2018年4月29日4月4日、僕はアメリカにいた。特に目につくものを軽い気持ちでメモしたり写真に収めたりしながらの旅を楽しんでいた。偶然この日はかの有名なマーチン・ルーサー・キング・ジュニア―牧師の暗殺された日である。アメリカの人種差別の解消に挑戦して立ち上がったキング牧師が残した最後の言葉がいつまでも心に残っている。
I have seen the Promised Land. I may not be able to get there with you.
But I want you to know that we, as a people, will get there to the Promised Land.
(私は約束の地を見た。皆さんと共にそこに行けないかも知れない。でも、知ってほしい、人間として皆で約束の地に行くことを)
人種の壁を越えて、皆が手を取り合って暮らすことができる“約束の地”を夢見て挑戦したキング牧師の言葉である。
このスピーチの翌日、39歳で彼は銃弾に倒れ人生を終えることとなった。アメリカでの人種差別の解消を心から望んだ偉大な人物の死はあまりにもあっけなく、世界中の人々の落胆の中で彼の死を認めなければならないという結末であった。途中で終わってしまったとはいえ彼は夢の実践者である。人種差別のない約束の地へ行きつくには時間がかかるだろう、ということを言いたかったのだろうが、“私は一緒にいけないかも知れない”という言葉はまるで彼の翌日を予言するかのように聞こえる。
僕の好きな言葉。“Be a dreamer and a doer. (夢を持つ人になれ、そして実践者になれ)”
人、それぞれ、みんな夢を持っている。「すごい人がいるんだなぁ」と感心している暇があったら、ちょっとの間、自分のことも考えてみてほしい。僕は教育に一生かかわってきた。素晴らしい人の業績を単に他人事のように見ているだけでなく、自分の得意分野に目を向けて、それを伸ばす努力をしてほしいとずっと若者に望んできた。教師の仕事の本質はそれしかないと信じている。教科書だけを教えることではなく、知ることの楽しさを教え、「自分もやってみよう」とその気にさせることが教育だと思っている。