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「クチュクチュバーン」吉村萬壱

2016年02月14日 09時09分09秒 | 読書とか

「クチュクチュバーン」吉村萬壱 2002文藝春秋
第92回文學界新人賞受賞作『文學会』2001年6月
(「人間離れ」2001年11月号)

「クチュクチュバーン」も「人間離れ」も肉で遊んでいる作品だ。まあ、その後の作品もたぶんそうなのだろう。「臣女」のもとになりそうな巨女もでてくる。
なんだろう、文学に対する痴漢行為だろうか。作者が肉体の衰え(40歳)から逃れようと足掻き、それが作品として結晶したのか。

原発事故の予言かと思えたが、作品中で「事態の原因が放射能ではない」としていた。まあ、それどころではないけどね。
もうね、シマウマ男の子供たちの生まれるあたり、「火の鳥」の世界観で見ましたよ。「俺の仕事は見ることだ、ピー」

「人間離れ」の方は「クチュクチュバーン」よりも社会批判に近い感じがする。デマに踊らされる人々。人間をぶっ壊すことで人間を暴き組み立てる。すげー!
もうね、こっちでもどんどん人が死んでいくんだけど、がれきの下で男の指(から落ちるしずく)を舐めるシーンがすてき(?)そのうちにその指をかじってしまうのも!
で、主人公(?)美紀子が助かるのをわずかに期待し続ける読者をちゃんと裏切る結末。

 

この本も宝物として手元に置きたい一冊ですね。2016年02月現在、amazonでは中古しかないけど。
文庫を買ってしまったよ、中古で。(送料込みで定価よりも高かった)

 

※ この作品のようなものこそ、海外展開すべきだろう。誰か翻訳して出そうよ。

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