Ｔ5・マルチバンV6（正規物）プロローグ

注：2012年10月23日に追記。

＜幻の日本仕様＞
フォルクスワーゲン・ジャパンでは、各種事情で輸入中止になってしまった
T5シリーズ。ドイツ情報によれば、当時専任の担当者が日本へ長期出張していた
らしいという未確認情報が入ったり、型式まで取っていた事実を考えると、
本気で輸入を考えて居た可能性が高いです。
確かに2003年の東京モーターショーではオーストラリア仕様をベースにした
日本仕様のプリプロダクションモデルが展示されていたり、プレス関係者にも
9枚の画像が渡っていたらしい所を見ると、販売出来なかったのは残念でなりません。

＜輸入中止の謎＞
日本には、以前からドイツ人関係者が使っていたとされる、ダークブルーグリーンメタリック
のT5の存在がありました。これは偶然僕も遭遇した事があります。目撃情報によれば
名古屋と豊橋間を通勤に利用されていたようです（この車は日本国内で存在している模様）。
これで分かる通り、正規輸入を予想させる車両の存在は当時からあったのです。
これからは、あくまで僕の想像ですが、輸入中止になったのは、
下記の理由があったと考えられます。

１．車両価格が高額になり、メルセデスベンツのミニバン「ヴィアノ」に
　　お客を奪われてしまう可能性があったからではないかという推測。
　　確かに600万円以上するミニバンを選ぶなら、それなりのステータスがある
　　エンブレムを欲しがるのは日本人として当たり前の事でしょう。

２．1990年代半ば、T4ヴァナゴンの販売が、最後にはあまり芳しくなく、
　　結構な台数が売れ残ったという、当時の販売関係者の話があります。
　　ここから考えるに、2年間で500～1000台売れないと採算が取れなかったのかも
　　しれません。

３．車重が重いので、古い施設のフォルクスワーゲン正規ディーラーでは
　　車が専用ジャッキで上げられない事態が生じる可能性も考えられた。
　　（現在調べた限り、そうゆう古い施設はありません）

しかし未だ決定的な理由は不明です。

＜残存する日本仕様＞
正規輸入はお蔵入りしたものの、正規並行輸入車両は存在して、僕が個人的に
調べただけで約13台。それも、2002年頃より数年に分けて輸入されているようです。
ですので、同じ仕様、モデルでも、年式が異なるモデルが存在しています。
これらの車は、VGJが社内業務用や一部ドイツ人社員用に
特別輸入され、所有や管理をしており、モーターショーやイベント、
空港などでも目にする事がありました。

退役した車両は、VGJの指示で放出され、特別なお客様や、
ドイツ大使館などの公的な場所で、第二の人生を歩んでいます。
残念ながらT4ヴァナゴンVR6のように、認定中古車にはならなかったので、
正規輸入証明書などが付いておらず、中古車オークションなどに流れると、
並行輸入と基本的に見分けが付かない事も多々あります。
（車体番号で分かる場合もあり）
また、輸入証明が付いていませんので、その車がVGJにて輸入された形跡があろうとも
あくまで並行輸入扱いになり、正規ディーラーでの優遇的扱いは一切ありません。
もしこういった車両を手にした方は、修理やパーツ入手は全て
自己責任になりますのでご注意下さい。


＜正規並行輸入履歴＞　中澤個人調べ。

①2002年仕様
T5 マルチバンV6　ダークグリーンM　　　　（豊橋××-××) 退役→札個　
T5 マルチバンV6　　　　　　　　 　　　　（豊橋××-××) 退役→札個　　
※社用車兼テスト輸入車両？。
2台共に正規ディーラーにより北海道エリアに放出された模様。


（2006年5月に札幌で撮影）

②2004年仕様
T5　カラヴェルV6　ブラックMP　　　　　　（豊橋××-75) 退役→放出済（現：横個）　　
T5　カラヴェルV6　ブラックMP 7HZ6H00XX72（豊橋××-76) 退役→放出済 (現：独29XX）
T5　マルチバンV6　ブラックMP　　　　　　（豊橋××-77) 退役→放出済（現：横個）
T5　カラヴェルV6　ブラックMP 7HZ6H00XX62（大宮××-28) 退役→放出済
※初代社用車。

