仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

任侠ヘルパー

2013年12月06日 | ムービー
『任侠ヘルパー』(2012年/西谷弘監督)を見た。
物語は、「コンビニでアルバイトをしている翼彦一(草剛)はヤクザの世界から足を洗った男。ある夜、店に入ったコンビニ強盗・蔦井雄三(堺正章)を哀れみ逃がしたことで、犯人と仲間ではないかと疑った警察官に腹を立てて暴行。逮捕されてしまった。刑務所で再会した蔦井に極鵬会の組長・朝比奈道俊(宇崎竜童)を教えられ、おしかけ舎弟・山際成次(風間俊介)と共に訪ねていく。まんまと客人として迎えられることに成功した彦一は、再び極道の世界に足を踏み入れ、闇金融や老人の公的年金・生活保護を奪い取る詐欺を始めるのだが・・・」という内容。
これは、2009(平成21)年にテレビで放送された連続ドラマ(全11話)と2011(平成23)年に放送された続編のスペシャルドラマのさらなる続きとして作られた物語のようなのだが、以前の話をマッタク知らなかった仁左衛門でも充分に楽しめる、しっかりと独立した物語になっていたようだ。
母親の介護に悩んでいる元恋人・蔦井葉子(安田成美)のため、業者に口利きをする市会議員の八代照生(香川照之)。
「大丈夫。蓄えはある」と言いながらも、係わりを持ちたくないと思っていた闇金融・彦一から融資を受けざるを得ない、その蔦井葉子。
随分と切ない人間模様だ。
また、老人介護施設とは名ばかりの建物に押し込まれた老人達の姿は哀れだった。
そこに"生活"と呼べるものはなく、極鵬会若頭・日吉雄喜(杉本哲太)は、老人達を「倉庫の在庫」と言い切る。
シノギに励んでいた彦一が変わったのは、塀の隙間から施設を抜け出そうとしていた一人の老人の背中に触れた時だろう。
ほんの少しだが身体が触れ合ったことで言葉を聞き入れてくれた。
この小さな体験がきっかけになって、物語がまた動き始めた。
「本物」という言葉に弱い彦一だったが、その単純さが良い方向に向かってさえ行けば無敵だ。
(^。^)
これはなかなかに面白い物語だった。

おくりびと

2009年12月28日 | ムービー
『おくりびと』(2008年/滝田洋二郎監督)を見た。
物語は、「チェロ奏者・小林大悟(本木雅弘)は、借金をして新しいチェロを手に入れたばかりだったが、所属していたオーケストラが突然解散してしまう。演奏家として生きる夢を諦め、妻の美香(広末涼子)と2人、出身地・山形へ戻ることにしたものの仕事のあてはまったく無いのだった。ある日、"旅のお手伝い"と書かれた求人広告に応募した所、社長・佐々木(山崎努)の面接で即刻採用が決定する。それは気が進まない納棺の仕事だったが、妻には"冠婚葬祭関係"とあやふやに伝え、内緒のままに働き始めるのだが・・・」という内容。
"第81回アカデミー賞外国語映画賞"等、様々な賞を受賞しているように海外での評価が高いようだ。
チェロ奏者として生きていくのか、新しい職業を探すのか。
決心というものは、ああだこうだと色々悩んでみても中々つかないものだが、"やめよう"とか"こうしよう"と決断する瞬間は、きっと突然にやってくる。
ある時、何かが吹っ切れるのだ。
序盤からそのような展開で始まるのでナカナカ面白い。
また、上村百合子(余貴美子)や富樫(山田辰夫)など、どこか暗い過去を持っている登場人物が多いような気がしたが、それはこの作品で取り上げられている業界で働く人たちや、関わった人たちがそこを目指してきている人たちではないからなのだろう。
大悟は親友の山下(杉本哲太)から非難され、納棺の際には遺族から蔑まれたような言い方をされる。
そして、2度目の決断の時を迎えるというわけだ。
"諦める"のではなく、いくつかの選択肢から"決断する"、そういった大悟の葛藤が、この作品が世界的に受け入れられた理由なのだろう。
上映時間は130分とやや長めなのだが、飽きることなく見られた面白い作品だった。