仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

摩天楼を夢みて

2016年09月29日 | ムービー
『摩天楼を夢みて(原題Glengarry Glen Ross)』(1992年/ジェームズ・フォーリー監督/アメリカ)を見た。
物語は、「ニューヨークに本社がある不動産会社ミッチ&マレーのシカゴ支社。成績優秀社員には優良願客情報が優先的に回され、成績不振の社員には、残り物の情報しか与えられなかった。トップセールスマンはリッキー・ローマ(アル・パチーノ)で、かつては成績優秀だった老セールスマンのシェリー・レーヴィン(ジャック・レモン)は今日も契約が取れない。ある雨の日のミーティングに、本社役員のブレイク(アレック・ボールドウィン)がやって来て、"今月トップの成績をあげた者の賞品はキャデラック、2位にはナイフセット、それ以外の者はクビにする。あと1週間だ"と突然の勧告をしたのだった。さらに、新しい優良顧客リストもトップのものだと聞いて、デイヴ・モス(エド・ハリス)とジョージ・アーロナウ(アラン・アーキン)、レーヴィンの3人は反発したが、会社の方針は変わらない。3人はセールスのために土砂降りの雨の街を歩き回るしかなかった。しかし、入院中の娘にかかる費用を捻出しなければならないレーヴィンはクビになることはできない。なんとか"優良ネタ"を手に入れるためにウィリアムソンを抱き込もうとしたのだが・・・」という内容。
いつの時代の物語なのか明確な表示はなかったのだが、ローマが随分と大きな携帯電話機を持っていたので、1980年代後半~1990年代前半頃の設定なのだろうと思った。
支社長のジョン・ウィリアムソン(ケヴィン・スペイシー)からもらえる情報は1日に2件と決まっているらしく、レーヴィン達は決して優良とは言えないその顧客情報を元にセールスをするしかなかったわけだが、さすがにトップセールスマンのローマともなると、会社の向かいにあるバーで酒を飲みながら、偶然居合わせた客ジェームズ・リンク(ジョナサン・プライス)にセールスを始める。
必ずミーティングに出席しろよと支社長から念を押されるモスらとはやはり気構えが違うようだ。
(^_^)
支社の事務室はとても殺伐とした薄暗い雰囲気で、外勤から戻ったばかりのレーヴィンはコーヒー1杯すら飲ませてもらえない。
「契約を取ってから飲め!!」とのキツイ一言だったが、営業職というのはやはりそういう厳しい世界なのだろう。
ただ、支社長のウィリアムソンはズボンのポケットに片手を突っ込んだままマグカップでコーヒーを飲んでいて、ほかの場面を見ていても、部下の信頼を得られているとは思えない上司だった。
そのような人間であったとしても、彼に頼み込まなければならない状況のレーヴィンはつらい。
ウィリアムソンを抱き込むために、レーヴィンの口からは次から次へとセールストークのような言葉が出てくるのだが、その意欲を本来の商売に使えよとも思うのだった。
(^。^)
なかなか厳しいビジネス社会の片隅で起きた、とある事件の顛末を描いた物語だったが、これはナカナカ面白い作品だった。

アメリカ上陸作戦

2012年09月10日 | ムービー
『アメリカ上陸作戦(原題The Russians Are Coming, The Russians Are Coming)』(1966年/ノーマン・ジュイソン監督/アメリカ)を見た。
物語は、「東西冷戦時代。アメリカの小さな島・グロスター島に近付き過ぎたソ連の潜水艦が座礁してしまった。艦を沖まで曳航するボートを調達するため、ラザノフ(アラン・アーキン)をはじめとする乗員9人が島に上陸したのだが・・・」という内容。
乗員達が初めて接触したアメリカ人は、夏の間だけこの島に滞在している小説家ウォルト・ウィテカー(カール・ライナー)と妻エルスパス(エヴァ・マリー・セイント)、そして彼らの小さな男の子だったが、怪しくは思ったもののその場をやり過ごして事なきを得ようと考えたウォルトを息子が焚きつけて、結果、ラザノフが拳銃を取り出すに至るまで彼を追い込んでしまう。
物事を直線的にしか捉えることが出来ない子供の知恵というのは何とも浅はかだ。
まぁ、いい所を見せようとそれに乗ってしまう父親が事を大きくしてしまったという展開でもあったのだが・・・。
今のように携帯電話でどこにいても簡単に連絡がつくような時代の話ではないし、ダイヤル直通どころか交換手を介しての連絡になるので、どんどんと情報がゆがんで伝わっていく所も面白い。
これが悲劇的な結末になるのか、喜劇として笑いのうちに終わるのかの分水嶺は、人種云々でもイデオロギー云々でもなかった。
人間の本能的な部分が解決への道筋を見つけ出してくれたので、"ブラックコメディー"の枠で収まったのだろう。
余りにも突き詰め過ぎると、洒落では済まない悲劇へと発展したに違いない。