ヘッドライトウオッシャー付はこの年式特有の装備。　

③2007年仕様
T5　マルチバンV6　ブラックMP 7HZ7H06XX15（豊橋××-09) 退役→放出済
T5　マルチバンV6　ブラックMP　　　　　　（豊橋××-10) 退役→放出済
T5　マルチバンV6　ブラックMP　　　　　　（豊橋××-11) 退役→放出済
T5　カラヴェルV6　ブラックMP 7HZ7H06XX77（豊橋××-98) 退役→放出済
※2代目社用車。

基本的に同じ仕様だが、一部リアナンバープレートホルダーが下側にずれて装着されている車両あり。


④2008年仕様
T5　カラヴェルV6　シルバーM 7HZ8H03XX92（大宮××-56)退役→放出済
※社用車（VTT)？。工場純正リアチャイルドシート装着車両。

⑤2009年仕様
T5　トランスポーターロングV6　ブラックMP 7HZ8H03XX50（大宮××-05)退役
※社用車（VTT)？。本国タクシーメーターダッシュカヴァーを後付。

T5　トランスポーターロングV6　ブラックMP 7HZ9H09XX26（豊橋××-29)退役→放出済


初のロングボディーは2009年式として登場。

⑥2012年仕様
3台入荷。
※マイチェン後のモデル。


＜日本向け仕様＞
全ての車両が、下記のほぼ同じ仕様で輸入されています。

・右ハンドル
・V6(VR6)/3.2L/FF。
・最上級の「ハイライン仕様」。
・シートは「本革」と「コンビ皮」の2種あり。ロングはファブリック。
・日本仕様テールライト(?)。
・日本向けスピードメーター(?)。
・名称は「T5・マルチバン」又は「T5・カラヴェル」。
・初期モデルでは、型式無し（不明扱い）。
・途中から型式あり（2006年式頃？）。
・「ダークブルーグリーンメタ(豊橋VGJ所属)」「シルバーメタ(関東VGJ所属)」も存在。
・社用車のほとんどが「ブラックパールエフェクト色」で輸入。
・ロングシャシーは「T5・トランスポーター」として2台輸入された模様
（確認済み）
・ロングは1台が豊橋本社送迎用、1台が東京所属になっていた。
・東京所属のロングはインダッシュカーナビ搭載の為に、ダッシュボードセンターに
　本国タクシー仕様用パネルが日本で装着された模様。

・一部車両は工場装着のシート内蔵型チャイルドシートを装着。

・2012年度の初回車検車両からキノコミラーが装着された。




＜トリビア＞
・東京モーターショーでドイツからの役員送迎が2代目3台の初仕事らしい。
・電動スライドドアは、朝1番にスライドドアを手動で操作しないと開き難いらしい。
・退役した車両の多くが特殊なルートで一般放出。
・初回放出は結構距離が伸びていた模様（特にダークブルーグリーンメタ）。非認定中古車扱い？。
・↑その内、2台程度が北海道エリアに放出。
・2代目の放出時（3台）は、15000km以内で再PDIの後、放出。非認定中古車扱い。
・↑内2台は関東圏内へ、1台はドイツ大使館（外29-XXにナンバー変更）に納車。
・2011年3月31日、東北関東大震災連絡用に日本赤十字社へ無料賞与された3台は、3回目の輸入車両。
・↑内1台は、スタッドレスタイアを装着し岩手県内で任務。
・2012年夏に退役した車両（5台）は、事情により順番に社外放出された。
　その為、これらの車両には一切のメーカー保証は無い。

※上記はあくまで僕個人が調べた事であり、
　事実と異なることも多数あると思います。
　あくまで参考としてお読み下さい。



トップ画像の赤いT5は、日本メディア向けに用意された物の1枚（本国プレス写真と同じ）。