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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

シェルのランプシェードの様な翅が美しいウスバシロチョウの交尾は女性上位 (妻女山里山通信)

2013-05-19 | アウトドア・ネイチャーフォト
 久しぶりの妻女山山系を訪れると、芽吹きの新緑の森はすっかり濃い緑へと変わっていました。木漏れ日の林道を歩き、陣場平へ登ると、氷河期の生き残りと言われるウスバシロチョウ(ウスバアゲハ)が、優雅に舞っていました。太陽蝶といわれるように、日が昇ると盛んに舞い始めるのです。吸蜜する花が、まだヒメオドリコソウ、ミツバツチグリ、カナムグラぐらいしかないので、なかなか留まりません。撮影には難儀しました。6月に入ると彼らが大好きなハルジオンが大量に咲き始めるので、そうなるとシャッターチャンスは格段に増えます。

 それでも辛抱強く待つと、ミツバツチグリで吸蜜する雌に雄が背後から交尾を迫りました。この雌は、まだ交尾をした印のスフラギスという交尾嚢(交尾を終えた雄が雌につける、つまり貞操帯)はなかったのですが、あっさりとふられてしまいました。優雅に舞うと書きましたが、実際は翅を羽ばたかせる角度が狭いためバタバタ舞う感じですが、高い樹冠からスーッと舞い降りて来る様は、言いようの無いほど優雅です。

 すると別のカップルが足下に。交尾中でした。雌が交尾したまま雄を引きずって、ヤエムグラやカナムグラ、ミツバツチグリのジャングルを抜けて行きます。手を出したら、腕にまで登ってきました。つまんでフキの葉に戻すと、そこは雌がお気に召さなかったようで、また下へ。やがてススキの若葉が気に入ったらしく、そこで静かに交尾を続けました。上が雌で、下の雄を翅でしっかり抱えています。雄は脚も宙ぶらりんでなすがまま。女性上位です。
 シェルのランプシェードの様な白く透けた翅は、逆光で撮ると、その美しさがひと際引き立ちます。

 用があるので後ろ髪を引かれつつ山を下りる途中、秘密のギンランが小さく群生する場所に寄りました。まだ少し早かったのか、わずかに二本だけ。高さは20センチもなく。他の植物に隠れているため、たとえ足下にあっても気づく人は稀でしょう。そして、蕾に見える花は、これでもほぼ全開なのです。せいぜいもう少し開いてキョが見えるだけ。本当に慎ましい花です。各地で絶滅危惧種になっている貴重な山野草でもあります。園芸店には売られていることもありますが、育ちません。運が良ければ二年ぐらいはもつかもしれませんんが、そこまでです。それは、ラン科植物はラン菌根と呼ばれる独特の菌根を形成して、菌根から栄養分を摂取するからですが、樹木の根に外菌根を形成し共生している菌、外菌根菌が必須だからなのです。よって鉢植えでは絶対に育ちません。共生相手である特定種の樹木が必要なのです。ですから、育ててみようと採取してくることは、まず100パーセント無駄なわけです。

 妻女山山系は、新緑をバックに、ヤマツツジの赤い花と、コバノガマズミの白い花とで紅白に染まっています。コバノガマズミの雄しべは、目出たいよう嬉しいようと小さな子供が皆で万歳しているように見えるのですが・・。もうじきシロバナオドリコソウやクルマバソウ、アマドコロなど梅雨前の花が咲き始めます。


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