あえて制裁という言葉を使ったのは、議決もしていない強制力の無いお願いで、罰則も無いことを確認していたにも関わらず、あとから、多数決で決めたからです。
しかも、広報への掲載までしています。
過去にしたことはありませんし、今回、飲酒運転の議員辞職よりも、全会派一致の意見書よりも大きく目立つところに掲載されていました。
扱い方として、非常に違和感を感じます。
議決せず、非公式に数人で決めたことを守らないと、あとから制裁するということが許されれば、気に入らないことや人に対し、なんでもできるのではないかと、大きな危機感を持っています。
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奈須りえへの多数決でのワクチン証明等未提出への制裁について
今年夏、私費で都外に視察した際、*幹事長会の申し合わせを理由に、コロナワクチン接種証明・PCR検査結果の提出を求められました。
議長に強制か、出さない場合どうなるか、確認したところ、お願いだと言われ、当時感染は落ち着いていて自由に移動できましたし、視察先からも提出を求められませんでしたので提出しませんでした。それを理由に問責決議、目立つよう広報されたことに、大変に戸惑っています。なぜ、確認した時、出さなければ問責相当と説明していただけなかったのでしょう。
非公式の申し合わせに従わなければ制裁となれば、議会や法令は無力化し、区民生活に及ぼす影響も心配です。
*幹事長会:交渉会派の幹事長で構成されている非公式の会。傍聴不可。議事録も無い
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以下、議会で行いました、討論です。
私、フェアな民主主義、奈須利江の問責決議案につきまして、地方自治法第117条に基づき、発言の場をいただきましたので、一言申し述べさせていただきます。
私は、令和4年7月27日水曜日午後3時から4時、夕張市が行いました財政再生計画の取組等に参加いたしました。
視察は、政務活動費を使わない、私費の個人視察です。
上程された問責決議案は、この私が行いました夕張市での視察に際し、*幹事長会の申し合わせ事項である、他都市への視察等について、新型コロナウイルスワクチンを2回以上接種していることを証明する書類、または、新型
コロナウイルスPCR検査における陰性を証明する書類を提出しなかったことを問題だとしています。(*幹事長会:交渉会派の幹事長で構成されている非公式の会。傍聴不可。議事録も無い)
しかし、受入先である夕張市は、ワクチン証明書類の提出も、PCR検査の陰性証明も視察希望者に対して求めていません。
視察は夕張市に問題なく受け入れていただきました。
問責決議案には、
「申し合わせの存在を知りながら、議会が求める書類の提出を拒否し、議長の説得にも応じることなく、視察を強行した、視察強行は議会内の秩序を著しく乱すとともに、大田区議会に対する区民や受入先自治体等の信用を失墜させるおそれのある許されない行為」
と書かれていますが、
視察前にこの幹事長会の申し合わせ事項が強制力を持たないお願いであることを議長に確認させていただいています。
出さずに行ったらどうなるか伺いましたが、お答えいただけませんでした。
これまで大田区議会では、議員の視察について、議員や会派が行き先を決め、自由に行ってきました。
この議員の視察等について、行き先を事前に議長に届ける、ワクチンの接種証明の提出、PCR検査の陰性結果を視察の要件とするなどが始まっています。
いずれもコロナの感染拡大防止が名目になっていて、昨年から今年にかけ
てつくられた新しい申し合わせ事項などです。
健康を守ることは大切ですが、感染拡大防止だからといって、どんなルールをつくってもいいわけではありません。
ましてや私たち大田区議会議員は、憲法第99条にうたわれているとおり、特別公務員として、この憲法を尊重し、擁護する義務を負っています。
今回の状況について、弁護士などに相談したところ、憲法の条文からいくつかの点を指摘していただいています。
幹事長会の資料を見ますと、昨年11月の全国市議会議長会が出した、他都市への行政視察の取扱いについてに、幹事長会が作った都外出張事前連絡票が添付されています。
全国市議会議長会が出した文書を根拠に、議員が都外で視察や研修を行う場合、都外出張事前連絡票の議長への提出が義務化されたように見えますが、添付されているだけで、
市議会議長会が視察の届出を義務化しているわけではありません。
議員の都外視察を議長に伝えることを義務化すれば、議員の政治活動の自由を損なうことになります。
そもそも新型コロナウイルスワクチン接種は義務ではありませんし、PCR検査を受けるかどうかも個人の自由です。
ワクチンの効果に疑問を呈する声もありますし、PCR検査の問題点も指摘されています。ワクチン接種で差別があってはなりません。
ワクチンの接種証明の提出や、PCR検査の陰性結果を視察の要件とする
強制力のない申し合わせ事項を決め、要件を満たさない者を問責決議すれば、非公式の幹事長会の決定に強制力を持たせることが限りなく可能になり、非公式の秘密会に、ある種、立法権を与えるに等しい状況をつくってしまいます。
しかも、憲法の求める基本的人権に抵触するおそれのある申し合わせも許されれば、さらに問題です。
憲法第21条1項は、議員の政治活動の自由を保障しています。
13条の幸福追求権によって、自由権、人格的自律権、自己決定権が保障され、個人は一定の指摘事柄について、公権力から干渉されることなく、自ら決定することができる権利を有すると解されていますし、参政権的権利が保障されています。
22条は、一時的な旅行も含まれる居住移転の自由を保障しています。
憲法の保障する基本的人権を守ることのできない申し合わせ事項を非公式の幹事長会でつくり、守らないからと問責決議を課すなら、憲法や法律は無力化し、基本的人権の遵守は難しくなるでしょう。
私の夕張視察は、憲法に保障された基本的人権行使の範囲内で行ったものであり、問責決議に当たらないことを意見として申し述べさせていただきます。
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