鎌倉時代を代表する歌人・藤原定家の流れをくむ冷泉(れいぜい)家(京都市)の当主の間で、約800年にわたって継承されていた古今和歌集の注釈書「顕注密勘(けんちゅうみっかん)」の原本は、古今和歌集研究の中核をなす貴重な史料だ。筆跡からは、歌学の第一人者である定家の推敲(すいこう)の跡、歌への思いもたどれる。
冷泉家は、定家の孫にあたる為相(ためすけ)(鎌倉後期)を初代とする歌道宗家で、代々朝廷に仕え、将軍家の歌道の指導にもあたってきた。定家は、新古今和歌集の選者として知られる。
今回見つかった定家直筆の顕注密勘は、冷泉家の当主が受け継いできた「古今伝授箱」と呼ばれる木箱に収められていた。平安末期~鎌倉初期の僧・顕昭(けんしょう)の注釈に付け加える形で構成され、顕昭と考えが同じ場合は「一同」などと簡易な記述だが、異なる場合は余白に書き切れず、色紙を貼って書き足した部分もあった。
歌人としての定家の思いも書かれていた。古今和歌集の選者の一人である壬生忠岑(みぶのただみね)が詠んだ「有明のつれなく見えし別れより暁ばかり憂きものはなし」を高く評価し、「歌人として生まれたからには一生に一度はこんな歌を詠んでみたい」との内容の記述があった。
顕注密勘が入っていた古今伝授箱は、数万点の史料が収められている冷泉家の蔵で保管され、代々の当主が一生に一度だけ開いてきた。中の書物を書き写して歌学の修練に励み、成果を後世に伝えてきたという。
経緯は定かでないが、明治期の130年前を最後に開かれず、「畏れ多いもの」として守られてきた。冷泉家で1980年から進められてきた調査の一環で2022年に開封され、顕注密勘のほかに、冊子59冊と古文書58点も見つかった。
小林一彦・京都産業大教授(和歌文学)は「冷泉家は『文書の正倉院』であると改めて認識した」と評価する。
(https://news.yahoo.co.jp/articles/77a21c46e3ebfe42db1e4b9b3ed2de6ea5ed35d9)
国宝級の貴重な文書がまだまだ見つかるんやね。
ほんますごい。
次は、、、って期待するね。
5704号