西/軍艦島]
第12回 写真を見ながら各人解説 [西田/廃墟]
第13回 写真を見ながら各人解説 [西田/軍艦島]
第14回 軍艦島大解剖
第15回 アンケートに答えながら1
第16回 アンケートに答えながら2
第17回 アンケートに答えながら3
第18回 アンケートに答えながら4
第19回 軍艦島や廃墟を表現するということ
第20回 軍艦島映像作品紹介