「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

連弾のつまづく右手春の夢 芳賀翅子

2017-05-07 04:14:32 | 日記
 作者はピアノの先生をしている。発表会が近いのかもしれない。習い始めたばかりの子で、まだ右手だけの練習曲を弾いていて、発表会では先生と連弾する。我が二人の息子もそうだったので懐かしく読んだ。初めてのステージを晴れやかに迎えさせてやりたい。そんな思いでいたのだろう。夢と現の境界が判然としない状態が長く続く春の夢。「ああ、夢だったのか」と思うまでの緊張と安堵の落差が楽しい。きっと思いは通じるはず。ピアノが好きになって長いお付き合いになるといいですね。ちなみに息子たちは15年も習い、長男の結婚式で次男は先生と連弾をした。四年振りに弾くピアノに指が動かないと嘆く息子を「大丈夫」と励まし、なんとか仕上げてくださったことも懐かしく思い出され、学校の先生とも違う絆を改めて思った。(博子)