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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

吉田初三郎作鳥瞰図『長野電鉄沿線温泉名所案内』(妻女山里山通信)

2011-10-22 | 展覧会・イベント・コンサート
 先週の日曜日に調べものをしに森将軍塚古墳の麓にある長野県立歴史館へ行きました。ちょうど「観光地の描き方」という特別展示をしていました。中に「大正広重」と呼ばれた鳥瞰図絵師で有名な吉田初三郎のものがありました。その作品の中に『長野電鉄沿線温泉名所案内』という昭和5年に書かれた絵があり、それの縮刷版が売られていたので買い求めました。来年には廃線になる予定の長野電鉄屋代線も描かれています。鳥瞰図は、英語でbird's eye viewといい、遠く見えるはずのない(この絵では九州の門司や佐渡島)所まで描かれるのが特徴です。

 その中で注目したのは、妻女山の描き方。著作権もあるのでその一部を画質を落として掲載します。なかなか面白く、他に2作品も販売されているので、興味を持たれた方は歴史館でお求めください。その妻女山なのですが、現在の招魂社と展望台のある411mの妻女山ではなく、上杉謙信本陣跡として後方に妻女山が描かれています。謙信本陣跡ということで、強調したかったのでしょうか。えらくディフォルメされて大きな山になっていますが、位置関係でいうと、ここは現在の天城山(てしろやま・手城山)694.6mになります。実際の妻女山(旧妻女山、本名は斎場山)は、その手前の山です。現在の妻女山は、さらにその下で、桜の花と招魂社という文字が見えます。

 それに対して、武田信玄の本陣と伝わる茶臼山は、長野電鉄沿線にないためか、信玄があまり好きでなかったかは分かりませんが、右端に小さく描かれているのが極めて対照的で面白いところです。ディフォルメされている割には、周囲の山がかなり位置関係や形がその特徴をつかまえて正確に描かれているので、同定をしてみました。ディフォルメ、あるいは便化(デザインの簡略化)されていても、その特徴がはっきりと残っているのは、実際の山を観察したか、写真などの資料を揃えたからでしょう。

 左、松代の奥にある狼煙山などは、三角の山容はそのままですし、中央の双耳峰の鏡台山から左へ高遠山までの山並みなども実際の形とほぼ同じです。鞍骨城趾は資料がなかったのでしょう。五里ヶ峯の台形の形もよく描けています。また、季節に関しては、左上は万座温泉ですが、高い山地は錦秋の紅葉が描かれ、低い妻女山や里は桜の春爛漫が描かれているのが面白いところです。

 一番下には長野市街地が描かれていますが、旧長野駅や町並みが詳細に描かれていて、古い町並みを知る人には興味深いものだと思います。肝心の温泉ですが、渋温泉、野沢温泉、地獄谷温泉、五色温泉、七味温泉などは、この絵地図の左手の方に描かれているので、ぜひ実物をご覧になってください。販売されているのは、「観光信州」(880円)・長野電鉄沿線を描いた「長野電鉄沿線名所案内」(680円)・戦前の軽井沢の様子がつぶさにわかる「軽井沢」(580円)の3枚です。(電話026-274-2000)なお、この企画展の開催は、11月13日(日)までです。

森将軍塚古墳・大室古墳群トレッキング・ルポ最寄り駅はしなの鉄道屋代駅か篠ノ井駅。車は更埴ICから南へ約5分。古墳上へシャトルバスあり。
森将軍塚古墳館石室再現他。おすすめ。

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■今回の「東北太平洋沖地震」は、約1000年前に起きた貞観地震と酷似しているといわれています。貞観地震の時にも、地震や津波以外に、火山の噴火やさらなる大地震に三度も見舞われました。今回も、これで終わりとは到底思えません。すでに警告されていますが、充分な心構えと準備が必要です。

■貞観地震から仁和地震年表

貞観(じょうがん)859年-877年。清和天皇、陽成天皇。
元慶(がんぎょう、げんけい)877年-885年。陽成天皇、光孝天皇。
仁和(にんな)885年-889年。光孝天皇、宇多天皇。

•貞観3年(861年)4月7日、直方隕石が落下。落下の目撃がある世界最古の隕石。 •貞観6年(864年)富士山噴火(貞観大噴火)

•貞観10年(868年)7月8日、播磨国で地震。日本三代実録によれば官舎、諸寺堂塔ことごとく頽倒の記述。前年から引き続き、毎月のように地震があったことも見受けられる。

•貞観11年(869年)貞観地震とそれに伴う貞観津波が発生。(格12巻が完成。貞観の韓寇)

•貞観13年(871年)鳥海山噴火。(式20巻が完成。貞観格式の完成)

•貞観16年(874年)開聞岳噴火。

•元慶2年(878年)相模・武蔵地震(現在の関東地方における地震)伊勢原断層の活動によるM 7.4の大地震

•仁和3年(887年)8月22日(8月26日)に仁和地震(南海地震、M 8.0~8.5。東海・東南海との連動説も有り)。
 八ヶ岳が突然水蒸気爆発をおこし崩壊。千曲川・相木川を堰き止めて“大海(南牧湖)”や“小海湖”を造った。天狗岳と硫黄岳の東側斜面が大きく崩れた跡が今でも見られる。

•仁和4年(888年)大海が決壊し、善光寺平までその被害は及んだ。

•寛弘8年8月3日(1011年9月3日)に再決壊。下流域に再び災厄を撒き散らして完全に消滅した。
 長さ3kmに達した「小海」は、古地図等からその後600年以上、江戸時代初期まで残っていたことが確認できるが、いつどうやって消滅したのか判っていない。 恐らく1742年(寛保2年)に千曲川流域で発生した大洪水、戌の満水(いぬのまんすい)で消滅したのではないだろうか。

•弘化4年(1847年5月8日)善光寺地震による土砂崩れが犀川をせき止め、崩壊し下流に大きな被害をもたらした。(マグニチュードは推定7.4、死者総数8,600人強、全壊家屋21,000軒、焼失家屋は約3,400軒)


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