電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

宮城谷昌光『湖底の城(1)~呉越春秋』を読む

2013年12月12日 06時05分10秒 | -宮城谷昌光
宮城谷昌光著『湖底の城~呉越春秋』第一巻を読みました。先に同氏の『草原の風』を読んだ際に、主人公が伍子胥(ごししょ)は好きだが終わりがわるい、やはり范蠡(はんれい)がよい、というような評価をしておりました。これをきっかけに、伍子胥や范蠡という人物を知り、興味を持ちました。たまたま図書館で見かけたのが、この伍子胥や范蠡を主人公とする物語とは、偶然とはいえ、なにかご縁があったのでしょう(^o^)/

楚の高官である伍氏の次男である伍子胥は、身長が2mを越す大男で、気性も明るいが、激しいものがあります。加冠の答礼のために、父とともに諸家をまわった時に、伊礼家で美しい娘を見初め、求婚します。はじめはこころよく応対してくれていたのに、急に断られてしまいます。理由も不明で、伍子胥は割りきれない思いを抱いて棠邑の兄・伍尚のもとに行くことになります。旅の途中に、伍子胥は楚の国の乱れと船戦の難しさを感じますが、楚王の太子の傅佐である費無極の横暴をとがめ、対立してしまいます。舟を使えず、徒歩で棠に向かうこととなりますが、道案内をした才松は、楚王に恨みを持っているようです。
棠邑の領主である兄の伍尚は、商人に橘50本の移植を発注すると同時に、弟の提案を受け入れて、武術大会を開催することとします。
ここで、従来からの家臣である御佐や右祐らに加え、弓の名人の陽可や矛戟の達人の徐兄弟、あるいは抜群の視力を持つ朱毛などを配下に加えます。また、斉の孫武を助け、知己となります。河のほとりに住む永翁から、桃永と屯の母子を預けられますが、どうやら何かいわくがありそうです。
そんな時に、費無極の嫌がらせで、伍尚は佞臣の訪問を受けます。先の武術大会で、無頼の者を召し抱えたのは謀反の兆しだというのです。要するに賄賂の要求なのですが、無実の証明は難しい。陽可のヒントで、都の子常という権力者を動かし、なんとか困難を切り抜けます。
しかし、呉王の服喪が明ければ戦となることは明白です。さて、どうなるか?

当面は、まだ伍子胥の物語で、范蠡は影も形も出てきません。『孟嘗君』でも、最初は風供の物語であったのと似ています。伍子胥から描き始めることで、物語の広がりが出てくるという作者の意図なのでしょう。現在はまだ雑誌連載中だそうで、大長編になりそうな予感がします。


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