リトル・ミス・サンシャイン

2010年11月12日 | ムービー
『リトル・ミス・サンシャイン(原題Little Miss Sunshine)』(2006年/ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ヴァリス監督/アメリカ)を見た。
物語は、「シェリル・フーヴァー(トニ・コレット)は、家族と共にニューメキシコ州に住んでいる。小太りながらもビューティー・クィーンを夢見る娘オリーヴ(アビゲイル・ブレスリン)が、カリフォルニア州で行われる"リトル・ミス・サンシャイン・コンテスト"に出場できることになり、一家は廃車寸前のマイクロバスで出掛けることになった。著作を出版するために収入の殆どを回している父リチャード(グレッグ・キニア)、沈黙の誓いを立てて一言も言葉を発しない長男ドウェーン(ポール・ダノ)、老人ホームを追い出されたヘロイン中毒の祖父エドウィン(アラン・アーキン)。そして、シェリルの兄フランク(スティーヴ・カレル)は、教え子でもある恋人に失恋し自殺未遂を起こしたばかりのゲイ。家計も人格も破滅寸前である彼等の800マイル(1,287km)を移動する旅が始まり・・・」という内容。
独自の成功論をまくしたてるリチャードが著作の出版を目指して依頼しているエージェントは胡散臭い。
どうもカモにされているようなのだが、気付くのが遅かったようだ。
(^_^;)
前向きな言葉ばかりを使うことを強要するものの実は本人が負け組な、そんな父の話をまったく聞こうとしないドウェーンは、「18歳になるまでずっと眠っていたい」という。
それをたしなめるのが、伯父であるフランクだ。
「プルーストはフランスの小説家で、負け組だった。しかし、苦悩の日々こそが自分を成長させた最良の幸せな日々だったと晩年に言っている。18歳まで眠れるとしたら何も学ばない」
さすが、プルースト研究の第一人者を自負するだけあって良いことを言う。
「やってやってやりまくれ」というエドウィンとは大きな違いだ。
(^_^)
面白かったのか・・・、面白くなかったのか・・・。
黄色いおんぼろバスがあっという間に駆け抜けていった、妙に心に引っかかる作品だ。

ロケッティア

2008年05月04日 | ムービー
『ロケッティア(原題Rocketeer)』(1991年/ジョー・ジョンストン監督/アメリカ)を見た。
物語は、「まったくの偶然からロケット飛行エンジンを手に入れたクリフ(ビル・キャンベル)は、仲間を助けるためにそれを背負い、超高速で一人空を自由に飛び回った。その出来事が新聞で"ロケッティアが人命救助"と大々的に報道されてしまい、クリフはマフィアとFBIから追われることになる。仲間の天才技師ピーヴィー(アラン・アーキン)の家も襲撃されたことから、本来の持ち主に返そうと相談していた折、クリフの恋人ジェニー(ジェニファー・コネリー)がマフィアに連れ去られてしまう」という内容。
ジェニファー・コネリーはとても綺麗な女優さんだが、『フェノミナ』(1985年/ダリオ・アルジェント監督/イタリア)で主演していた女のコだったとは気が付かなかった。
原作がアメリカンコミックとあって、どこか『フラッシュゴードン』(1980年/マイク・ホッジス監督/アメリカ)と似たような雰囲気が感じられるが、主人公が素直な人柄で全く打算が無く、また、危険な場面でも妙におおらかで悲壮感が無い所が共通しているからだろうか。
それは、『レイダース/失われたアーク』(1981年/スティーヴン・スピルバーグ監督/アメリカ)も同様で、これぞ"冒険大活劇"という感じがする。
舞台は、第2次世界大戦の開戦が間近い1938年、アメリカのハリウッド。
人気俳優ネヴィル役のティモシー・ダルトンなどは、豪華絢爛さの中にいかにも怪しい雰囲気を作り出し、女優の卵ジェニーにも洒落た台詞があったりして、なかなか良かった。
ただ、アメリカンコミックのヒーローという割には服装がとても地味。
(^_^;)
スーパーマンやスパイダーマンとまではいかなくても、もう少し何とか・・・と思ったりもしたのだが、やはり原作もそうなのだろうか。